ようこそ、俺ん家へ……?
「まず、手始めに竜東会の撲滅を決行していただきたい」
「竜東会?ああ、うちと張り合おうとしていた少数派か。奴等を潰すのも悪かぁねえな。いいだろう」
「で、もう一つのお願いですが……」
そう言って黒田はジャケットの裏ポケットから写真を取り出し、机の上に静かにおいた。
「このガキを見つけていただきたい」
「ほう、ガキをねぇ~。しっかし何でまたそんなことを?」
「いや、そればっかしは言えませんよ」
「ふん、探す理由も教えないって?」
「ああ、いや。これは失礼。私も一応組織と言うものの人間ですので。気を悪くしないでくださいよ」
「まあ、いい。取引の方はよろしく頼む。後の方はこちらでどうにかする」
「それでは、よろしく頼みますよ。武器の搬送についてはまた後日ということで」
そう言うと黒田は静かに立ち上がった。扉の前に立っていた男がドアを開ける。
(にしてもアイツは一体何を企んでることやら……)
組長と呼ばれている男は考えた。木曽組、五代目組長東郷清正。それが関東を束ねる男の名だった。
△▼△▼△▼
学校で授業を終えた研二はバイト先へと向かった。いつも通り接客をし、バイトが終わった5:30では辺りはまだ明るかった。商店街をゆっくりと歩いていると後ろから研二を呼ぶ声がした。
「研二~!」
「げっ、千夏……!」
そこには千夏がいた。どうやら、千夏も商店街内にあるカフェでのバイトを終えたようだった。驚いた研二は背筋がゾッとするのを感じた。何だか悪い予感が……。
「あのさー今日研二の家で勉強してもいい?」
話を切り出す千夏。
「はぁ!? いきなりなんだよ!」
研二の予感は的中した。
(なんでまた、急に……。うちはファミレスかコーヒーショップの代わりかよっ!)
「だって、数学のテストまでもう一週間もないでしょ?一緒に勉強……しよ?」
無邪気に訊ねる千夏。
「いや、だからって俺ん家ですることねぇだろ……」
(まったく何なんだよ、いきなり……。ロイのこととかバレたらヤバイしなぁ……)
研二は心の中で呟いた。
「え~いいじゃん別に。私と研二との仲でしょっ!」
(どんな仲だよ……)
内心ではそう思いながらも、仕方なく研二は千夏と共に帰宅することになった。
△▼△▼△▼
「ただいま……」
低い声で研二が言った。
(神様、どうかバレませんように……)
「お邪魔しまーす!」
千夏が研二と反対に明るい声を響かせる。
「あ、研二様、お帰りなさい。そちらの方は?」
ロイが声をかける。
「えっ!? 外人……!?」
千夏が声をあげる。
(やべっ!)
焦る研二。心配していた矢先に、この事態とは……。
「え~っと……」
すると、
「あら、千夏ちゃん? 久しぶりね~」
母静子の声がした。
「あ、おばさん! お久しぶりです!」
ペコッと頭を下げて挨拶する千夏。
「あ、この人はね、研二の父の部下でね、日本語を勉強するためにうちにホームステイしてるのよ~」
そう言うと研二の方をの方を向いた。うんうんと頷く研二。
「はじめまして、ケイリー・ブラックです。どうぞ、よろしくお願いします」
ロイが深々とお辞儀をした。
「あ、はじめまして~。日本語上手ですね!」
外人を目の前にして少し緊張した様子で千夏が言った。
「ありがとうございます」
にっこり笑って答えるロイ。
(ふぅ~、危なかった……。母さん、ナイスっ!)
研二はそっと胸を撫で下ろしていた。
その後、研二は千夏と二人で勉強をはじめたが、なぜか落ち着かなかった。集中力も続かず、ロイの授業も受けられないまま、時間だけが過ぎていった。
テストまで残りあと5日――
最近、登場人物増えてますよね…。前々回からなんか、ずっと前書きに書いてる気がしますよ~。今回もケイリー・ブラックとか出てきたし…。(すっとぼけ)
ふざけすぎました。すいませんm(__)m
今回のタイトルは、ドラマ、「ようこそ、〇が家へ」を意識してつけてみました~。少し前ですけど。
さてさて、次回は研二が寝ぼけてるとこから始まります!にしても、またまたレコレッタ…。
誰かが月に代わってお仕置きしてくれればいいのですが…。研二がコスプレに目覚めるのを待つわけにもいきませんよね…。
ああっ!また、ふざけてしまいました!次回もお楽しみに!