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霊感ケータイ  作者: リッキー
霊感ケータイ アプリ
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13.コンタクト


次の日・・学校・・1年1組の拓夢君の教室。


午前中の休み時間に、沙希ちゃんが拓夢君に話しかけようとする。


「あ・・タクムく・・」


「なあ、拓夢!

昨日の課題、やってきたか?」


「え?教頭先生の・・?」


同じクラスのオカルト研究会の部員が邪魔に入る。

教頭先生から完全にマークされている拓夢君。


一人、取り残される沙希ちゃん・・



その様子を見ているサトシ君と男の子・・・







昼休みの音楽室。


ゴーストバスター部のメンバーが集まっている。拓夢君はいない。

千佳ちゃんが沙希ちゃんから教室での報告を受けている。


「そっか・・タクムはガードされてるか~」


「どうします?」


「オカルト研究会も本腰入れてきたね~」



ピアノに向かっていた雨宮先生がポツリと言う・・


「教頭先生が、研究機関を連れてくるって話よ・・・」


「え?何ですか?それ・・」


「今、マスコミで話題になってる、ユーレイ博士って言ってた・・」



 

  「ユーレイ博士~??」


一同が総立ちになる。

何だか、凄そうな人物が現れたゾ~!!







「って・・千佳ちゃん・・知ってる?」


先生が千佳ちゃんに聞いている。

皆も、知らなかった・・

実際、そんな博士が話題になってるのかどうかなんて、分からないのだ。

「マスコミで話題」というのも怪しい。



「うん・・」


どうやら千佳ちゃんは知っているらしい。

さすが情報通の千佳ちゃん・・


「雑誌で読んだことあるけど、電磁波を測定して、心霊現象を解明しているって・・」


千佳ちゃんの読んでいる雑誌ってどんな雑誌なんだろう・・

夏休みに書店で会った時は、オカルト専門誌のコーナーに居たけど、やっぱりその手の本なのだろうか・・


「ウチに本があるので、明日、持ってきます。」


「よろしくね!千佳ちゃん・・」



『ユーレイ博士』・・いったいどんな人物なのだろう・・


先生の話では、マスコミを連れて、この学校へ調査に来るという。

この学校に流れる七不思議を科学的に徹底的に調査するとの事だった。


何だか、大変な事態になっている。

教頭先生も、持てるネットワークを駆使して、本当にこの部活を潰しに力を入れてきたようだ。


また一騒動、巻き起こりそうな気がした。








視聴覚準備室。


オカルト研究会では、例の『ユーレイ博士』の話題で持ちきりだった。


「すごいですね!

