忍び寄る影
初めて見る、マフィアとしての父の姿。そして、少年は決心した。そして、遂にヤツらの計画の目的とボスの正体が……!
こちらは山下家。無事、アメリカ行きを勝ち取った研二とロイは旅の支度をしていた。
「あ、研二様~ボスの贈り物忘れないで下さいよ~」
「え? あ、あのスーツ?」
「はい。向こうに着いたら着ていただきますからねぇ~」
(マジか……)
一瞬荷造りをしている手が止まった。あるはずの拳銃が無い。
「あ、拳銃……。ロイ~、俺の拳銃知らない?」
「ああ、それでしたら既に輸送済みですよ~。さすがに持って空港はダメでしょう」
さすがはマフィアのボディーガード。その手の配慮は行き届いている。
「だよね~。あと、今回もプライベートジェット使うの?」
「あ、いえ。それは今アメリカなので。ボスがファーストクラスをとって下さいました」
「ファ、ファーストクラス!」
「はい~」
(これまた初体験……)
やはり普通の旅行ではなかった。研二は旅行に胸を踊らせながら支度をするのだった。
△▼△▼△▼
そのころ、竜東会の事務所では竜崎がパソコンの画面を見ていた。また、例の人物とのやり取りだった。
竜崎:「……条件の変更ですか?」
G:「ああ。さすがに、ボルサリーノを殺るのは君たちでは無理だろう」
竜崎:「はい」
G:「では、条件を変えよう。コイツを殺せ」
竜崎は添付されていた写真を見る。それは、中・高校生くらいの少年だった。
竜崎:「このガキ……。あっ! 我々の商売を邪魔したアイツでは無いですか!」
(……何でまたこんなガキを……?)
G:「ああ。しくじんなよ」
竜崎:「……わかりました。お心遣い感謝致します」
もはや、竜崎に理由を聞く余裕はなかった。ただ、ガキのほうが殺りやすいということに変わりはなかった。
一方、その男は画面越しに笑みを浮かべていた。
(バカな野郎共だ。俺様が裏で木曽組に手回しを回しているとも知らず、潰しあうのだからな……)
ガキを始末することに、メリットはあった。イタリアでの一件、それが彼には気がかりだった。サム・グイノーソの報告が正しければ、そのガキに今後も計画を邪魔される可能性はある。そして、自らの手を汚すことなく始末できるのであれば、それは好都合だった。犯罪界の覇者は高らかに笑った。
△▼△▼△▼
翌日、研二は母静子の見送りを受け、成田空港に向かった。静子は、お金は持ったか、忘れ物はないかなど、相変わらず研二のことを気にかけていた。
ロイの部下が運転するベンツが空港に付くと、荷物をおろし、搭乗ゲートに向かった。はたからみると、二十歳を過ぎた年の離れた兄と弟の旅行……。そんなところだろうか。
ふわふわのシートに寄りかかった研二とロイはゆっくりと離陸を待った。離陸後、15分くらい経ってからロイが口を開いた。
「それでは研二様、約束を果たしましょうか」
こんにちは。伊勢崎です!遂に三章突入でございます。お待たせしました、三章からは少し銃撃戦などのアクション面が多くなります!それと、ボルサリーノの回想であることが……。トミーガンはまだまだ続きます。どうぞ、最後までお付き合い下さい!感想、ブクマ、お待ちしてます(*^^*)