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双禍の朝廷  作者: 借屍還魂
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序章

時雨笠ミコトさんとの共同製作の小説となります。

同じ時間軸、別視点で展開していく話です。この話だけでも読むことはできます。

 建国史を話してほしい?いいけれど、少し長くなるよ。


 今から百五年前、一人の赤子が大陸の交易拠点である平原に生まれた。その男児は、生まれつき日輪のような金色の瞳と髪を持っており、人を惹きつける不思議な魅力があった。

 平原は、その利便性を求めた東西南北四つの国が常に覇権を争っており、そこに暮らす人々は常に戦争と隣り合わせで暮らしていた。そんな中で、その少年は両親に守られ、仲間たちと支えあいながら逞しく暮らしていた。

 ある日、その平原に東の国の軍団が差し向けられた。他国の動きを警戒し、先んじて平原を押さえてしまおうと動いたらしい。その平原に住んでいた者たちは、軍団に逆らうことができず、頭を垂れて暮らすことになった。

 しかし、隣国からの扱いは酷いものであった。宣戦布告もない急な侵攻の上に、まるで捕虜のような扱い。農作業を強いられたが、狩猟生活をしていた平原の民たちはそれに耐えられなかった。

 決起しよう、そう言ったのは誰だったか。男たちだけが集まった席で、小さいが決意を込めた声で発されたその言葉に反対する者はいなかった。

 青年も、反対はしなかった。しかし、戦力が足りない、とだけ告げた。自分が他の国に協力を求めてくるから、それまでは待ってほしいと血気にはやる同胞たちを宥めた。

 青年は、東西南北それぞれの国から協力を得ようと思いついた。四方向から囲ってしまえば、確実に平原に駐屯している軍団を倒すことができると思ったからだ。

 青年は、始めに南の国に訪れた。隣接する東の国が平原を支配し始めたことに焦っていた南の国の名家の一つ、紫かかった髪を持つ一族が協力を約束した。青年は協力の印に猪の牙の耳飾りを受け取った。

 青年は、次に西の国に訪れた。南の国の協力の証である猪の牙を見ると、西の国の名家の一つ、白い髪に赤い瞳の一族が協力を約束した。青年は協力の印に鳥の羽の髪飾りを受け取った。

 青年は、三番目に北の国に訪れた。北の国の殆どの人間は南の国の猪の牙を見ると嫌そうな顔をしたが、青い髪の一族だけは協力を約束してくれた。青年は協力の印に羊の角を使った首飾りを受け取った。

 青年は、最後に東の国に訪れた。東の国の王は他の三国の物を身に着けている青年を気味悪がり、牢に入れた。しかし、緑の髪の一族の長は青年の瞳に可能性を感じ、虎の毛皮を掛けて協力を約束し、平原へと逃がしてやった。

 そこから、平原を取り戻すために青年は沢山の準備をした。駐屯する軍団の下働きをして、弱い所を徹底的に調べ上げた。そうして、確実に勝利を得られる時を待った。

 そして、今から九十二年前、東西南北それぞれの国の名家を味方につけた男は、平原に駐屯していた軍団を破り、再び平原に自由をもたらした。

 平原を取り戻した男は、仲間たちに王になるよう頼まれた。再び他国に攻め込まれないために、強い王が必要だと平原の誰もが望んだ。男は、仲間たちの頼みを受け入れ、自身を助けてくれた四家を国に招き、王となった。

 その男は、太陽のような輝きから、陽と呼ばれるようになった。そして、いつしか周囲は男の建てた、平原の国を陽帝国と、その男を、太陽の皇帝、陽紅鏡と呼ぶようになった。

 太陽に守られるこの帝国は、沈むことなく今なおこの大陸の中央で輝きを放ち続け、四つの家は太陽たる皇家を守り続けている。


「その四家の一つ、北の青い髪を持つ家が、私の家だ」


共同小説と同時更新の為、毎日は難しいので週刊更新を目指しています。

次回は2月22日迄に更新予定です。

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