なっちゃんのながれぼし
「なっちゃん、今夜は『オリオン座流星群』よ」
お母さんが言いました
「おりおん…りゅうせいぐん?」
なっちゃんは聞いた事がありませんでした
「そうよ。流星群ってのはね、たくさんの流れ星がやってくる日なのよ」
流れ星ならなっちゃんも知っています
「流れ星は落ちるまでの間に3回願い事と唱えると、そのお願いは叶うの。なっちゃんの願い事は何かしらね。」
その夜、なっちゃんは流れ星にお願いしようと思い、みんなが寝静まった後、こっそり団地内の公園に行きました。
夜の公園はひっそりと静まり返り、ひんやりしています。
こんな夜中に一人で公園にくるなんて…
なんだか悪い事をしているような、怖いような…でも流れ星も見たいし…
なっちゃんは少しドキドキです。
…お願い事かぁ
何をお願いしようかな?
「おいしいお菓子をいっぱい食べたいし、かわいい洋服も着てみたいなぁ。お花畑のある、お姫様みたいなおっきなお家に住んで、おっきな犬を飼いたい。あぁ、迷っちゃうなぁ」
そんな事を考えて空を眺めていると
「あっ!」
南の空にひとすじの光が流れました。
なっちゃんは両手を合わせて願います。
「ええっと…お菓子がいっぱいと、かわいい服と、お花畑のあるおっきなお家と、んで、おっきな犬を…」
流れ星はあっとゆう間に消えました。
「ながれぼしって早いなぁ…もっと早くにお願いしなきゃ」
すると、また流れ星が流れました。
「あっ!お菓子と服とお花畑とお家と犬!お菓子と服とお花畑とお家と犬!お菓子と服とお花畑と…」
流れ星はあっとゆう間に消えました。
全然間に合わないや
もっと早くにお願いしなきゃ
でも、そんな早くに言えないし。けど早く言わなきゃ。
どうしよう、どうしよう…
迷うなっちゃんをよそ目に、また流れ星が流れました。
スックと立ち上がったなっちゃんは、握りしめた両手を天に突き上げ、叫びました。
「金!カネ!!かね〜!!!」
その叫びは静まり返った団地内に大きく響きわたりました。
こうして今、なっちゃんは、毎日おいしい物を食べ、高価な服を着て、お花畑のあるおっきなお屋敷に、愛犬『パトラッシュ』と暮らしています。
「ながれぼし、大好き」
みなさんは流れ星に何をお願いしますか?