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霊感ケータイ  作者: リッキー
ユーレイ博士 来る!
133/450

17.接点


学校からの帰り道・・


駅前のハンバーガー屋へと僕と彼女が向かっていた。


眼鏡と髪止めを外して、カワイイバージョンの彼女。

彼女は、僕と二人で居るときは、殆どこの姿だ。


でも、


それは、周りに居る霊が見えてしまう状態でもある。

人とすれ違う度に、その周りの背後霊やら守護霊を除けるような仕草をしている彼女・・


これから、もっと人通りが多くなれば、特にその傾向が強い。

無理しなくてもいいのだろうけれど・・


彼女に言わせれば、僕と居る時は、特別なのだそうだ。


「二人でデートなんて久しぶりだね~」


「そうだね・・・」


そうなのだ・・二人でデートをしようとすると、必ずと言って良いほど邪魔が入る。

二人だけにになったのは、おそらく、彼女の着替えを覗いた代償に付き合わされた時以来だろうか・・

あの時も、悪霊からの襲撃を受けたけれど・・・


「ねえ・・ヒロシ君・・」

こちらを向いて、真剣な眼差しを送っている彼女・・


カワイイ・・・



「な・・なんでしょう?」

いきなり改まって何なのか分からない僕・・

そんな返事になってしまった。






「デートの時ってさ・・

 腕組んで歩くとか・・

 するのかな・・」


『するのかな?』・・・て疑問を向けられてるけれど、それは、どういう意味なんだろう?


それに、答えなければならないのか?

ていうか、ストレートに『腕を組んで!』・・て言えばいいのだろうけれど・・

女の子から、ねだるのって・・やっぱり抵抗があるのだろうか??


「うん・・


 たぶん・・


 するんだろうね・・」


僕は顔を赤らめて答えた・・彼女も何だか、恥ずかしそうだ。


少し、沈黙した。

僕達は、付き合っているんだろうけれど・・


そうやって、

『恋人』みたいな行動をした事ってないのだ。


お互いに視線をそらしている。

彼女の目を直視することができなかった。



沈黙を破ったのは、彼女だった・・


手をそっと差し出す。


「手・・繋ぐだけで・・いいよ・・」


「うん・・」


その手を掴む僕・・


温かい彼女の手・・


やわらかい・・・

彼女の表情が和らいでいる。



「手・・


 握って歩いた事・・


 なかったね・・・」



「うん・・」


僕の口から発するのは『うん』だけだった・・・

それ以上、返す言葉が見つからなかった。


手を繋いで、歩き出す僕と彼女・・



なんだか、恥ずかしい反面、


嬉しい。



胸の奥から、何かの力の様なものが湧いてくるような・・

二人で一緒に、何でも出来るような・・


彼女を守ってあげたい・・

そんな気分になった。


(実際には、僕の方が守られる事が多いと思うけど・・)