あの、ユーレイ博士がこの学校に直々に調査に来るなんて!」


「私・・何だか興奮してます!」


どこが凄いのかは、一般の人たちにはピンとこないが、その筋の人たちには凄い事らしい・・



拓夢君は、一人、机に向かって、ノートに何やら書き写している。複雑な数式のようである。

教頭先生からの課題らしいが、いったい何になるというのだろう・・


「拓夢・・」


「お姉ちゃん・・」


未来先輩が拓夢君の側に寄って来て声をかける。

ノートに書き写されている数式を見て、唖然とした。


「あなた、こんなの、課題に出されてるの?」


「うん・・シュレディンガー方程式とマトリックス力学の比較だって・・何か役に立つのかな~」



量子力学の基礎ともいうべき数式を中学生で理解するのも難解だろう・・

教頭先生も、大変な課題を出している。








「お姉ちゃん、僕、これじゃあ、音楽室へ行けないよ・・」


「あなたは、当面、あの部活には行けないのよ・・」



「え?それって・・」


「教頭先生の命令なのよ・・」



「教頭先生の?」


「あなたも、あの部活に肩入れしすぎたのよ・・」



初めは、情報収集の命を受けて侵入したゴーストバスター部だったが、

色んな事件に巻き込まれ、自分もいつのまにか、一員になって、溶け込んでいた。


もともと、オカルト研究会での自分の存在は薄かった拓夢君、

ゴーストバスター部は、暖かく迎えてくれ、そこに自分の居場所が見つかったような思いがしていた。



「ユーレイ博士が来るって話も、流れているのかな・・」


「雨宮先生も知ってるわ・・教頭先生、自ら教員会議の話題にしたそうよ・・」



音楽室への出入りも禁止され、他の部員に監視もされている。

こうなっては手も足も出ない・・

ゴーストバスター部が気になる拓夢君。







パソコンに向かっていた大谷先輩が、席を立つ。


「あ、オレ、ちょっと用事があるから!」


「例のアプリか?」


皆と、ユーレイ博士について話をしていた部長が大谷先輩に気がついた。


「ああ・・自宅でやったほうが効率いいから・・」


「頑張れよ!」


「ああ・・」


そう言って、視聴覚準備室を出る大谷先輩。









(大谷先輩のお姉さんの)美咲の通う高校。


授業が終わり、愛紗と帰ろうとする美咲。


「ねえ。愛紗!

 今日も私んちに来ない?」


「うん。

 あ・・、先に帰ってて!後で行くから・・」


「え?どうしたの?」


「ちょっと、寄り道したい所があって・・」


「ふうん・・

 じゃあ先に帰ってるね!」


どうしたのか不思議に思っている美咲・・

いつもと様子が違う?







昨日の公園。


愛紗が公園のベンチに座っている。


 ポン・・ポロロロン


携帯から音楽が流れる。携帯ゲームにメールが来たメロディーだ。


「ヒジリさん・・」


携帯電話を取り出す愛紗。

携帯ゲームの画面に入ると、メッセージが入っていた。





 元気でやってた?

      Hijiri





「うん・・」

メッセージを入れる、愛紗。





 見せたいアプリって何?

      aisa



しばらくたってからメッセージが届く。






 メッセージだと規制が

 厳しいから添付先が

 送れない。


 僕のメールアドレスを

 送るよ。

       Hijiri




「え?」


そのメッセージ内容を読んで驚いた愛紗さん。

SNSの携帯ゲームでは、匿名性を高めて、相手がどこの誰だかを察知できないように、直接のメールアドレスや実際の住所などを送信すると管理側で数日間はゲームが出来ないペナルティを課すこととなっていた。

直接のメールアドレスを送らないように促す愛紗さん。



 そんな事をしたら、

 ペナルティーがかかるよ!

 ゲームが出来なくなる。

     aisa




 かまわない。

 君のためだ。

 ペナルティーも

 数日で終わると思う。

     Hijiri


愛紗は躊躇ちゅうちょしていた。そんな危険を犯してまで見せたいアプリってなんなのだろう・・

ペナルティーが掛かると、数日はゲームどころがメッセージも入れられなくなってしまうのだ・・



 やっぱり、

 やめようよ!

     aisa



 いや・・

 送るよ。


 ●●○◎◎

     Hijiri





 この後に、

 @ドコモだよ。

     Hijiri




ヒジリという人が、メールアドレスを分割してメッセージを送ってきた。


  やってしまった・・・。



分割していても、管理側は見過ごすことは無いと思う。前にも、こういったメールアドレスを打ち込んで、その直後か数時間後に運営側から違反行為として、ゲームやメッセージ入力の規制がかかってしまったメンバーも居たのだ。

当然、仲間の間でもペナルティーあ課されたという事で冷たい目で見られることもある。

それを承知で転送してきたのだ。


愛紗は、そのアドレスを紙に書き写した。


ヒジリという人の携帯電話の直接のメールアドレス・・・



そのアドレスを携帯電話に打ち込む愛紗・・


送信しようとしたが・・・

少し、恐ろしくなった。






相手がどこの誰か分からないことが、メリットであり、デメリットでもあるネット・ゲームである。

匿名性が高いが故に、個人情報も守られ、セキュリティー性も高いのだ。


この一線を越えるのは、愛紗には、出来なかった・・

直メールを教え合うのは、危ない行為・・


如何に、ゲームで親しくなった仲だとしても・・

こういった行為で、犯罪に巻き込まれることもあるという。



「やっぱり・・

 いけないよ・・・」


携帯の電源を切る愛紗・・


「ごめん・・」


そう言って、公園のベンチを立って、美咲の家へと向かう・・











次の日の朝。美咲の通う高校


携帯電話を見つめる愛紗。




 『 Hijiriさん ペナルティー中 』





「おはよう!愛紗!」

「おはよう・・」


「あ、これ、この間言ってたゲーム?」

「うん・・」


「ペナルティーって、何か悪いことしたの?」


「ヒジリさんが直接、メールのアドレスを教えてきたの・・」

「え~?それ、ヤバイんじゃない?」


「うん・・」


愛紗はinできないヒジリが伝えたかったのはどういうモノなのか・・気になっていた。

それを知るには、直にメールを送る以外は、手だては無かったのだが・・







音楽室。


ゴーストバスター部。拓夢君は相変わらず顔を出せない。



「これです!

