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目論み

組織の登場!今回は組織《犯罪者の集い “レコレッタ・ディ・クレミナーレ”》についです。

登場人物

・フードの男:正体不明。組織の創設者(?)

・セルビア・ロシュフォール:敏腕の強盗。フランス在住。組織の幹部。

・ドローレス・ドルトゥーラ:組織の幹部。情報操作のエキスパート。

・オーガスタ・ベレー:”心の読める男“。恐喝の天才。

・ヤオ:薬のプロ。麻薬製造にた長けている。元中国三合会の幹部。

・ソニー・ドロー:殺し屋。フードの男のボディーガード。

・フランチェシコ・ボルドバ:メキシコの麻薬王。

・ロバート・ジョンソン:天才ハッカー。イギリス在住。

・サム・グイノーソ:”血みどろの処刑人“。殺し屋。

・黒田忍:元ヤクザ。組織の幹部。

 スイスの郊外。黒塗りのベンツは灰色の空によく映えた。運転しているのは黒のスーツを着た一人の男だ。左胸の拳銃がスーツに膨らみを作っていた。車を大きな屋敷に向けて走らせる。館は小さな町ではよく目立っていた。

 館に着くと、男は車を停車させ、助手席からアタッシュケースを取った。車から降り、まっすぐに屋敷の門を目指した。バタンっと音がして大きな扉が開けられた。

 部屋にはすでに何人かがいた。黒塗りのテーブルに椅子がおかれており、水やらブランデーやら、ワインやらとそれぞれの飲み物が注がれていた。暖炉の火が輝くにも関わらず、どこか冷たい空気が漂っていた。


「遅かったな、セルビア」


 一人の男が声をかけた。テーブルの一番奥に座っており、フードを被っているため素顔は見えない。口元だけが彼の顔だった。手元のグラスには紅いワインが注がれていた。後ろにはボディーガードと思われる男がいた。その姿はまるで、フード男の影……といった雰囲気だった。


「すみません。何せフランスからでして。向こうでの仕事が長引きました」


 男は答えた。

 セルビア・ロシュフォール。フランスのみならず世界にその名を知らしめる、天下の強盗。この組織での彼の占めるポジションは高く、幹部の席につき、会計を任されていた。


「けっ、フランスからとはよく言ったものだぜ。俺様はアメリカからわざわざ赴いてやってんだぞ。まぁ、どっかで女をたぶらかしてんだったら話は別だがな」


 皮肉たっぷりにフードの男の横に座っていた男が呟いた。右目に黒の眼帯をし、髪を後ろに撫で付けていた。ドローレス・ドルトゥーラ。アメリカを拠点として活動する情報操作のプロ。彼もまた、この組織では幹部の地位だった。


「ドローレス、うるさい。お前の声、耳障りね」


 黒いマオカラースーツを身につけた小柄なアジア人風の男が声をかけた。彼の隣には男がいたが、彼は何も語らなかった。無口な男の名はサム・グイノーソ。冷酷な殺し屋として名を馳せていた。


「けっ、ヤオ、てめぇはまたひとの話に首を突っ込むんだな」


 少しキレて応えるドローレス。犬猿の仲である二人の言い争いは絶えなかった。


「まぁまぁ、落ち着いてくださいよ」


 メガネをかけたイギリス人が二人をなだめた。痩せ過ぎた細身のロバート・ジョンソン。普段は一流のプログラマーとして働く一方で、天才ハッカーとして活動している。時々、ドローレスにも情報提供をしている人物だ。この二人無しに組織の情報網は機能しない。


「にしても、セルビア、今月の利益はどうです?」


 ロバートが話を変えた。言い争いをしていたドローレスとヤオの二人も耳を貸す。


「え~っと……麻薬分による収入は約1億$、武器の売買と犯罪計画の提案で2億$ってとこだ。いずれ銀行員を買収した上で、ちゃんと資金洗浄マネーロンダリングをしてある。アシはつかないはずだ」