ラブラブ・カップルに見えるんだろうな・・








美咲と愛紗が駅前の商店街巡りをしていた。

一連のアプリの騒動で滅入っている愛紗の、気を紛らせようという美咲。


ギフトショップへ入る二人。

おしゃれな小物であふれた空間。

Tシャツや鞄もあれば、食器もあれば、文具や時計、絵葉書も所狭しと陳列されている。

店内は、やはり下校時の女子高生や中学生が適度に入っていて、商品を物色していた。


女子高生の財政力だと、そうそう購入はできないので、

ショッピングというよりは『物色』に近いものがある。


眺めて廻って楽しむ・・



「ねぇ、このケータイ・ストラップ、チョ~ヤバいんじゃない?」

「ホントだ。可愛いね!」



『ヤバイ』・・

最近の若い人は、この『ヤバい』という言葉をよく使う。

別に、本当に『まずい』とか『危ない』といった『負』の意味ではない。

実際は逆で、『気に入った』とか『良い』という意味として広く使われている。


例えば


『今回の試験、チョーヤバかった・・』


というフレーズは・・


『今回の試験は点が取れないかも知れない・・危ない!」


という意味ではなく、


『今回の試験、(ヤマを張ってた所が出て)かなりいい点数を取れそう。』


という意味に近い。半分、友達に自慢している意味合いも含める。


まあ、


今の若い人には当たり前なのですが・・

この小説を読んでいる人の中には御年配の方もいるでしょうから、念のために解説です。


熊のぬいぐるみを手に取っている愛紗の所へ、ティーカップを持ってくる美咲。


「ねえ、ねえ!このカップもチョー可愛い!」

美咲の方がはしゃいでいる感じもある。

中学生のグループが、少し、引いて見ている。控えめな中学生。


いつの時代も、女子高生って、元気・・なのかな・・・







「次、どこ行こうか?」


「ちょっと疲れたかな・・少し休む?」


「じゃあ、ハンバーガー屋でも行こうか~?」


「うん」


駅前のハンバーガー屋へ入る美咲と愛紗。


「いらっしゃいませ」


「いらっしゃいました~」


ふざける美咲。店員さんが噴き出しそうになっている。


「美咲ぃ~・・」


「あはは」


恥ずかしそうな表情の愛紗。


「何にする~?」


「そうね・・」




そこへ、自動ドアが開いて、僕たちが入ってきた。


「いらっしゃいませ~」


「いらっしゃいました~」


彼女が答える。はしゃいでいる彼女。

美咲さんが、こちらを向く。同じようなリアクションで、驚いていた。


僕は、少し恥ずかしい素振りをした。

そんな周りの様子はおかまいなしで、話を続ける彼女。


「ねえ~。今日はアップルパイにしようかな~」


「え?さっきはアイスがいいって・・」


「う~ん、やっぱり、甘さはこっちの方がいいかな~」


「あ・・甘いの好きだね・・」


「うん!甘いの大好き~!!」


はしゃぐ彼女・・

やっぱり、可愛い・・・



「あ、アップルパイ一つお願いします~」


カウンターの方へ目がけて、勢いよく注文する彼女。

頭上に掲げてあるメニューを見ながら・・


「あと~・・

 う~ん・・

 コーラSと~ポテトSと~・・

 ヒロシ君は?」


「え?

 ああ・・」


僕も上を見る。


「オレ・・

 も・・


 コーラS・・・で・・」


「かしこまりました~」


笑顔の店員さん。

その勢いに圧倒されている美咲さん。


(負けたわ・・・)


何に負けたんだろう???








窓際の席で、相、対して座っている僕と彼女。

先ほど注文したアップルパイをほおばっている彼女。


・・を眺めながら、コーラを飲む僕・・・


彼女が甘いものを食べる時は、この上ない笑みを浮かべる。

これ以上の至福の時はないのだろう・・


「何か憧れるな~」


「え?何が?」


「あの、お姉さんたちの制服・・」


「ああ・・」


そちらの方を見る僕・・

先ほどカウンターの脇で僕たちに圧倒されていた二人組の女子高校生だ。


ブレザーとスカートは、セーラー服の様に、「如何にも中学生」というよりも、カジュアルなファッションの様な感じで大人っぽい・・


街に居ても、中学生と高校生を分けるのは、あの制服・・

一際目立つ存在感があるのだ。


中学生の女子でも(男子でも?)高校の制服に憧れている人は多く、

その学校のステータスにもなっている。


入学希望も、制服目当てで選んでいる人も、中にはいるんだろうな・・


「私も、着てみたいな~」


「うん・・

 似合うと思うけど・・」


「そうかな~?

 私、まだ幼いし・・」


「そんな事ないよ」


まあ、中学生には、中学生の可愛らしさがあるのではないかな~?

