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足跡

 いよいよ、第一章もこれで完結です。研二がはじめてレコレッタの存在を知ることになります!

 ベンツは港で止まった。人気の無い静かなその場所は、波音だけが響き渡っていた。そこには、まさに二人の世界――ボルサリーノと研二の二人がいるだけだった。煙草を吸っても構わないかと聞くボルサリーノに、コクッと研二は静かに頷いた。


「研二、お前はマフィアってヤツをどう思う?」


「どうって……」


(……そんな俺には理解できない。そもそも俺の日常とかけ離れすぎて、どんなものだかも知らない……)


「まあ、わからないよな……」


 研二の心の内を探ったかのように、ボルサリーノは答えた。


「話を変えよう。お前、友達が何でこんなことになったか知ってるか?」


「いや、知らない」


「じゃあ、友達のバイトのことは?」


「噂ではなんか、危ないバイトって聞いた。俺が商店街でアイツに会ったとき、アイツはボストンバッグを持ってた。だから、麻薬がらみかなって思った」


「なるほどね」


 ボルサリーノはフゥーっと口から煙をはいた。


「その答えは合っていてるが、合っていないな」


「……どういう意味?」


「まず、ボストンバッグの中身は瓶詰めの栄養ドリンクだった。だが、そんなものはわざわざ隠して持ち歩くようなものじゃない」


「じゃあ、なんで?」


「それは、栄養ドリンクに見せかけた新型の覚醒剤だからだ。通常、普通の人が飲んでの特に害を持たない。覚醒剤の成分は体外に排出される。だが、ある特定の錠剤と一緒に飲むと、覚醒剤の作用が現れる。薬との作用で覚醒剤の働きをするから、ドリンクからは成分が検出されないんだ」


(そ、そんなことが可能なのか……)


「あと、お前を襲ったヤツらだが、どうやら、竜東会の連中らしい」


 竜東会は日本のヤクザ組織の一つだ。他の組との抗争で、度々新聞を飾っている。少数派マイノリティーとされているが、その残忍で冷酷なやり口で新聞やその他、マスコミの話題になっていた。


(ヤクザ組織……。だとするならば……)


「じゃあ、麻薬も大元はそこが?」


「残念ながら違う。ヤツらは、別の組織から買ったものを売り捌いているだけなんだ」


「じゃあ、どこが……?」


 少しの間口を閉じたまま、ボルサリーノは黙っていた。そして、


「それなんだよ、研二」


 ボルサリーノの声が低くなった。


「現在、メキシコからアメリカ、フランスからアジア・アフリカに至るまで、大規模な麻薬ルートが形成されている。そこでは“検出されない麻薬”が大量に出回っている。背後には《犯罪者の集い“レコレッタ・ディ・クレミナーレ”》という組織が絡んでいる」


「聞いたこともないな……」


「当然だ。表に出ることなく、それでいて世界中に麻薬をバラまける。ただヤツらの活動は麻薬に留まらない。詳しいことはわからないが、何やら世界を動かす力を持つと聞く」


 そこまでいい終えたボルサリーノは、研二の方に目を向けた。

「研二、ヤツらの組織の壊滅に力を貸してくれ」


「えっえ~と…。今なんて言った?」


「だ・か・ら、組織の壊滅を手伝ってくれっつってんだ!」


「えっ、えええええええ~!!!!」


研二は絶叫してしまった。


(ま、まさかの……来たー!!!!)


「で、でも、俺…マフィアのこととか全然知らないし……」


「当然だよ」


 ボルサリーノは静かに頷いた。帽子をかぶりを直すと、再び研二を見つめ、


「研二、お前一人じゃない。みんな(・・・)でだ。俺の部下やファミリーの仲間と共に闘うんだ。一人じゃない。大丈夫。丸腰で拳銃を持ったヤツと面と向かえるなんて、並のヤツには出来ない。お前は並みじゃない。だから、出来るって確信したんだ。学校での成績なんか関係ない。お前の気持ちが明日を開き、お前の進む道が世界を照らす。ファミリーの為じゃない。――世界の為だ」


 父の言葉は今までのどの言葉よりも厚みがあった。ボルサリーノは続けた。


「血は流されるためのものじゃない。薬は人を狂わせるためのものじゃない。血は温もりを感じるもの、薬は人を病の苦しみから救うものだ。お前が走るのならば……その先に何が待とうと、一緒に立ち向かう仲間がいる……」


 そう言ってボルサリーノは右手を差し出した。


 この日を境に研二の人生は変わった。それはそうなるべきものだったか?それとも、そうでないのか?そんなことは誰も知らない。「歩くところに足跡は残る」分かっているのはそれだけだ。固く交わされた親子の握手は誓いのあかしだった。それが研二の一歩目の足跡なのかもしれない。しかし、研二自身、その足跡を見ることはないだろう…。


――彼が後を向くことは無いのだから――

 いかがだったでしょうか? 第一章、ちょっと女の子が出せませんでした……。すいません!あ、でも二章からは千夏以外にも何人か出てきますよ~♪

 一章は、何だかんだで話を詰め込みすぎてしまったかもしれません。二章からはレコレッタの新しいメンバー、ボルサリーノファミリーの面子、そして、女の子(というより、女性?)を登場させる予定です!お楽しみに!そして、今後もトミーガンをよろしくお願いします!!

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