0
物心ついた頃から、王子様の周りには男女問わずたくさんの人がいました。
艶のあるさらさらとした黒髪、大きな目は笑うと三日月型になり男の子と思えない可愛い笑顔。
明るく利発的でスポーツも万能。
王子様は本当に、生まれた時から王子様でした。
幼稚園・小学校では、クラスの女子の大半は王子様のファンでした。
中学校では、お姫様になりたい女の子たちは王子様に猛アタックし、王子様は気の向くままに女の子と付き合いました。
高校に入学して、王子様は思春期特有の苛立ちを感じるようになります。
モヤモヤとした王子様の行き場のない苛立ちは、相変わらず王子様に群がる女の子たちへ向かいました。
纏わりつく女の子たちへの言動や扱いが次第に乱暴になりましたが、それでも女の子たちは後を絶ちません。
そんな中、一人の少女の登場によって、王子様の世界が大きく変わります。
少女はごくごく普通の女の子でした。
顔も、スタイルも、学力も運動神経も・・・王子様への態度も「普通」だったのです。
そしてその「普通」が王子様の心の何かに触れたのです。
王子様の群れの中にいた女の子が詰め寄ります、どうしてあの子なの!?と。
女の子は悲しみや憤りを感じていても、美しい顔をしていました。
王子様はその美しい顔を一瞥し、揶揄して言うのです、見た目だけのお前とは違うと。
美しい顔の女の子に萎縮していた普通の少女は、王子様がそっと引き寄せると安心したように笑いました。
王子様もその顔見て満足気に笑います。
目を合わせて笑い合う二人はとても幸せで、王子様はやっと心の平穏を得たのです。
・
・
・
・
・
めでたし、
めでたし・・・・・?