4/6
自分は誰?
湖のほとりに着き、私は顔を洗った。冷たい水の感覚から、これが夢や妄想ではない事に気づかされる。
(アルギュロスが私のことをメガイラと言っていたけど…。)
私が知るメガイラとは、ゲーム内のラスボス的存在だ。アルギュロスが陰でプレイヤーに貢献する役割なら、メガイラはそれに敵対するポジションであるはずだ。
(……それに…私が知っているメガイラと、今の自分の姿はあまりにもかけ離れている…。)
湖に映し出される、血を綺麗に洗い落とした後の今の自分は、どこからどう見ても一般農民、『ヘイロタイ』のキャラデザであった。白髪で色白の少年の見た目をしている。農民は、アルギュロス等とは違い、魔力も少なければ、力もない。農民の役割は、アルギュロスや他のレアキャラが出た時に合成し、ステイタスを上げるくらいしかないとされていた。その農民の姿をした私の事を、アルギュロスは何故かメガイラと呼ぶ。
「…ここは本当に私の知るゲームの世界なのかなぁ…」