対峙
張りつめた時間が流れた。5分……。300秒……。いつバレるかもしれないという緊張感がした。それはもしかしたら死することの恐怖なのかもしれない。だがこの稼業が長かったせいか、それがどこか子供の遊びのような楽しみにさえ思われてしまう。それとは身体中を巡る興奮感。狩りを待ち望む肉食動物のように、彼らもまた、身体に刻まれた野生を目覚めさせる機会を待ち望んでいた。心臓が二つの意味で高鳴る。それはセルビアにとっても、ビーグリーにとっても同じだった。
「監視カメラのハッキングとカモフラージュ完了したよ。入り口のロックも解除してある」
ロバートのその声を待っていたとばかりに、セルビアたちはそれぞれ東側、西側から開かれた隠し扉の向こうに姿を消す。隠し扉の先には暗い廊下が広がっていた。
「だいたいは予定通りか。お前ら、全員無事だな?」
セルビアの声に全員が頷いて応じる。
「よし、いつでも撃てるようにしておけよ?」
歩みを進めながらセルビアは声をかける。セルビアの指示通り銃創を装填し、そして先へ先へと進む。そして、とうとうNMBの入り口まで辿り着いた。
「止まれ。お前ら、どこ……、ぐっ!!!」
拳銃片手に警備にあたっていた男たち三人声をかけた。だが、彼らは何をすることもなく倒れ去った。セルビアたちの方が早かった。警備の男たちが口を開く前に、引き金に指をかけていたのだから。




