千夏暴走録
「チャーリー、やっぱり奴らジュニアを狙っているみたいだよ。だが、今妙な動きをするわけには行かない。……どうする?」
「ああ。交渉が潰れれば我々の立場にも少なからず影響が出るしな。何より、レコレッタの人間をアメリカに引き入れることにも成りかねない……」
「……仕方がない。ここは奴らに全てを委ねてみようぜ、チャーリー」
「……やむを得ないな」
ボルサリーノは考えた挙げ句、その決断をした。
「レッジ、今回はお前たちに全てを委ねる。くれぐれもジュニアのことを頼むぞ」
「はい。指一本触れさせません」
レッジの返事を聞き終えたパトリックはゆっくりと受話器を戻した。だが、このときのボルサリーノは自分達にも生命の危機が迫っていることを知る由も無かった。
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その頃、研二不在の城ヶ崎高校の2年E組にて。
「ああ゛ぁあああああああああ!!!」
教室内にその声は響き渡った。すぐさま静けさに教室内が包まれた。
「ちなつ~、ほらほら」
美雪が声をかけてなだめた。
「み~ゆ~き~!!! いーったいあのクソ馬鹿研二はどうしてんのよ!!!」
もはや、暴走寸前だった。まあ、研二から見ればいつも暴徒しているんだろうが。
「それがさぁ~、何かね、インフルエンザ(?)らしいよ」
「「イ、インフルエンザっ!?」」
今度は浩二までが一緒になって声をあげてしまった。顔を見合わせる千夏と浩二ーー。
この日、研二は表向きはインフルエンザにより、出席停止……となっていた。だが、今は6月。流石にインフルエンザというのは無理がある季節だった。
「え、ちょ、こんな時季にインフルエンザとかウケるんですけど!!」
千夏が机をーー違った、机の上の浩二の手を叩きながら笑いだした。
「あ゛~、もうコイツいじるの飽きた……。 でも、6月にインフルエンザって……。しゃーない、この千夏様がバカ研二の為だけに時間を割いてやろうっ!」
声も出ないように驚く浩二と美雪。
「こーじ、これはもしや……」
「お、おう。進展するかもしれないな……」
顔を見合わせたまま、小声で話す。
「……ん? どうした二人とも?」
二人の様子に気付いた千夏が問いかける。美雪は何でも無いとだけ伝えた。
「あ、美雪も行くでしょ? あのバカの家」
「え? あ……う、うん。こーじも今日暇だよね? 一緒に行くでしょ?」
「ん、ああ」
「よし、決まりだね! んじゃ、放課後にあのバカの家に行こう~!」




