表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/55

少年よ、その手に銃を

皆様、明けましておめでとうございますm(_ _)m

伊勢崎です。新年初のトミーガンです!どうぞ、今年もよろしくです!(^^)v

「……え? 銃の扱い方をっ!?」


 最初に叫び声を上げたのは研二だった。スラックスのポケットからそっと拳銃を取り出す。少し小さめの黒いその拳銃、ワルサーPPKは艶やかな光を放っていた。


「……ボス、よろしいのですか?」


 次に口を開いたのはレッジだった。まだ銃を撃ったこともない男子高校生に銃の扱い方を教える。それは、最悪の場合、他者の命を捨てでも自分の命を守ることを教え込むに等しい。


(ボスは自分の息子を人殺しに仕立てたいのか……)


「明日から地下の射撃場で頼む。あ、ロイ、研二と先に帰っててくれないか? 俺はレッジともう少し話がある」


「分かりました。研二様、行きましょう」


「う、うん……」


 研二とロイはそのまま退室した。ボルサリーノとレッジを残して。


△▼△▼△▼


 ロイは研二をのせた車を走らせていた。


「研二様、どうされました? さっきから一言も口を開いていませんが」


「ロイ、俺はさ、少し怖いんさ。自分がマフィアの中で人殺しになるのじゃないかって」


「……なるほど。ですが、そんな心配無いですよ~♪ボスはそんな方じゃありません」


 研二は黙ったままだ。目の前の恐怖から逃げられないように……。


「研二様、ボスはあなたに銃を手渡したのは最悪のことを考えてです。確かにそれは、人を殺すことのできるものです。しかし、この世に殺してもよい人間などいない。ただ、私たちがこれから相手にするのはそんなことをお構いなしに仕事や商売にするヤツらです。そのことを覚えておいてください」


「うん……」


 静かに頷く研二。正直なところ、研二はいまだにここにいることに自分自身疑問を持っていた。


(なぜ、俺は今ここにいる? 父親の説得に圧倒されたから? ……違う。非日常の世界に憧れて? ……いやいや、そんな簡単なことじゃない。……だったら、なぜ……?)


 自問自答を繰り返すだけだった。だが、答えを出す前に車は目的地へと辿り着いた。


「研二様、着きました。ここがあなたのもう一つの家です」


 目の前には大きな塀に囲まれた黒い門があった。王宮のようなその家こそ、ボルサリーノの邸宅だった。大きな門が音をたてて開くと、目の前には大きな噴水が水を吹き出していた。ショウメンカラ一人の老人が歩み寄る。黒い蝶ネクタイに、黒いタキシードを着こなしていた。 


 ロイは車をその入り口で停めた。老人は近寄ると、車のドアを開ける。


「ようこそ。……いや、おかえりなさいませ、研二様。17年ぶりです」


△▼△▼△▼


 その頃、レッジとボルサリーノはまだトスカーナ・リゴレットの隠し部屋にいた。


「ボス、一体どういうつもりでしょうか? 研二様に人を殺すことを教えるつもりですかっ!?」


 レッジは冷静さを欠いていた。


「研二がここに来る前、奇襲にあった。相手はまだ誰だか分からないが、間違いなく研二に危機が迫っている。本来なら、俺が守ってやらねばならないが、俺にはその自信が無いんだよ」


「……世界最高のガンマンの台詞セリフとは思えませんね。それは息子、ベッティネリ様のことがあったから……ということですか?」


「……ああ。いずれにせよ、研二は仲間だ。そして息子だ。もう後戻りは出来ない」


「……分かりました。相手の腕を狙い、銃を持てなくするように教えれば宜しいでしょうか?」


「それでいい。どうか、宜しく頼む」


「……あなた様に頼まれては断れませんよ。では、戻りましょう。研二様もお待ちになっているでしょうから」



 レッジとボルサリーノは部屋を出ていった。 


 △▼△▼△▼


 東京都内の中華料理店にて。


(ウェイ)さん、炒飯(チャーハン)おかわり!」


 熱気に包まれた料理店の中で、中年サラリーマンが店主に声をかける。壁に画ビョウで貼り付けられたメニュー。その白い紙に油性ペンで書かれたメニューは少し色褪せていた。この店も開店から早数年。連日の賑わいとは言い難いかもしれないが、帰宅途中のサラリーマンの食事処として親しまれていた。


 「あいよっ! 炒飯(チャーハン)いっちょう!」


 威勢のいい声は狭い厨房内に響き渡る。鉄鍋の中で油の跳ねる音をもかき消して。

 炒飯(チャーハン)を作っている隣で、男は鍋を凝視していた。湯気を立て、ボコボコと沸いた湯の中では金ざるに入った麺が踊っていた。そして、さっと金ざるを持ち上げると、上下に振って水気を取る。


(……ったく、こんな仕事よく続くものね)


 麺を丼ぶりによそりながら男はふと、そんなことを考えた。

 この店は男の生きてきた世界とは異なった空間――。鉛弾とも、硝煙とも、クスリとも、無縁の空間。ふと、男はポケットに入れた褐色の薬瓶を眺めた。その中で動く液体、それが今宵の彼の相棒だった。


「シュー、出前の配達頼む。場所はこのメモに書いてあるから」


 店主のその声が男を再び自分の世界に連れ戻す。


 この男、シュー・ガイツァー。またの名を……



           “死神”


今回、実はAzlさんの小説、「幼馴染と隠しナイフ」とコラボさせて頂きましたー!トミーガンのキャラを幼ナイフの方でも使って頂いています!読者参加型の推理小説なので、ぜひ読んでみてください!(^^)d


幼馴染と隠しナイフ

 http://ncode.syosetu.com/n0528bw/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング←ポチっとしていただけると嬉しいです!よろしくお願いしますm(__)m     関連資料はこちら←作中に登場した銃器や独特の言い回しをまとめてあります!ぜひ、こちらも参考にしてください! コラボさせて頂いた作品です!ぜひ(*^^*)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