華麗なる強盗団
応接間にはすでにコルボが来ていた。
「よお~~ガスティーッ!! 随分な会社じゃないか!」
ソファーにどっと腰を下ろしたコルボ。あまり大きくない応接間にコルボの大声が響く。
「まあ、くつろげよお。っで、どうしたんだ?」
ガスティーはコルボの正面のソファーに腰を下ろす。女性社員の持ってきてくれたアイスコーヒーを啜り、コルボの方を見た。
「ああ、少し用があってな! おっ、ありがとう」
コルボは女性社員からアイスコーヒーの入ったグラスを受けとり、テーブルの上に置いた。そして、空いている片手をそっとのばし……
「ひゃっ!!!」
女の悲鳴が響いた。次には皮膚と皮膚がぶつかる高い音。自分の胸元を抑え、逃げるように彼女は部屋から出ていた。
「ったく、コルボさん、いい歳してなにやってんですか!」
コルボを叱責するガブリエル。
「いや~、だってあの娘可愛かったし~!!……ほら、ナターリアのはツルツルすってん一枚岩だしさっ!」
少し赤く腫れた頬を擦りながら自分なりの弁明をする。
「けっ、この変態どスケベくそ野郎」
ガスティーの横に座ったガブリエルが低い声で口をこぼす。付き合え切れないと感じたのか、コルボの方へはそっぽを向けたまま、スマホをいじり始めた。
「おいガブリエルっ!! お前なんか言っただろ!!」
「いえ、別に何も」
ガブリエルはスマホを見ながら素っ気なく応える。
「嘘つくなぁ~!! お前俺に何て言った?」
立ち上がってガブリエルの正面までやって来たコルボ。ガブリエルもさすがに威圧を感じたのか、画面から目をそむけてコルボの方に鋭く眼光を光らせる。凍りつくように静かな空気。コルボ v.s. ガブリエルの冷たい戦争が始まりかけていた。
「あ、コルボ~。お前ぇあ、何の用でここに来たんだ? セクハラが目的じゃねぇだろ?」
しばらくの沈黙を破ったのはガスティーのその一言だった。とっぴなその一言が二人を一時休戦させる。
「ああ、そうだった。すまん、ガスティー」
そういってコルボは本題を、話を切り出した。
「話ってのは今日のファミリーの会合のことだ」
△▼△▼△▼
その頃、この会社の前に姿を現した男たちがいた。コルボたちはまだこの男たちの存在に気付いていない。
「セルビア、例の協力者っていうのは大丈夫なんだろうな?」
セルビアの右後ろにいた男が声をかけた。どこかインテリ風の風貌の男、ドミトリー・バルシニコフ。黒のタートルネックセーターにデニムの出で立ちをしている。バリシニコフは持っていた機関銃のストラップを肩にかけた。
「ああ、ヤツは凄腕のハッカーだ。腕は俺が保証する。今回の獲物はここ、マフィアの銀行……さ。ここは一見するとただの会社だが、リンカーンが今か今かと俺らの迎えを待ってるぜ」
「出た~、ムカつくキザ発言!お前のそーゆーカッコつける所が昔から好きになれねえんだよな」
セルビアの左隣にいる肉体派の男。名はラファエル・ビーグリー。セルビア・ロシュフォールの幼馴染みにして右腕として知られる強盗。ビーグリーは愛用の散弾銃を携えていた。黒のTシャツにカーキのパンツを合わせ、全身をコートで包んでいる。上半身に巻き付けた弾丸を隠すためだ。
「へっ、んなもん知るかよ。それでは野郎共、“仕事”を始めるぞ」
セルビアのその一言がいつも仕事始めの合図だった。そういうと男たちはビルの中へと消えていった。たくさんの鉄と火薬のかたまりを携えて。
次回より、
コルボ&ガスティーv.s.強盗団 篇
本部襲撃 篇
研二、レッジ、ロイのハワイ 篇
の順番で同じ時間軸のストーリーを書いていきたいと思います!