 セルビアが手元の資料を見、答えた。


「ほほ~ん、資金洗浄マネーロンダリングとはいい口実を思い付く。とか言っといてテメーは一部を横領しようって魂胆なんじゃないのかね? セルビアくーん」


 小馬鹿にしたように男が声をかけた。黒田忍。元ヤクザの若頭でヤクザとの間にはいまだにパイプを持っている。


「貴様の脳ミソは、常に人をを疑うことと、バカにすることしか出来ないのか? 哀れなものだ」


 負けじと言い返すセルビア。よく見ると右手が左胸にまで伸びていた。


「言ってくれるねぇ~。まーそっちこそすぐにカッとなって人一人くらい殺っちゃうんじゃないの? 感情任せのドロボーさん~♪」


「ほざけ。俺はこの人生でまだ一人しか殺めていない。血で血を洗う貴様らとは違う仕事をしてきた。一緒にするな……」


 目は怒りに満ちていた。しかしらその口調はどこか穏やかで憂いを帯びていた。


「落ち着けよ。どっちにしろ犯罪者に変わりねぇだろうに。俺もあんたらも」


 葉巻をふかしている男が言った。でっぷりとした体格でド派手は紫のスーツに赤いネクタイを巻いていた。フランチェシコ・ボルドバ。メキシコの麻薬王。彼もまた、組織の一員だった。


「ねぇ、オーガスタ、こいつ嘘ついてないか?」


 まだ信じきれない黒田は隣に座っていたオーガスタという男に声をかけた。


「フフッ。嘘はついていませんよ。瞳孔が開いているわけでもなければ、声の変化や血圧の上昇も見られない」


 観察を終えたオーガスタは答えた。この男が言うならば間違いはない。諦めた黒田はチッと舌打ちをした。




「会話をお楽しみの間、邪魔して申し訳ないが、よいだろうか?」


 フードの男が言った。辺りは静寂に包まれた。凍りついたようだった。


「我々は、諸君の尽力のもと利をあげ、富を得られた。だが、ここで我々の活動が終わったのではない。ここで、私はNERO計画を提案する」


「計画もいいけど、そろそろ俺らにあんたの素性すがたを明らかにしてくれねぇか?」


 ボルドバが言った。次の瞬間、銃声と共に、ボルドバの左頬に赤い線が描かれた。線を引き、落ちた銃弾は高い金属音を奏でていた。フードの男の手にはヘッケラー&コッホUSPという拳銃が握られていた。ドイツの軍隊でも用いられている、現代的な拳銃だ。


「話を邪魔するとはあまり感心しませんね。大人しく静かに待つ、と言うことを知らないのならば、こちらから静かにして差し上げましょうか?」


 冷ややかだった。氷のように冷たく、それでいて色あせることの無い存在……。


 ボルドバは咳払いをし、すまん、と一言謝った。


「これは失礼。話の続きを。お手元の資料を見ていただく分かるのですが、今回のNERO計画ですが……」


 そう言ってフードの男は話を続けた。手元の資料には世界地図が描かれていた。NERO計画…。公に内容を知る人などいなかった。誰が悪夢が起こると予想しただろうか?真っ黒な闇が、世界を覆い隠そうとしていることに、どのようにして気づくのだろうか?


 黒き暗雲が美しき者共を染めようと暗躍した。人々は無意識のうちに闇の中に閉ざされ、地獄のような日々を――いや、地獄にも無いような苦しみの日々が始まろうとしているのだった……。


 少し早いのですが先に登場させてみました~♪

《犯罪者の集い ”レコレッタ・ディ・クレミナーレ“》。何をやってるのかまだまだ謎です……。フードの男とか名前すら出てきてないですもんね。あ、組織のメンバーはこれからもう少し増えていきますよっ!では、次回はまた、研二の話から。お楽しみに!

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