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犯罪界の覇者

・グリエルモ・アゴスティーニ:イタリアを拠点として、活躍する武器商人。表向きは貿易会社の社長。

挿絵(By みてみん)


 ブラインドから覗きこむわずかな光は、部屋全体を少し明るくした。それでも少し暗いこの部屋に犯罪者たちは集っていた。陰鬱とした空間の中でも、相変わらずヤオとドローレス、セルビアと黒田は言い合いを繰り返している。しかし、その場はフードの男の発言により静まった。


「では、会議を始めよう。まず、ドローレス、イタリアでは、ご苦労だった。同じく、黒田も。はるばる日本での商談、お前以外努まらなかった。イタリアを制し、これで木曽組は我々の手の内、日本の暗黒街支配も容易い。それに、ヤオも。合成麻薬の作成、中国での麻薬の密輸、共に感謝するぞ」


 三人人を除く全員が称賛の拍手を送る。惜しみない拍手のなか、軽く頭を頭を下げる三人。


「特にドローレス、イタリアでは大変な働きだった……。ミスをするほど(・・・・・・・)にな……! なぜ、女を逃がしたっ!?」


 急に空気が重くなる。何人かクスクスと笑っていた者もいた。


「……いえ、これは私にも予想できなかったことで……」


「言い訳など聞きたくないっ!!」


 フードの男が怒鳴った。もはや、笑い声も聞こえなかった。ドローレスは、耳元に心臓の音が鳴り響いているのを感じた。


「見苦しいぞ、ドローレス。おい、ソニー……」


 フードの男は、後ろに控えていた殺し屋に声をかける。男は黙って拳銃を胸元から取り出すと、ドローレスの眉間に標準を定めた。


「ま、誠に申し訳ありませんでした……。か、神に誓って、こ、このようなことは二度と今後は……」


 必死に手をついて謝るドローレス。その目は死への恐怖とを悟った男の目をしていた。


「神なんかに用はない! まあ、いい……。俺様は寛大な人物だ…。一度の過ちは許そう」


「……ああ、ありがとうございます!!」


 ドローレスは安堵し、頭を下げ続けた。殺し屋の手からゆっくりと拳銃が下ろされる。恐怖から解放された瞬間だった。


「諸君、失礼したな。先を続けよう。今日は新しく我々の計画に参加するスポンサーを紹介する。我々の計画の目的は全世界の暗黒街の統一、そして暗黒街から世界を動かすことにある。そのための武力強化としてのスポンサー、SIDAシーダの会長、アゴスティーニだ」


「いや、どうも。ご紹介にあずかった、国際武器会社Società internazionale di armi、SIDAシーダの会長、アゴスティーニです。皆様の希望があれば武器の支度と調達は出来るのでね。どうぞ、お気軽に声をかけてください」


「ありがとう、アゴスティーニ。では、次に黒田の報告を聞くとしよう」



「まず、サムの報告によると、イタリアでの作戦中ガキを見つけたということでした。顔つきから判断するに日本人でした。そこで、竜東会に圧力をかけたところ、麻薬シャブの運び屋をしていたガキと一緒にいたところを写真に撮ったそうでした。それを木曽組幹部に頼んで調査させたところ、東京都内の男子高校生とわかりました」


 黒田は淡々と述べた。


「ほう、そいつぁ、面白れぇ。先を続けてくれ」


 ボルドバが口を挟む。黒田は咳払いをすると、続けた。


「このガキは山下研二というヤツです。今のところ、ボルサリーノとの接点は確認できませんが、例の麻薬取引もコイツに妨害されたとされます」


「ガキ一人に邪魔された。ガキ殺すいいね」


 ヤオが暗殺を提案した。ボルドバもそれに乗る。ボルドバは賛成するものの挙手を求めた。だが、それを阻む声がした。


「待て」


 フードの男が呼び止める。一同が男の方を凝視する。


「まだ我々は動くべきではない。ここは一つ、私に任せていただきたい。我々の手を汚さず、そいつを始末しよう」


 反対するものはいなかった。全てはこの男の指示のもと……。当然だった。


 ただ、一人疑う者がいた。ボルドバは半信半疑だった。


「しかし、アンタで出来んのか?」


 未だに信じきれないボルドバは尋ねる。この間の定例でもそうだった。裏切り、裏切られる商売の中だ。無理もない。


「仕方ない。俺様を一体だと思っているのだ、ボルドバ?」


 急に語調が変わる。男はフードをとり、その顔をあらわにした。ざわつく人々の中、ボルドバは驚きのあまり、声を漏らした。


「あ、あなたは……。そ、そうか、道理で……。これは失礼いたしました! 今までのご無礼、お許しください!」


 ボルドバは態度を改める。その顔からは血の気が引いていた。先程までからかったり、疑ったりをしていた男とは明らかに違う。それは、死刑宣告を前にしたドローレスと同じ、恐怖の色だった。


「自己紹介の必要はないな? ベッティネリ・ボルサリーノ、またの名を“犯罪界の覇者ゴルジアーノ”……。それが俺様の名だ。聞いたことくらいあるだろう?」


「ぞ、存じております。いつぞやのフレンチ・コネクションの件、大変お世話になりました!」


 ボルドバもまた、頭を下げ続けた。


「れ、例の武器の密売では……」


「こ、この間のハッカー事件では……」


 会場にいた人々が次々に頭を下げた。セルビアとオーガスタ、そしてドローレスを除いて。

 遂にレコレッタのボスが…明らかになってませんね。一体どーゆー人なのか全く分かりませんもんね。ただ、自分で“犯罪界の覇者”とか言ってるってことは結構なナルシストなのか、これ。

まあ、ボスのことはさておいて、次回はガスティーの初登場です!(名前のみ前にも登場)フロリド・ガスティーってガス欠にちなんだ名前なのですが、それを彼の性格と重ねて読んでいただけたらなと思います!そして、例の委員会で話し合ったものの正体が……!

次回もお楽しみに!

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