シリトーのススメ
皆さんこんにちは。今回はイギリスの作家シリトーです。私は「長距離走者の孤独」と「土曜の夜と日曜の朝」しか読んでいませんが、どちらの作品も良かったのでご紹介します。
私はシリトーが文学史的にどういった立ち位置で、あるいはどのような人物なのか知りません。ですがやはり英語の性質上なのか、イギリスの作家はズケズケしています。(前にも言いましたが)
この厚かましさが悪く出ると可愛くない女性が生み出されますが、良くでるとシリトーのような武骨な作品ができ上がるのかと思います。
シリトーの作品に出てくるのは所謂アウトローだったり、例えばトレインスポッティングや時計仕掛けのような若者を想像して下さい。彼らの退屈な日常が舞台です。
音楽が無いので物語は退屈です。立原正秋の冬の旅の方が100倍面白い。
なのですが、シリトーの作品に出てくる青年達はある時ふいに気付いてしまうんです。この気付きがとても良く描けています。何に気付いたかというのは説明が難しいのですが、以前紹介したサリンジャーの作品に近いと思います。ライ麦のエンディングだったりテディの○○の理由だったりに似ている。
ですがサリンジャーほどなよなよしていない。武骨なんです。また退屈な日常がやってくる、そういう作品です。
私も電車の中では武骨です。渋い険しい表情をしています。そしてある日気付いてしまいました。社会の窓が開いていることにね。