 この雑誌に載ってるんです。」


千佳ちゃんが自宅から雑誌を持ってきて、皆に見せている。



 「月刊『オカルト』~??」


先生は、全く未知の雑誌名だった。それは、僕も彼女も沙希ちゃんにもそうだったようだ。

開くと、特集が組まれていた。




『ユーレイ博士のレポート~ついに「霊」が解き明かされる』




除霊か浄霊の現場で立ち会っている白衣の男性。

霊媒師らしき人に取り付けた無数のコードと測定装置を真剣に見つめている。


如何にも怪しい写真・・


他に、手製の傘で作った探知機の様な装置で測定もしているようだ。

科学的に霊の世界を解明しようというのだろうか・・


最後に、インタビューでドアップの博士の顔が写っていた。


白髪に丸メガネ、伸びたひげ・・如何にも「博士」といった感じ・・

自信に満ちた表情。


皆が、その記事を無言で読んでいる。


「何か・・凄そうな人が・・来るんだね・・?」


「ほ・・本当の話なんですか??科学的に証明してるって・・」



「うん・・この記事、書いてる人は、

 今まで、色んな除霊とかの記事書いてて、

 信頼できる人なんだよ・・」



最後に、記者の名前が載っていた。



  今西 啓助



「私の尊敬してる人なんだ!」

千佳ちゃんの尊敬に値している人が書いている記事ならば、信ぴょう性もあるのだろう・・

まあ、一般には・・怪しいような気がするのだけれど・・







「イマニシ~?」


彼女が何かつぶやいている・・どうしたのだろう?


「今西って・・・

 あの今西さん???」


「え?知ってるの?美奈ちゃん・・」


「うん!お母様の所へよく出入りしてる人だよ!

 私も良く知ってるよ~。

 おみやげに必ず甘いもの持って来てくれたんだ!」


「え~~~???」


歓喜の声を上げて、尊敬の眼差しで見ている千佳ちゃん。



「確か、お母様と中学から一緒だったって・・」


「ひょ・・ひょっとして・・

 霊媒師の『Y』って人って・・

 美奈ちゃんのお母さん???」


「うん!『ヨーコ』だからそうだよ!きっと!

 わー凄いんだ~今西さんって~!」



「す・・凄いって・・あんたの方よ・・

 霊媒師『Y』の娘の『天才霊能者M』って・・

 あんたの事だったの?」


「有名人なんですか~?

 副部長って・・!」


有名人と言っても、こういったオタク系雑誌で名が知れ渡った所で、一般には全く通用しないような気がするのだが・・


それにしても、世の中って、意外と狭いのだな・・

その今西って記者の人と、この『ゆーれい博士』が学校に来るということなのだろうか・・








高校の帰り道、


いつもの公園のベンチに座っている愛紗。

ずっと迷っている感じだった。




 ・・何を見せたかったの?・・・



今まで、親切にゲームのアドバイスをしてきたり、アイテムを贈ってくれたヒジリ・・

その最終目的は、こうやって直接コンタクトを取りたかったのだろうか・・



でも、何故?

