覗いたのか、覗いてないのか・・・それが問題だ。
今回はアメリカ編(ボルサリーノファミリー関係者の話)がメインです。
翌日、研二はまたいつものように学校へと向かった。いつも通り、電車に乗る。途中の駅で乗ってきた千夏には朝早くから一発をお見舞いされた。研二はその場でKOされた。
(一体何でこんな力強いんだよ……。この暴力女が!)
日々そう痛感させられる。実際、研二と浩二は日々この痛みに耐えているが、それもそのはず、千夏の攻撃対象はこの二人だけである。
△▼△▼△▼
一方こちらはホテル・カペーロの一室。女はシャワーを浴びていた。部屋の周囲にはボルサリーノのよこしたボディーガードが控えていた。完璧な警備体制が整えられている。だが、突如悲鳴が上がった。
「モニカ様~! どうなさいましたか!」
屈強な男たちが駆けつける。シャワーを浴びていた女の声は部屋一杯に響いた。
「ちょっと、何覗こうとしてたのよ!」
モニカが怒鳴る。慌ててバスタオル一枚でその身体を覆っていた。
「いや、覗いてないって。覗こうとは思ったけどよ……」
その場に居合わせたコルボが答えた。この場所の警備をボルサリーノから任されている。顔に火照りが見られる。
「何よ、それ。てか、実は覗いてたりするでしょ?」
訊ねる美女。どうやら、相当頭に来ているようだ。
「いや、覗いてないって。覗いてたら、今頃鼻血垂らして気絶してるよ」
それはそうだ。何せ、かつてはマフィアの愛人だった美女。並の女ではない。だか、そんなことは手慣れた変態には大したことではないか……?
「私がシャワー浴びてるときに人影が見えたわ。あれ、アンタよね?」
再び取り調べが始まる。このまま変態は逃げ切るのか?
「いや、あれは、その……」
おっと、ここで早くもダウン! コルボは下を向きながら少し口ごもって答えた。いや、下を向いていない……? よくみると下を見ているようで、バスタオルの隙間から除いている美女の谷間に視線を向けていた!何というテクニック……。
「ほらみなさい。白状したも同然でしょ。……って、ちょっと何見てんのよ、変態!」
変態の視線に気づき、慌てて胸元を隠す美女。
「いや、覗いてないっ! そして、変態じゃない!」
未だに否定する変態。あ、失礼。彼はド変態のようだ。必死に否定し続けて切るが、説得力はもはや皆無。
「じゃあ、聞くけど私が見たときにあなた何してたのよ?」
遂に取り調べも山場を迎えた!問い詰めたか……?
「……パンツ盗もうとしてました!」
な、何とっ!正直に白状するコルボ。彼は嘘をついてはいなかった!覗きごときで満足しない男。なかなかやりよる…。
「おい! なんの騒ぎだ?」
ここで登場したのはパトリック・ベレー。気づいたモニカがすぐさま訴えようとするが、コルボの方が早かった。
「あ、ボス、大変です! モニカ様の下着は薄い紫でした!」
すぐさま報告するコルボ。
「何っ!? それは本当か……! でかしたぞ、コルボ!」
もはや、モニカに味方は居なかった。モニカはガックリと肩を落とす。その後、コルボがモニカによって殺されかけたことは言うまでもない。パトリックはというと、ハンカチで鼻のまわりをぬぐっていた。ハンカチには赤い染みがついていた。
△▼△▼△▼
一方研二たちは1限の数学を受けている。ロイの授業が開始されてからというもの、研二は熱血教師にご指名を受けることになった…。
(はぁ~、また指された。本当いんだか、悪いんだか……)
事実、授業中に起きていられるようになった。だが、それが研二に指名されることのストレスを与えたのだ。
帰宅後、これを聞いたロイは
「まあ、良いじゃないですか~。授業中起きてられるのは先生が話されていることが理解できてる証拠ですよ!」
そういって研二にウィンクした。
「ロイ、前にも聞いたけどロイはなぜ教師をしてないの?」
再び研二は訊ねた。しばらく間があった。ロイはふぅーっと一つため息をして研二の方を見た。
「実を言うと、前は教師だったのです」
「だったら何で……?」
そのとき、ロイの顔は少し曇っていた。再び笑顔を取り戻すと、研二を見つめ、こういった。
「では、こうしましょう。研二様、テストまであと3日です。もし、これを突破できたらアメリカ行きですね?その時の飛行機で続きをお話ししましょう」
「つまり、賭けってこと? 俺がテストに合格したら理由を話してくれると?」
「……はい。さ、今日も始めますよ!」
こうして、今日もまたロイの授業は始まった。
テストまで残りあと3日――
まさかの下着ドロボー……。コルボもなかなかの者ですね。
も、もちろん私にはそのような性癖はございませんからねっ!
今回のタイトルはシェークスピア風にしてみました(^^)偉大なる文豪にかなり失礼ですが……。
次回、竜東会の久々の登場です!(といっても、そんな爽やかな状況でないのですが……)感想・評価・ブクマ登録等お願いしますっ!