エピローグ
あの世・・お花畑・・
翔子ちゃんのお父さんが、地獄での修行を終え、帰って来た。
「あら、翔子ちゃんのお父さん・・お帰りなさい!」
「ただ今、帰りました・・」
沈黙・・
「何だか・・翔子が居ないと、寂しいですね・・」
「ええ・・今頃、どんな修行をしているのか・・」
「そう言えば、翔子が居ないのに、僕は・・ここに帰って来てもいいんでしょうか・・?」
「え?どういう事ですか?」
お母さんが、不思議に聞く。
「翔子はあなたに親しくして頂いた・・
僕は翔子の父親でもあるわけだし、
ここに帰ってくるのが当たり前のように思っていました・・
でも、もう翔子は居ないんです。
僕がここに帰ってくる理由は・・」
「そ・・それは・・」
急に他人行儀になる翔子ちゃんのお父さんに少し不満そうなお母さん。
「あ、でも、待ってください・・」
「?」
「私の家内が、あなたの旦那さんと結婚したって事は・・
元カレ、元カノの関係なんでしょうか?」
真面目に考えて出した翔子ちゃんのお父さんの意見に、少し呆れている僕のお母さん・・
「普通、彼女の元カレと、彼氏の元カノが付き合うって事・・あるんでしょうか?」
たぶん、それは、ものすごく確率の低い事だと思う。
でも、何か違うような・・
「それじゃあ、私たちは、赤の他人って事ですか!!?」
お母さんが怒り出す。
「い・・いや・・ちょっと待って下さい!」
「何ですか??!!!」
「こ・・こうしましょう!」
「??」
「私達も・・改めて、お付き合いするってのは?」
いきなりの提案に、驚いているお母さん・・
「それって・・・
プロポーズですか?」
「そ・・そう言われてみれば・・そういう事に・・なります・・ね・・」
いきなりのプロポーズに唖然となっている母・・
「ちょっと、待ってください・・考えさせて!」
「あ・・直ぐに結論を出さなくてもいいですよ・・
時間を掛けて、ゆっくりとで・・」
何だか、思わぬ展開になってきたようだ。
それにしても、僕のお父さんとは、違って、流されやすいのだな・・翔子ちゃんのお父さんは・・・
「あの~」
お母さんが聞いている。
「はい?」
「静江さんの時は、どういうプロポーズだったんですか?」
雨宮先生とのプロポーズを聞いている母・・何で、こんな時に・・
「あの時は・・・、なんとなく・・・」
「なんとなく?」
「はい。可愛かったんで、一緒になろうって・・」
まあ、確かに、美男子だから、そういう人にプロポーズされればクラッとなるわな~・・
「ひょっとして、私もですか~?」
「そ・・そうですね・・カワイイですよ!」
・・・なんて、軽い人なの?・・・
翔子ちゃんとの地獄での特訓も、翔子ちゃんが修行をしたいという事で、
どちらかというと、付き合いで、主体性も無く、流れでやってきた感じもある。
このお父さんの性格と行動に、一抹の疑問を感じている母・・
「う~ちょっと・・考えさせて下さい・・・」
・・ウチの旦那とは、全然違うタイプね・・・
「あ、もう一つ!」
「な、何か?」
・・何?まだあるの??・・
「私・・ちょっと考えたんです。」
「はい・・」
・・・今度はなに??・・・
「やっぱり、僕にとって、ヒロシ君も、僕の息子だって、思う事にしたんです。」
「え?」
「翔子とは、義理の兄ではあったけれども、本当の兄妹として、彼は、接してくれた・・
彼のその姿を見ていたら、翔子と同様に、彼を、僕の本当の子供として、今後、力になれれば・・って・・」
「(翔子ちゃんの)お父さん・・」
「だから僕は、
翔子に負けないくらい、
修行して、彼のサポートに回る・・
それが、僕の使命だって思っているんです!
響子さんには、スミマセンが・・
まだ、『愛情』とかまではいかないのが本音です・・
まだ、静江の事は・・
忘れられない・・
でも・・
彼の、義理の父親として、頑張らせてください。」
翔子ちゃんのお父さんの本心を聞いて、僕のお母さんが答える・・・
「わかりました・・
私も、直人さんの事が・・
今でも・・
でも・・・
それなら、
私たちは、『家族』でいいんじゃないんですか?」
「家族?」
「私たちが愛し合うまでも無いと思います。
もう、
私たちは既に、
家族ですよ。」
にっこりとほほ笑むお母さん。
「響子さん・・」
見つめ合う二人・・
「ここに、いつでも、帰って来てください・・待ってますよ・・」
「はい・・僕も、頑張ります。」
何か・・いい感じになってますが・・
さてさて、長きに渡った、霊感ケータイ「5」も、これにて終了となります。「6」でお会いしましょう!
童子四天王の魔の手が迫る中、どんな展開になっていくのか・・こうご期待!!




