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第三話 始まりの大地

目が覚めると見知らぬ街にいた。

中世ヨーロッパ風の街並み、車がわりの馬車、決め手は空に舞うペガサスの群れ。これらの事実から確信を得た。

ただ確信を持ったとは言え、所詮実験の一環、命に関わる危ないことはないとレンは思った。


「異世界・・・転移ってやつか・・・異世界ファンタジーのお約束は『世界の危機の直前に召喚されて魔王を倒す』みたいなやつだけど・・・」


周りを見てもレンを召喚したと思われる魔術師はいなかった。


「つまりRPGゲームの初期段階みたいなもんか」


自分の中で納得させたレンは情報収集のため、街を探索することにした。


ざっと見渡した限りで、『人間』『魔法使い』『獣人』など様々な種族を見つけたが、レンのように『ジャージ姿の日本人』みたいな格好をした人なんて一人もいなかった。


「お兄ちゃん!お兄ちゃん!」

声のする方に顔を向けると、小さい女の子がレンの服の袖を引っ張っていた。


「お兄ちゃん、もしかして迷子なの?」


レンは女の子に心を悟られた気分になった。


「い…いや、そんなことないよ」


レンは咄嗟に答えた。


「でも、さっきから辺たりをキョロキョロしてたし、見慣れない服装だし、怪しそうだし」


「うっ」


女の子の「怪しそう」という言葉にレンは言葉を濁した。


「お兄ちゃん、迷子なんでしょ?案内してあげる!」


意味もなく右往左往するよりも、と思い結論、女の子について行くことにした。


女の子について行くにあたっていろいろな発見がをすることができた。この国で使われている文字は少なくとも「日本語」では無いこと、この国では身分がはっきりしていること、そして、この国は君主制であること。


そうこう考えているうちに女の子が足を止めた。たどり着いたのは一軒の屋敷だった。


女の子はドアをノックして入っていった。


「ただいま戻りました、マスター」


女の子が話す先には1人の女性が座っていた


「ご苦労さん、カエラ。街の方はどうだった?」


「はい、特に異常はございません」


「ありがとう…ところで、そちらの男性は?」


「はい、こちらの男性は迷子のようでして」


「迷子か…キミ、名前は?」


二人の会話から、突然レンに話を振られた。


「水無瀬…連と申します」


「ミナセ レン、ね…いい名前、それにしても見慣れない服装…出身地は?」


ここが異世界と分かった以上、「日本」と答えるのは少し変だと感じた。


「東の島国です」


「東の島国となると…『ヤマト』にあたるわ」


「ヤマト?」


「あれ?違った?」


「あ、合ってますよ」


「ところで、今日は行く当てはあるの?」


「え?えっとー、その...」


もちろん行く当てはあるはずがない。かと言って初対面で、泊まらせてほしい、みたいなことは言えない。


「図星」


「図星ですね」


レンの考えは2人に見破られていた。


「それならこの屋敷に泊まるといいわ。部屋も余ってるから好きな部屋使って」


「いや、でも...」


「ささ!遠慮しないで!」


レンは断り切れず、泊まらせてもらえることになった。


「そういえば、キミの名前は聞いたが私の自己紹介はまだだったね。私はレナ、よろしくね」


レンは「よろしくお願いします」と返す。


そしてレナはボソッっと言った。


レンが2階の部屋に向かったのを確認するとカエラは話を切り出した。


「お人好しですね、レナ様。しかしいいのですか?初対面でこんな事をしても」


「うん。でも普通の初対面とは違う。名前を聞いたときに気付いた」


「ただの気のせいでは?」


()()()の名前を間違えるはずがない」


レナの言葉によりカエラの記憶が蘇る。


「まさか...」


「気付いたようね。レンって子もいずれ彼と同じ道を歩むことになるだろう」


「然るべき時まではこのことはマスターと2人だけの話ですね」


※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



ノック音が廊下中に響き渡る。


「アマデウス様、少々厄介な異端者が王都オズワルドをうろついているとの報告が」


「名前は?」


「『ミナセ レン』...そう名乗っています」


不敵な笑みを浮かべる。


「『ミナセ レン』か…なかなかいい人材だな。目をつけておけ」


「はっ」

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