木枯らしの曲
フレド・カイ
BREAKのアンダーボス。少し気が弱いところがある……
男の鋭い視線の先には垂れ目をした初老の男、フレド・カイがいた。
「いや、加担と言うわけでは……。しかし、このまま争いは避けた方が良いんじゃあ無いですかねぇ?」
少し禿げた頭を撫でながら発せられたその声は、どこか気弱だった。フレド・カイのBREAK内の立場ではボスの次。本来ならば、敬語を使うのはウブの方だ。
「けっ、これだからジジイは嫌いなんだよ……。古クセェ頭でしか物が考えられねぇからな!」
立ち上がったウブはそのままドアまで歩みを進めた。わざとらしく音をたててドアを乱暴に閉めると、近くに控えていた部下を引き連れて去っていった。
「やれやれ、困ったもんだ。あ、グレゴ。お嬢はまだお部屋ですか?」
ウブが出ていったのを確認したしたフレドは、横に控えていた部下の一人に聞く。
「ええ、先程お呼びしたのですが……」
「したのですが…?」
「『会議ィ? それはバカのすることでショ? そんなこと、ボクの知ったこっちゃないナァ~♪』だそうです……」
「はぁ、あの人も困ったお人だ……。仕方ない、私がアジトへ直接呼びに行ってくる。グレゴ、車をまわしてくれ」
△▼△▼△▼
イタリア郊外。音をたてて降り続ける雨は土を濡らす。ひっそりと佇む大きなその屋敷の一室で、男はピアノに向かっていた。どこか寂しさ漂う優しくも哀しいーー子守唄のような旋律。だが、一瞬にしてその雰囲気は破壊された。荒々しく流れ砕けていくかのような右手の旋律、低く唸るように響く左手の和音。うす暗い部屋に響くショパンの練習曲作品25の11『木枯らし』。それが男の弾いている曲だった。不意にドアを開ける音がした。男は鍵盤の上の指を止めた。
「失礼、邪魔をするつもりは無かったんだ。遅れて悪かったな、オーガスタ」
来客はドアに寄りかかりながら声をかけた。雨に降られたせいか、男は濡れた髪をかきあげた。雫が垂れて床を濡らす。
「10分の遅刻ですか。遅かったですね、ドローレス・ドルトゥーラ。道にでも迷ったかと思いましたよ」
腕時計から顔を上げたオーガスタはゆっくりと振り返った。
「ははは、すまんな。野暮用でね」
「野暮用ですか……。フフッ、まあ良いでしょう。ようこそ、イタリアへ。貴方とは二人っきりで話してみたいと前々から思っていましたよ」
オーガスタはゆっくりと右手をドローレスへ差し出した。
今日は、伊勢崎です!更新遅くなり本当にすみません(´д`|||)
だって暑くてやる気出ないんだもん!!(←ただの言い訳)
……はい、失礼しました。
ふう、レコレッタの話を久々に書けましたよ~(^^)v
いゃあ~、実はこのシーン、前々から書きたかったんですよ!!!
いやだって、実は………
おおっと、ネタバレ出来ないwwwwでは、これからもトミーガンをどうぞ宜しくお願いしますm(_ _)m
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