ワタシハダレ、ココドコ!?
ココは--ドコダ----
目の前に広がる大草原に靡く風が頰へと触れる。
オレは--ダレだ?
自身の掌を見る見慣れている手だ
途端に頭がグラつき立っていた足に力が入らなくなる、ポスンと音をたてて草原に座り込んだ
座り込んでから何秒、何分経っただろう
「あ、思い出した」
霞みがかった記憶がわずかに晴れる
俺は日本の何処かの浜辺で何故か海を眺めてたんだ
そして気付けばとある少女が歩いていたんだ。
和風の服を着た古風な少女
黒髪ロングの、その姿を見た時なんか
うわっ!デカイ日本人形が動いてるとか思ったぐらい綺麗に整えられた顔をした少女だった。
少女はゆっくりと俺の前まで歩いてくると俺の顔を見て微笑みこう言ったんだ
「助けてほしいの…」
普通ならここで『何が会ったんですか!?』と聞くんだろうが
何故か俺はその時こう返したんだった
「今度デートしてくれるなら助けましょう」
なんでこんなナンパ紛いのセリフを助けを呼ぶ少女に言ってんだと呆れられるセリフにも関わらず少女はまた微笑みを浮かべ
「ありがとう」
それを最後に俺の記憶はプッチリと途絶えていた
「あの子本当にデートしてくれんのかな…ってそうじゃないそうじゃない!ココハドコ!?ワタシハダレ!?誰か俺に説明プリーズッ!」
大声で叫ぶも反応なし
聴こえるのは草原が風で揺れる音だけ
不思議な事にここへ来る直前の事や日本の事そして基本的な知識は覚えてるんだが俺が誰で何者かが全くわかりません
記憶喪失というのでしょうか
ほんっっとに!なんも思い出せないんだなあ!
って…こんな事に興奮すんなよ俺!
取り敢えずこんな何もない草原に座ってても何も始まらないし取り敢えず……歩くか…
というか誰でもいいから会いたい!知らない所で1人って超怖いし
自分が誰かわからないせいでもっと怖い!
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歩く事1時間
一向に草原は終わらず次第に日が落ちてきた。
どうやら時間的に夕方くらいのようだ
歩けども歩けどもこの草原を抜ける算段がつかない
果てしないほどの草原だ
やがて無限に広がる草原の視界に何かが見えた
この草原からようやくの人工物らしきものに俺は興奮し近づいていった
だが次第にソレは俺の視界でもはっきり形がわかるくらいになる
「アレは……墓か?」
そこにあったのは墓石のようなものだけだったが
一つ異様な点があった、
その暮石には何十もの鎖のようなものが雁字搦めに巻きついており何故かその姿が俺には誰かが縛り付けられているように映った。