自分がペナルティーを受けてまで、伝えたかったのは・・・



いつの間にか、昨日の紙に写したアドレスを、メールに打っている愛紗・・・



そして・・・



「送信」を押す・・・









しばらく、地面を見つめていた愛紗・・



ひょっとしたら、とりかえしのつかない事をしたのかも知れない。



犯罪に巻き込まれるのかもしれない・・



でも、



ヒジリという人の、「善意」を信じたかった。








『メールが来てるよ!メールが来てるよ!』


メールの着信音が鳴り響く。

持っていた携帯を操作する愛紗。


恐る恐る、メールを開く・・・




 メールを送ってくれて、

 ありがとう。


 添付したアドレスを

 開いて下さい。

       Hijiri



ヒジリという人からの直接のメールが届いた。

添付したアドレス先に、見せたいアプリがあるというのだろうか・・・


その添付を開く愛紗・・・



  ピ





 『霊感ケータイ Ver0.91』



携帯の画面いっぱいに表示された霊感ケータイのタイトル・・









「霊感ケータイ?」



その説明を読む。



この霊感ケータイアプリで、通常の景色を映すと、時々、何かが現れます。

この世に存在しない者・・その姿を映し出すアプリの世界をお楽しみください。




「いったい・・何なの??」


少し、怖くなった。

アプリといえば、日々の生活に役に立ちそうな・・若しくは、ゲームでの攻略をするのに有効なものだと思っていた。

でも、いったい、このアプリは何なのだろう?


しかも、「霊感」などという、恐ろしいタイトル。

ヒジリという人は、今まで付き合っていた様子だと、人の嫌がるような行為はしないと思っていた。



でも、気になったのと興味本位、好奇心から、そのアプリを作動させてみる。


カメラからの映像が画面いっぱいに映し出されている。


何の変哲もない景色。


いつもの公園が写っているだけだった。


それでも、それを持って、眺めまわしてみる。


何も写らない・・



本当に、このアプリに何かが写るのだろうか・・


単なるいたずら?


色々な想いが湧いてくる・・




そして・・


ある場所を写してみる事にした愛紗・・





自分の座っているベンチ・・



そこは・・


愛紗にとって、想い出の場所だった。





・・まさか・・



愛紗はそう思った・・






でも・・



見てみようと思った・・





恐る恐る・・




席を立って、




2、3歩前へ・・




ゆっくりと後ろを振り返り・・




携帯を構え・・





そこを写す。








その場所には・・




誰も居ないはず・・




だった・・





だが・・





携帯の画面に映し出されている・・





ベンチに




座っている




学生服を着た




少年の姿










こちらを向いて、




笑みを浮かべている。




「そ・・・


 そんな・・


  事・・・!!」




携帯を持つ手が震える・・



驚きの表情を隠せない愛紗。







その少年が、立ち上がり、こちらへ向かって歩き出そうとする。







「い・・



  イヤーー!」





  ピ



思わず、スイッチを切った愛紗・・



何が起こっているのか分からず、半分、パニックになっている・・




ハアハアと息が荒い。



恐ろしくなり、その場を離れる愛紗。







気が付くと、美咲の家へと向かっていた。


血相を変えて、美咲の部屋へ入ってくる愛紗。


「ねえ美咲!・・中学の時の卒業アルバムある?」


「え?うん。あるよ!」


部屋中を探す美咲。


「あれ?、無いな~どうしたんだろ?」


ごそごそと本棚の廻りやら何やらを探す美咲。

机の引き出しにも、ベットの下にも、見つからなかった。


「あ・・いいよ・・私の家の見るから・・」


「どうしたの?急に・・」


「ううん・・何でもない!」


「?

 ねえ!愛紗!


 私に隠し事~?