そんなに早く大人にならなくてもいいような気もする。


その間には、「受験」という大きな壁もあるのだ。

あのお姉さん方は、その壁を乗り越えて、今日の青春を謳歌しているのだと思う。


でも、彼女も十分、魅力的だと思うけど・・・


いや・・良く見ると・・

アップルパイを美味しそうに食べる姿は、子供っぽいか・・・


そんな彼女を見る僕は、幸せな気分になっていた。


ガラス越しに、


通りを行き交う人たちが僕たちをチラっと見ている。


「やっぱり、子供っぽく見られてるんだろうな・・」

意識して、店内の方へ視線を向ける彼女・・






その視線の先は、先ほどの女子高生達だった・・

愛紗さんは、テーブルの上で携帯をしきりにいじって見ている。

ポテトを食べながら、その姿を眺めている美咲さん・・・


「まだ、気になる?」


「え?うん・・・」


「あんまり、根詰めない方がいいよ・・愛紗・・」


携帯の表示には、いつも遊んでいるゲームの画面になっていた。


「まだ・・inしてないみたいなの・・」


「ペナルティー解けたんだ・・」



『Hijiri』という人の話らしい。

ゲーム上のペナルティーも解け、既に通常のプレイはできるはずなのだけれど、経験値の変化が無いところを見ると、

ずっとinしていないようだった。


一連のアプリの出来事はあったにせよ、自分から「監視」の行為について責めたにせよ、

ずっと一緒にやってきたゲームは続けていて欲しと、心のどこかで思っていた愛紗さん・・


その後の反省の様子や対応の仕方によっては、許してあげてもいいとも思い始めていた。

あれが、単なるイタズラなのだったら・・



ピ・・


アプリを作動させてみる愛紗さん・・


「何?また例のアプリ?」


「うん・・」


「何か見える?」


携帯電話越しには、普通の風景しか映っていない。

あちこちを眺めてみてはいるけれど、全く変わらないようだった・・・



「全然・・

 何も、見えない・・」









その携帯を眺めている姿を見ている彼女・・・


「女子高生のステータスだよね~

 携帯電話ってさ~」


「うん・・」


でも、何だかその様子が少し変だと思っていた僕・・

画面の中を見ながら、何かを探しているような感じだった。


先生の話を思い出した・・


「霊感ケータイ」というアプリが存在するという事を・・・




「あの・・アプリ・・」

「え?」

「先生の言ってたアプリじゃない?」


「そう言えば・・」


彼女もその仕草の異様さに気づいた。

通常の検索では見つけられなかったという「レア」なアプリだという事だった・・


女子高生達の間で口コミで広がっているのだろうか?


そして、


オカルト研究会の作成しているという「アプリ」とも何らかの関係があるのだろうか?




「でも、そのアプリさ~、何も映らないんだったら、全く意味ないね・・」


「うん・・もう止まっちゃったのかな・・」


「『霊感ケータイ』なんて、名ばかりだね!」



顔を見合わせる僕たち・・

確かに『霊感ケータイ』って言っていた。

咄嗟とっさに席を立ち、女子高生の方へと向かう彼女・・



「あの・・」


「え?」


「今・・『霊感ケータイ』て・・」


「???何?あなた達・・」


僕と彼女が並んで立っているのに驚いた様子だ。


「済みません・・今・・霊感ケータイって言いませんでした?」


僕が尋ねる。


「ええ・・確かに言ったわ・・・」


僕と彼女が顔を合わせる・・やっぱりだ!


「そのアプリってどこで手に入れたんですか?」


「どこって・・」


愛紗さんの方を見る美咲さん・・


「私の・・知り合いだけど・・・」


「知り合いって・・僕たちと同じ中学の?」

オカルト研究会の誰かから貰ったアプリかも知れない。


「え?」


今度は、二人が顔を見合わせている。

突然現れた、この中学生カップルはいったい何なのだろうという感じだ。


「分からないわ・・SNSで知り合った人だから・・」


「SNS・・ですか・・?」


彼女が何の事なのかわからないようで、質問をした。







「こういう、ケータイとかパソコンで、自由に仲間を増やすサイトの事よ。

 ゲームとかもあるんだよ。

 このアプリは、そこで知り合った人から教えてもらったの。」

愛紗さんが答える。


「でも、あんた達・・『霊感ケータイ』って知ってるの?」

美咲さんが聞いてくる。


その質問に答えていいのかどうか迷った僕だ。

霊感ケータイは、まさに霊感の無い普通の人でも、霊の世界が見え、死者と会話をすることもできる電話なのだから・・


その存在が知られれば大変な事になる・・・


「はい。知ってます!」

彼女が勢いよく答えた。


オイオイ!!秘密じゃないの???

