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成績不良

作者: 一日ハル

「よー、栄美子」


 授業と授業の間の10分の休憩時間。何もしないままではもったいないし、何かをするにはコップ面もゆっくり食べない微妙な時間。しかし、未成年者の義務教育制度が存在する国の国民であれば、少なくとも2000時間くらいは。必ず、経験したはずの時間。


「何だ?瑞希」


 『そういえば、学生時代の休憩時間には…』という冒頭で話をはじめて、

『何をしたっけ?』で話しを終えても珍しくない時間に、毎度、前の席の同級生に

話をかける少年がいた。


「私の成績が低かった理由に気づいたよ」


「あ、そう」


「理由を聞いてくれ」


「嫌だ」


「日本政府が私の成長を邪魔するからだ」


「ハアー」


少女の拒否を軽く無視して、自分の話をつづく少年。


「国家の義務って何だと思う?」


「なぜ、希望もない君の成績不良に、国家の義務まで

論じらなきゃだめなの?」


驚愕する少女だったが、いつものように少年の話に

巻き込んでいる。


「国民の健康と安全でしょう?」


「マー、そうだろう...ね。」


「もしさ、私の成績が上がったことで、私の社会的な

地位も上昇したと考えてみろ。どうなると思う?」


「まー、いいんじゃない?別に、その観点から考えたことは

ないけど、頑張って勉強していい職場をもって、できることが増えるなんて

理想的なことだろう」


「それだ!」


いきなり、少女の頭に向けて、指をさす少年。

でも、前の席の少女は少年に向けて振り向けていないため、

少年の指先について気づいていなかった。


「もし、私がこの日本社会を変える力をもつように

なるとどうなると思ってみろ。」


「そんなこと絶対あってはならないな。」


即時に答える少女。


「その通り…」


「ゴキブリの触手の動きをモールス符号に解釈して

社会の行き方を決める方がより、希望的なことだよ」


「…そのくらいか。」


「この社会がこの世のすべての汚物が混ざったゴミ箱にならないため

君が成長してはならないことは、わかった。

でも、それを防ぐためだったら、どんなクズのような人間でも

自発的に協力するだろう。政府まで必要かな?」


稀なことに、少年に質問する少女。しかし、また稀なことに

少年の側から何の返事もなかた。


「ねー、聞いている?」


やっと少年に振り向く少女。少年は、自分の心臓のところを掴みとって

机の上でうち伏していた。


「なにしているの?やっと、死んだの?

よかった。日本の未来が滅亡に落ちる要因の

一つが始末されたことで、今日は新たな祝日になるだろう」


「ダ、ダメージがひどすぎるから、ちょっと勘弁してください。」


心理的なショックに落ちた少年をみて満足感を感じたようにみえる少女


「ふむふむ、で、質問の答えは?」


「そ、その通り、誰でも協力するだろう。

でも、だからこそが国家が手を出す必要がある。」


「うん?」


「単純なことさ、電気や水道などを国家で

管理する感じ」


「あ、確かに多くの人の人生を地獄に

落ちるものだからか。納得いくは。」


「お前、かなり真面目に俺の事、災害だと

思っているな」


「何を言っているの。そんなはずないでしょ」


断固に否定する少女のことを見て感動する少年


「栄美子、まさかお前,俺のことを...」


「瑞希のことを私が、思うはずがないだろう、

そんな汚いこと」


「あ、そうですか。」


話が横道にそったことを感じた少女、

話題を戻す


「で、理由はわかったけど、いったい

どうやって、あんたのことを邪魔するの?」


「大したことはいらない。20人戦略を使えば」


「20人戦略って?」


「効率的に人のことを不幸にさせるために

必要な最少減の人数が20人ってことさ…

例えば、最近なんか「今日は、運が

悪いな」と感じたことある?」


「当然、君が声をか...」


「俺と関係ないやつで」


「うん...昨日、コンビニに3回も行ったけど、自分が好きなおにぎりだけ

売れ切りだったことかな」


「もし、それが『君の不運』のせいじゃなく、『君の不幸』のために

結成された20人組織のせいだったら?

君が好きなおにぎりの中身を調べたうえで、

君がコンビニを訪問する直前に2個ずっつ買ったとしたらどう?」


「...そんなことするヒマな人間あるわけ無いだろう」


「そんな常識すら、利用するのよ。あの組織は。

逆に聞くけど、そんな組織がないってこと証明できる?」


「先に君の家に君以外のラクダが無いこと証明してくれれば

私もそうするよ、『無い』は証明できない。瑞希の

ダジャレはうんざりだよ」


「やっぱり、毎日教えるがりがあるなわが弟子」


「誰が弟子だ」


「でも、僕にはつくだろう。先、全力は納得したはず」


「ふん、だったらどこかの20人が潜んで

君の勉強でも邪魔しているってこと?」


「いや、潜んでいない。」


「は?」


「クラスメイトの過半数と担当の吉田がその

20人組織だ」


「ア...」


「だから、このクラスでは、俺が成績をあげることなんて

不可能。なぜなら国から選別された優秀な人材が私を全力で

邪魔するから。結局、私の成績が低いのは、俺のせいじゃない。

決して、勉強が不足したわけではないわかったか栄美子これが

真実なんだよ」


「ね、瑞希。」


「何だ、栄美子?」


「ノートのコピしてあげるから

もうやめて。本気でもう聞きたくないから」


「サンキュ、そろそろそれお願いするタイミングだった。」


「毎度、そんな怪論理するんじゃなく、素直でお願いしてくれない。

毎回疲れるよ」


「いや、私はいつも真実を伝えクッ...」


 また、何かを話す少年の顔に手にあった本を投げる少女。その瞬間、次の授業の科目の先生が教室に入る。また、もう二度と帰れないつまらない雑談が、誰かの記憶にも残らず、消えっていく



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