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ロイの過去

「私が生まれたのは、アメリカの、あるスラムの様なところでした。アイルランド人の母とイタリア系の父との間に生まれた私は、日本で言う小・中学校と通いましたが、高校には進学できませんでした。他の人よりかは少しばかり、頭は良かったのですけどね。

 中学校卒業後、私はイタリアン・レストランを展開する会社に就職しました。後の株式会社トスカーナ・リゴレットです」


「それって、親父の会社じゃあ……?」


「はい。そうなんです。これが、私とボスの出会いでした。まだ幼かった私にボスはお金を金利なしで貸して下さったり、何かと面倒を見ていただきました。いつか、その恩をお返ししたいと思いましたよ。

 私が高校を出ていないことを知ると、ボスは“高校どころか、大学にも出してやる。お前は頭がいい。こんなとこで終わるに惜しい。”といって下さいました。そして、私が教員になりたいと打ち明けたときも、心から賛成してくださったのです」


(へぇ~親父もそんな優しいとこがあるんだな……)


「そこから先は、順調でした。高校・大学と進学をし、教員免許を取得、私はニューヨークにある高校での教師の職を得ました」


「だったら、何で……」


「ある日のことでした。私はいつも通り数学の授業を終えました。その時、偶然通りかかった近くの倉庫で、女子生徒が大麻を隠れて吸っているのを、目撃してしまったのです」


「大麻を……?」


「はい。人一倍正義感の強かった私は、直ぐに大麻を巻いたタバコをその子の手から、振り落とし、止めるように言いました。それからも私は何度もカウンセリングをし、止めるように説得をしましたよ」


「その子は結局止めたの?」


「はい。ですが、それがその子の人生を潰してしまいました」


「……えっ?」


研二の口から驚きの声が漏れる。


「カウンセリングの末、その子は薬を止めました。後遺症にも苦しみながらも、必死に耐えていましたよ。彼女は必死に頑張りました。ですが、彼女がクスリを止めたことをあまりよく思わないヤツらもいました。彼女にクスリを売っていたカラーキャングのヤツらです。

 クスリを定期的に受け取っていた彼女を不審に思い、彼女をリンチしたのです。激しいリンチの末、彼女は帰らぬ人となりました……」


「私は彼女の危険に気付けなかった。彼女を守ってやることが出来なかったのです。苦しみながら死んだ彼女……。独りよがりな正義とやらを言いつつも、口先だけに過ぎなかった。これが理由です」


「訳わかんないよ!悪いのはロイじゃなく、薬売ってたやつらじゃん!卑怯にも、薬を使って荒稼ぎすることしかできない野郎共。ロイは正しいことをした。それでいいじゃん。どうにもならなかったことだよ。その子も、短い時間だけど真の幸福を手にできたと思う。廃人になりそうなところを、ロイは救ったんだよ!」


(研二様……)


 研二の声は機内一杯に響いていた。だが、それでも研二は気にせずにいい放つ。


 「研二様、ありがとうございます。これからも、研二様に教え続けてもよろしいですか?」


 「もちろん!」


 「ありがとうございます!これからも、数学に限らず、かっこいいコーヒーの飲み方から、女性の口説き方まで、幅広く教えさせて頂きますね~!!」


 少しふざけるが、真面目なところはとことん真面目…。研二は少し風変わりな、この先生が好きだった。その後も、この先生との会話を楽しんでいた。アメリカまではあっという間に着いてしまった。

こんにちは。伊勢崎です!ロイの過去はいかがだったでしょうか? 次回は、あの女キャラの本格的登場です!

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