その答えに、あっけに取られている女子高生達・・


「アプリではなく、本物ですが・・」


「本物???」

顔を合わせる二人・・狐にでもつままれているのか??


「ヒロシ君・・」


僕に話を振ってくる彼女・・いいんだろうか??


彼女に霊感ケータイを手渡す僕・・

その手で、女子高生達の目の前に差し出す。


「これです!」


少し古いタイプの携帯電話。


「でも、このケータイは取り扱いに危険を伴うんです。」


「危険を伴う?」


「はい。

 死者を見る事も、話すこともできる・・


 普通では、在ってはならない事・・

 死んだ人に再会して、話をする事は・・


 その人の人生を大きく狂わせる可能性を秘めています。」








「人生を・・・狂わせる・・・」


愛紗さんがつぶやいている・・


「もし・・

 そんなアプリを手にしたら・・

 早めに破棄してください。

 いい事は起こらない・・」

彼女が強い口調で話している。


「あなた、見ず知らずの私達に、説教するの??」

隣で聞いていた美咲さんが、少し怒った素振りをしている。


まあ・・

確かに頭に来るだろうな・・


急に現れた、自分より年下の子に、説教されている様にとらえられても無理はない。

しかも、本物があるなんて、普通では、まず考えられない事だ。


頭がおかしいと思われているのだろうか・・

まず、良く思っていないだろうな・・


「済みません。僕たち・・」


「いいの・・」


愛紗さんが、すこし明るい表情になっている。


「私、このアプリ・・どうしようかって思ってたの。

 でも、あなたたちに言われて助かったわ。


 これ、捨てる!

 ありがとう。」


「愛紗・・・」


愛紗さんを見る美咲さん。


「剛君に会えるって心のどこかにあったのよ・・

 でも・・

 それは、いけない事なんだよ・・」


ピ・・ピ・・


そう言って、アプリの消去をした愛紗さん。



「いいの?」


「うん!ヒジリさんにも、これで心配しないでって言えるよ。」





   ヒジリ・・さん・・・



その時、愛紗さんの口から流れた名前・・

それは、これから起こる大きな事件に深く関わる名前なのだった・・・


「じゃあ、私達、行くね!」


そう言って、高校生の二人が店を出て行った。

見送る僕たち・・


いったい、何だったんだろう?

「霊感ケータイ」というアプリが存在し、「ヒジリ」という人が関係しているという事の他は、謎のままだった・・・










山道を走る一台の車・・


運転席には今西一人だった・・

博士を教頭先生の家に送り、その足で単身、山奥にある陽子の居る神社へと向かっていた。

何か考え事でもあるのか、一心不乱にハンドルを握り、前方を見つめる。


ポツリともらす・・

「霊感ケータイ・・・か・・・」


4年前の事件で、霊感ケータイと関わり、心に誓った人を亡くした惨劇が今でも鮮明に思い出される。

そして、今回の取材で、再び耳にした霊感ケータイの名前・・

何故か、胸騒ぎがしていたのだった・・・




陽子の神社へ到着したときは、もう日が暮れかけていた。


バタン!


