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再会

登場人物

・山下研二:主人公。普通の男子高校生。日本人とアメリカ人のハーフ。

・須堂千夏:研二とは幼馴染みでクラスの委員長。成績優秀。

・山下静子:研二の母。

・アルバート・カルヴァン:突如現れた研二の父親。

・最上誠:研二と同じクラスの男子高校生。現在不登校。

挿絵(By みてみん)


「ようし、お前らぁ~、数学のテストを返すぞぉ~!」


 朝っぱらから教室内に声が響き渡った。ここは東京都の市立高校、城ヶ崎高校の2年E組の教室。今は1学期期末テストのテスト返し真っ最中である。


「石田~、植野~……」


 次々と順番が呼ばれていく。心臓の高鳴るこの瞬間は、ブルーな気分へのカウントダウンの様だった。


「……山下~」



 山下と呼ばれた彼はテストを受け取り、ゆっくりと自分の席に着いた。そして、おそるおそる赤で大きく書かれた数字を覗きこむ……。


(66点か……もっととれると思ったのにな)


 クラス平均62点のテスト。別に悪い点数じゃない。だが、彼はどこか満足できない。

 おっと、紹介が遅れた。俺の名は山下研二。日本人の母親とアメリカ人の父親を持つ男子高校生(彼女いない歴=年齢)だ。といっても、父親のアメリカ人とは長い間会っていない。彼が幼少の時にアメリカから日本へ引っ越してきたらしい。だから顔も、背丈も、好きな女のタイプも、向こうで何やってんのかも彼は全く知らない。


「研二~、テストどうだった?」


 気がつくと一人の女子が顔を覗きこんでいた。ポニーテールにされた艶のある黒髪、ふくよかなバストときゅっとしまったウェストを兼ね備えた抜群のスタイル持ち主、幼馴染みの須堂千夏だ。


「どうって? 別にフツーだけど」


「えっ、何それ? フツーって。ごまかさないで見せてみなさいよ」


 千夏は机の上に座ると、両足をブラブラと揺らし始めた。すると、いきなり研二の手からテストがなくなった。千夏に光速並みの速さで引ったくられたのだった。研二があっ!と気付いたそのときには赤い数字は見られていた。


「66点……。確かにフツーね。まぁ、バカ研二にしてはなかなかの高得点なんじゃないの?」


「はぁっ?! 誰がバカだよ! てか、お前人を馬鹿にしてんだから、俺より点数高けんだろうな?」


「フッ、クラス一番の96点様に何を言う!」


 ドヤ顔をして見せる千夏。当然、研二のかなう相手ではない。


(ちくしょーっ、この性格クソ女がっ!!) 


 返された66点の文字を見ながら思う。だが、そんなことはお構いなしに千夏は話をし始めた。 


「ところでさぁ~、研二、最上君のこと何か知らない?」


「最上? 別に何も知らねぇけど」


 最上ってのは彼のクラスの一人。理由は分からないが、2年の途中から不登校になってしまった。当然研二もクラスメートの一人として、彼の消息は気になっていた。


「でも、なんでまたアイツのことを?」


「うん、なんか変な噂があるのよ」


「変な噂?」


「彼、危ないバイトしてるらしいのよね。あ、もちろん噂だよ」


「でもなんか、心配だな……」


「うん……。変なことに巻き込まれてなければいんだけど……」


 この時研二は、数時間後に最上と再会するなど思いもよらなかった。


△▼△▼△▼


 午後16:30、特に部活にも入っていない研二は商店街にあるカラオケ店でのバイトを終え、帰宅しようとしていた。既に日の落ちた空は6月の空にしては珍しく、鮮やかな赤に染められていた。


「すいません、お先に失礼しまーす」


 そう言ってカラオケ店を出た直後、研二は見たことのある後ろ姿を目にした。


(あれ? あの後ろ姿……。あの人……、あっ! もしかしたら……!)


 少し筋肉質な背中、遠くからでも目立つ高い身長……。もはや、疑いの余地はなかった。


「最上? もしかして最上じゃないか?」


「えっ……山下? 山下なのか?」


「久しぶりだな、最上! どーしたんだよ、最近学校来ねぇーじゃん」


 最上だった。研二にはくしゃっとした彼の笑顔が懐かしかった。だが、その笑顔には少し曇りが見られる。


「まぁ、色々あってさ。今もバイトの途中だから」


「バイト? もしかしてそれか?」


 研二はヤツの手に握られていた黒のボストンバッグに目をやった。


「あ、これか? これは別に関係ないよ。着替えを持ち歩いているだけだよ」


「そ、そうか? バイトってお前、まさか……」


 言いかけた途端、


「わりぃ、今急いでんだ。また後でなっ!」


 そう言って最上は走り去っていった。片手に持ったバッグは大きく揺れ、


(なんか忙しそうだな……)


 最上の走り行く背中を眺めながら、研二は思った。ほんのわずかな間だった。だが言葉を交わし、久々に会えるということは新鮮だった。


(でも、アイツなんか変だったよな。あのボストンバッグ…まさか、麻薬!? ……考えすぎか。そんなことある訳ないもんな)


 研二は商店街を後にした。


△▼△▼△▼


 帰宅すると妙な違和感を覚えた。


(ん? このニオイ、タバコ……? でも、ウチにはタバコなんか吸う人はいないし。誰か来てんのかな? まぁ、いいや)


「だだいまー。今バイト終わった」


「おかえりー」


(え? ちょっと待てよ。この声聞き覚えねぇぞ)


 明らかに聞き覚えのない声、それも男の人の声だ。低くて深みのあるその声は、ダンディーとでもいえばよいか。親戚や近所の知人の中にも、声の主として思い当たる人はいなかった。居間から聞こえてきたその声の主を確かめようと研二は、居間に入った。

 次の瞬間、彼の視界には見たこともない男の顔が入ってきた。明らかに日本人じゃない。男はにこやかに笑うと、こっちに向かって歩んできた。


「久しぶりだな、研二。大きくなったな」


「あの、どちら様ですか? てか、なんで俺の名前知ってんすか?」


「ああ、そうか。失礼、自己紹介がまだだったな。俺は…」


 男が話しかけようとした途端、


「あら、研二。おかえり」


 聞き慣れたいつもの声が響いた。


「あ、母さん。だだいま」


「あ、静子。まだ話してなかったのか」


(え? い、今……母さんのこと静子って。ま、まさか……)


「研二、いい忘れてたわね。この人があなたのお父さん。アメリカに住んでいるあなたの()の父親よ」


「えっ? えっ? えええええええ~っ!?」


「カルヴァンだ。アルバート・カルヴァン。ニューヨークに住んでいる。改めてよろしくな」


 アメリカ人とは思えない日本語で男は言った。そして男は手を差し出してきた。


(この人が俺の親……? 実の父親だと……?)


「な、なんか急展開で整理ないんですけど」


「おいおい、父親相手に敬語はなしだろう。まぁ、しょうがないか」

 


 こうして研二は父親との再会をした訳だが、この父親の素性を彼はまだ知らなかった。そして、この直後にこんなにも自分の人生が変わるとは思いもよらなかった。

 まだ、マフィア組織に関する話に至ってません。これから、研二は一体どんなことに出逢うのでしょうか?そして、最上は?

お楽しみに!\(^o^)/

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