銃撃戦の最後
ジョージ・マクマディー:ドローレス・ドルトゥーラの右腕。イタリアでの作戦にも従事していたが、なんとか逃げ仰せ、今に至る。
しかし、ベンツの大破される様子の一部始終を見ているものたちがいた。
「こちらA班、全滅しました」
トランスシーバーを片手に男が言う。
「了解。では、作戦Bに切り替える」
通信は途絶えた。
こちらは研二たちのベンツにて。
「ロイ、パトリックさんに一応報告しておいた方がいんじゃないの?」
ナターリアは横にいるロイに声をかける。
「んー? あ、そうだね」
ロイはスマホを取り出すと、電話を掛けた。
「あ、もしもし、ししょーですか?ロイです~。お久しぶりです!…“先ほど、奇襲にあってちょいと派手にやらかしました。……はい、研二様に被害はありません。ベンツ3台ぶっ壊したので。犯人は今だわかりません。……いえ、このまま本社に向かいます。はい、……では失礼します」
電話を切り終えると、ロイはナターリアの方を向いて、
「ししょー、“ヘリ使うか?”だってさ。アパッチがこの辺飛んでる方が目立つのにね。本社まであとどれくらい?」
「……30分で着くわ」
「んじゃ、寄り道しよ。腹が減った。俺のおごりでなんか食べないか?」
「賛成っ!!」
ナターリアと研二が同時に叫ぶ。少し照れる二人。
「ナターシャは何が食べたい?」
「は? そこは研二様の希望を通すのが筋でしょ?」
「あ、いや。俺は何でも……」
遠慮がちに答える研二。
「じゃあ、ナターシャ決めてよ」
「え? 特に思い付かないわよ」
「何でもいいから、適当に言ってみて」
「じゃ、ホテル・カペーロの高級ランチで」
(し、しまった……!)
ナターリアの策にまんまとはまるロイ。
「うっ……。いくらなんでもそれはちょっと……」
「あなた、確かに何でもいいって言ったわよね?」
更に追い討ちをかける。
「はいはい、言いました!言いました!わかったよ。じゃ、ホテル・カペーロに向かって」
もはや、ロイは抵抗できなかった。
△▼△▼△▼
研二たちがホテル・カペーロに着いた頃、ドローレス・ドルトゥーラはアメリカに着いた。
「おかえりなさいませ。長旅お疲れさまでした」
スーツを来た男が迎える。
「ああ。ありがとうジョージ」
「お荷物はこちらへ」
男は荷物を受け取ると、トランクに積み、車を出した。名前はジョージ・マクマディー。彼の手下の一人だ。
「今回もまたあの集まりですか?」
「ああ。物凄く神経を使ったよ。何でも、計画が第二段階に入るとかでね」
「なるほど。で、今日はどちらへ?」
「う~ん 上手いものでも食いたいな。よし、十番街のレストランまで飛ばしてくれ」
「承知しました」
そういうと、男はエンジンをかけた。
△▼△▼△▼
その頃、ホテルについた研二、ナターリア、ロイの3人は席に着き、一息ついていた。
「……ん? ロイ! もう着いたのか。それより、どうしたんだこんなところで?」
いきなり声がかけられる。振り向くとそこには、スーツを着こなした男がいた。
「おお、師匠ー! お久しぶりです! いやぁ~、実はナターリアにおごりを迫られて」
ロイは立ち上がって頭を下げる。そこには、パトリック、モニカ、コルボがいた。
(おいおい、おごりをいい始めたのはロイだろ……)
研二とナターリアは内心そう思った。コルボは相変わらずナターリアにちょっかいを出している。
「相変わらずだなお前は。で、彼がチャーリーの?」
研二の方に目を向けたパトリック・ベレー。
「ええ。あ、研二様、こちらは組織のNo.2で、我々の相談役を努められているベレーさんです」
「パトリック・ベレーだ。チャーリーとは古い馴染みでね。組織では経理と相談役を努めている」
「あ、もしかしてロイが電話をしていた。え~っとコンシエ、コンシュエ……」
「ははは、コンシェリエーレ、相談役ってことだよ。よろしくね」
男は自らの右手を差し出した。
「あ、はい。こちらこそ」
慌てて差し出された手を握る研二。
「では、我々は先に行ってるよ。せっかくのランチを邪魔しても申し訳無いしね。あ、ここは私が持とう。金のことを気にしていたら、せっかくのランチも不味くなる」
そういうと、パトリックは札の束を一つテーブルの上に置いた。
「ししょ~!」
ロイは涙目になっていた。
「またあとで」
そう言い残すと、パトリックは後ろを向いたまま手を振り、そのまま去っていった。モニカとコルボも研二に手を振ると、そのままパトリックについていった。
こんちは!伊勢崎です(*^^*)
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