 それでも親友なの??」




『親友』・・・

そこまで言われると、話さざるを得ない・・


今までの事を相談しようと決心した愛紗・・








「あ・・あのさ・・」


「なに?」


「よく、心霊写真ってあるよね・・」


「心霊写真?」


「うん・・死んだ人が写ってる写真とか・・」


「ああ・・怖いよね~あれ・・」


今でも、ホラー雑誌などで取りざたされてい心霊写真。

巻頭カラーを飾るにはうってつけのジャンルである。


そういったものを想像している美咲。


「あのさ・・」


「何?」


「ケータイのカメラとかも、映るのかな・・」


「え?ケータイ?」


「うん・・・」


「今まで、そんな変なの、写ってた事ないけどな~」


確かに、昔のフィルムのカメラでは、よく「心霊写真」があった。

大抵は、二重写しや光の乱反射など、光学系のトラブルだったようだが、中には正体不明の物もあったようだ。

時代は変わり、デジタルになったが、最近ではそういったトラブルも少なく、

本来の心霊写真も少なくなっているような気がする。

ましてや、携帯に付属のカメラで、得体の知れないモノが写っていたというのも、あまり聞かない。







「でも、何でそんな事、聞くの?」


「え?」


「まさか、お化けみたいなのが写っていたとか~?」


コクリとうなずく愛紗・・


図星である。


先ほど、写る筈もない人影・・しかも、自分の知っている人が写っていたのだから・・



「つ・・剛君・・」



「え!?剛君なら、もう・・居ないはずじゃ・・」





そう・・

「剛」という人物は・・


既に他界していた。


愛紗が中学生から付き合っていた彼氏・・


高校の入学早々・・

病気でこの世を去った。


そして・・


ずっと忘れられなかった剛君が

先ほどの携帯に写っていた・・


想い出の

ベンチで・・


そう思った瞬間、恐怖の感情が込み上げてきた愛紗・・


ガタガタと震えているのがわかった。



「愛紗・・大丈夫?」


「・・・ちょっと・・ダメ・・・」


美咲がその様子を見て、愛紗を抱きかかえる。

全身が震えているのが分かった・・・


しばらく、そのまま抱かれていた愛紗・・

涙が出てくる・・


「愛紗・・」









「落ち着いた?」


「うん・・」


「ケータイに剛君が写ったんだね・・」


「うん・・・」



「でも、アプリで写ったの・・

 ヒジリさんの送ってくれたアプリに・・」


「ヒジリさんって・・

 直メ送ってきた人?


 そのアプリを見せたかったの?」


「うん・・たぶん・・」


「ちょっと、見せてよ」



美咲に携帯を手渡す。

先ほどのアプリの表紙が表示されている。


「『霊感ケータイ』?これを送ってきたの?」



 ピ



アプリを作動させてみる。


何も写っていない・・・



「う~ん、何にも写らないけど・・」



部屋中をぐるぐる眺めまわしても、何の変化も無い・・


「公園では、映ったの・・・」


「そっか・・じゃあ・・

 もう一度、公園に行ってみる??」


恐ろしくて、公園へ行くことが出来ない愛紗・・

首を横に振る。



「そうだね・・怖い想いしたんだもんね・・

 じゃあ、明日、私も付いてくよ!」


「うん・・」



その日は、美咲が愛紗の家まで送ることにした。

公園を避けて、遠回りのルートで・・








その夜・・


自分の部屋で、中学校の卒業アルバムを見ている愛紗。

クラスの集合写真の中に、剛という男の子が写っている。


昼間、公園で見た顔と同じだった。


「剛君・・」


公園での出来事を思い出している愛紗・・

あの携帯に映し出された人影は、確かに、剛君そのものだった・・


あのヒジリという人は、剛君を知っていたのか?

そして、あの想い出の公園も・・


それとも・・


あれは、本当に、剛君の霊が映っていたのだろうか・・



得体の知れないアプリ・・そこに映し出された映像・・

いったい、あのヒジリという人は、何のために、

あんなモノを送りつけてきたのだろうか・・



その時・・




『メールが来てるよ!メールが来てるよ!』


携帯メールの着信音が鳴り響く。






「ヒジリ・・

 さん・・・」


メールを開く。



 昼間は驚かしてゴメン。

     Hijiri





 驚いたのを

 知っているの?

 見ていたの?

     aisa
















 見てはいない。

    Hijiri









 じゃあ、

 あの人を

 知っているの?

     aisa












 知っている。

     Hijiri














 あの場所も

 知っているの?

      aisa














 知っている

     Hijiri













 じゃあ、

 私の事も

 知っているの?

     aisa












 知っている。

     Hijiri








 あなたは、

 誰?

     aisa
















 今は、

 言えない。

     Hijiri








 私の事を、

 監視しているの?

     aisa






 監視・・

 そんなつもりはない。

 見守っている。

     Hijiri




 見守っている?

 それが監視って言うのよ!

     aisa




気味が悪くなった。

部屋の中を見渡す。


カーテンも閉め直す。


何処からか、監視されているのか・・不安がよぎる。


そのメールを最後に、ヒジリという人からのメールは途絶えたが、

常に監視されているような・・恐怖感でいっぱいになる愛紗・・



全ては謎だらけだった。

ヒジリという人が、何故、アプリを送ったのか・・


そして、そのアプリで、写された者・・剛君でなければならなかったのか・・

何故、剛君の事が分かったのか・・

それは、身近な人にしか分からないはずだった・・・



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