車を降りる今西。

神社から姿を現わす陽子・・・


「遅かったわね・・今西君・・」


「望月・・」


「どうしたの?浮かない顔して・・」


「いや・・ちょっと昼間、色々あってね・・」


「そう・・山道は大変だったでしょう?まず、休むといいわ」


建物の中へ通される今西。








6帖程の畳の部屋


机も何も置かれていない畳に座布団が敷かれ、胡坐をかく今西と、きちんと正座をしている陽子。

茶卓に置かれた茶碗。

お茶をすすっている今西。


『休む』わけにはいかないような、張りつめた緊張感が漂う。

昼間の話を今西から聞いた陽子がポツリと言う・・


「そう・・あの博士が・・・」


「ああ・・今回は、かなり力を入れて来てるよ・・

 自前の装置も進歩してる・・」


「雁金博士には、前にひどい事言ったから・・恨んでるかもね・・」


「あの時の対談か・・」


何年も前に、雑誌の企画で『ユーレイ博士 VS 霊能者』という対談を行ったらしい。

その時に、陽子と博士がそれぞれの立場、威厳をかけて激突したことがあった。


誌面では柔らかく書いてはいたが、実際は激しい言い争いになった。

気の強い陽子と研究熱心な博士とでは、水と油の様なものだ。


話は平行線に終わってしまったのは想像に、た易い・・・


「まあ、あれがきっかけで、博士にも研究を進める火種が点いたんだし・・・」


「悪い人ね・・

 私をけしかけて、研究を進めさせるなんて・・」


「俺は、面白い話は全精力を使いたいんだよ。

 読者も期待してるんだし・・」


「おかげで、私は悪者にされたのよ・・」


苦笑いをしている陽子・・。

怒っているワケでもないようだ。



「読者の半分は、君の味方だよ。

 霊の世界の肯定派と否定派・・

 もっとも、あの博士は否定はしていない・・


 でも・・」


「『霊』に人格は無い・・って言ってたわね・・」


「この世の記憶だけが取り残された『現象』って事だ・・」










「今西君・・

 あなたは、どう思ってるの?」


床に置いてある茶卓に茶碗を置いた今西・・



「『霊感ケータイ』・・・


 あの事件以来・・

 俺は、悪魔も肯定せざるを得なくなった・・


 『あの世』があって・・

 幸子にも・・


 高校の時の事件もそうだけど・・

 俺たちの想像を絶する世界がある・・


 ただ、


 それは、


 俺だけの体験でしかない。

 『幻覚』とか『脳の錯覚』と言われてしまえば・・

 そうなのかも知れない。


 全ての人に『信じろ』って言っても・・

 無理な話だよ。


 でも、

 あれが、本当だったということを確かめたい。


 博士の研究に限界が来れば・・

 『肯定』とまではいかなくても、

 かすかに『認める』方向へと行くだろう・・」


陽子が、お茶をすする・・


「あなたらしいわね・・・」

口元に笑みを見せる陽子。


「望月・・」


「私は・・

 真実も何もない・・


 自分に課せられた道を歩むだけ・・・


 あの妖怪との対決に、

 自分の持てる力を注いだ・・


 そして・・

 掛け替えのない友人も亡くしてしまった。


 響子・・


 そして


 幸子・・


 今、私がこうしていられるのは・・

 あの親友たちの犠牲のおかげ・・」


うつむく陽子・・







思い出したように話し出す今西。



「そう言えば・・

 あの妖怪の封印は完璧じゃないって言ってたけど・・」


「ええ・・

 あの時は封印するのがやっとだった・・・

 効果は何百年には耐えられない・・


 私の力なんて、

 弱いものだったのよ・・」


「そんな事ないよ

 オレにとっては、最高レベルの霊能者だよ」


笑みを浮かべる陽子。


「ふふ・・

 ありがとう・・


 でもね、

 私の実力なんて、そんなものなのよ・・


 私なんて、足元にも及ばない力の持ち主がいた・・」


「美奈ちゃん・・

 かい?」



「ええ・・

 あの子は、

 私の血筋でも、1、2を争う力を秘めていた・・

 あの子に匹敵する霊力を備えた・・


 遠い祖先の・・


 望月之光・・」


「望月の・・光・・?」


遥か平安の時代・・酒呑童子と童子四天王が京の都を脅かしていた頃・・

ヤスマサを中心として、妖怪討伐が行われたが、その圧倒的な霊力の差により劣勢を強いられていた。


その救世主となったのが、「望月の光」・・


望月の君の実の子であり、その父親は、不明と伝えられている。


(が、頼光の忘れ形見とも言われている)


陽子の祖先としては、最大級の霊力の持ち主であり、剣術にも長けていたという。

そして、その補佐に回った、和泉の君の二人娘も強力な霊力で、酒呑童子と渡り合った・・



舞台は・・


再び、平安の時代へと遡る・・・







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