訓練開始!
翌日、研二の目を覚ましたのはロイの声だった。
「研二様~、起きてくださーい! ほら、始まりますよ」
「……ん、ん~ロイ? おはよ~」
目を擦りながらゆっくりと身体を起こす。ぼやける視界の中にロイがいることを研二は確認した。
「おはようございます! ささ、始めますよ~。レッジが待っています。早く着替えて下さい~♪」
ロイは白いTシャツにデニムを履いたカジュアルな格好をしている。ベッドの右脇で研二の肩を叩きながら声をかける。
「ごめ~ん、あと5分だけ……」
そういうと研二は再びベッドに潜り込む。ため息をつくロイ。
(はぁ、仕方ないなぁ。研二様、すみませんね……)
ロイはベッドから少し離れると、駆け出した。そして、両足で跳ねるとベッドの上に飛び乗る。
「必殺、“スペシャルホッピングアタック・オンザベッド”っ!!」
「△、§◎※@%*□っ!?」
声を上げる研二。目を大きく見開いて遠くに腕を伸ばして助けを求める。
「ふう、目覚めました?」
ゆっくりと立ち上がったロイが声をかける。身体を起こした研二はベッドの上でコクコクと頷いた。
このとき研二は次は必ず起きようと心に誓うのだった。
△▼△▼△▼
用意されたジャージに着替え、研二はロイと共に射撃場に行った。地下の射撃場は少し暗く、硝煙の臭いが立ち込めていた。長さは50m程度だろうか、射撃場レーンが5つ広がっていた。レッジは黒Tシャツにカーキのズボン、防弾ゴーグルという出で立ちだった。射撃場にはレッジの他、二人の部下がいた。
「ジャック、もっと脇を閉めろ。後ろ姿がみっともないぞ。レオ、手首がブレている。もっとしっかり構えろ」
二人の部下が発砲する中、レッジは後ろから声をかけていく。
「レッジ~」
ロイが声をかける。声に気づいたレッジは後ろを振り返る。
「ああ、来たか。研二様、今日は改めてよろしくお願いします。」
「こ、こちらこそ……」
研二は腹を擦りながら答える。そして、レッジの指示で準備体操をする。
(これ、マフィアの射撃練習というより軍隊の訓練じゃん……)
「では、始めましょう。先に言っておきます。これは、敵を攻撃するのではなく、己の身を守るための技。それを忘れないでください」
レッジは真剣な眼差しで研二を見つめた。研二はぎこちなくも首を縦に振る。
「まず射撃姿勢から。肘を伸ばしてーー」
レッジは研二のフォーム直しかながら、後ろから手を伸ばして一緒に銃を構える。そして、そのまま手にかけた引き金を引いて……
《2時間後……》
「そのまま、前かがみの姿勢で。そう、大分良いですよ」
レッジは研二の後ろから声をかけていく。その後ろでロイはじっと研二を見守っていた。流石はマフィアの首領の息子、元々射撃センスを兼ね備えているのか、2時間後にはレッジ、ロイをも驚くほどの上達を見せた。
「お疲れさまでした。今日はこの辺にしましょうか。では、朝食に」
レッジが手を差し出しながら声をかける。研二はそのまま手にしていた拳銃をレッジの手の中に預けた。後ろで待っていたロイと共にエレベーターの中に乗り込む。レッジもそれに続く。
「にしても、流石ですね。正直ここまで上達するとは思いませんでした。流石はボスの子です」
エレベーターの中でレッジが研二に声をかける。そしてエレベーターが1階に着いたことを確認すると、レッジが声をかけた。
「では後程。失礼します」
そう言ってレッスンエレベーターを降りていった。




