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強者を従える弱き者?
タナトス・アルギュロス。銀髪の長い髪を横で結っている、紅蓮色の瞳の青年だ。見ただけで分かる鍛えられた肉体に、背中に背負った十字の剣。私は彼に見覚えがあった。彼が私が思っている人物で間違い無いのなら、この場所にも検討がつく。しかし彼は何故、私をメガイラと呼ぶのだろう。メガイラは…
「あ、あの。アルギュロス様…もしかしてここは、ナタトロンの森…ですか…?」
おずおずと尋ねる私に、アルギュロスは怪訝な顔をして答えた。
「…まさかメガイラ様。貴方、先程の戦闘で頭が可笑しくなってしまいましたか?それとなんなんですか?その呼び名は…いつも通りアルと呼んで下さい…。」
「…そ、そんな!恐れ多いですよ!私はただの使えないヒューマン族です!何故アルギュロス様が私などと一緒に…」
私はそこまで言うと思わず言葉を飲み込んだ。アルギュロスが物凄く険しい顔をしてこちらを見てきたからだ。
「…貴方は…本当にメガイラ様ですか…?」
疑惑に溢れた紅蓮の瞳に見つめられ、私は息を思わず飲み込む。