父、会合 息子、焦る。
・小田切竜也:木曽組若頭、木曽組二次団体、小田切組組長。黒田とは古くからのの仲。
会合の会場にはすでに、アメリカの暗黒街の代表が集まっていた。彼らは皆、白い大きな円卓の周りに腰を下ろしていた。
「お集まりの皆さま、本日は招待に応じていただき、感謝しています。ご存知かとお思いですが、偉大なるシチリアのドン、カルロス・サーメンデスが亡くなった」
ざわつく会場。だか、ボルサリーノは続けた。
「犯人は恐らく《犯罪者の集い“レコレッタ・ディ・クレミナーレ”》と呼ばれる組織の者共だ。彼らは暴虐と暗殺を司り、我々を始め、全暗黒街を支配しようと目論んでいる」
ボルサリーノはボスたち一人一人に目を合わせた後に言った。
「彼らに我々のシマを荒らされてよいだろうか?よそ者共が、我々の国を汚してよいものなのだろうか?」
ボスたちは静かにボルサリーノを見た。
「我々はそれを決して許してはならない!ここに、私チャールズ・J・ボルサリーノは彼らとの全面戦争を行い、葬り去ることを宣言する!賛同していただける諸君の拍手を求める」
しばらく静寂が続いた。そのとき、一人が立ち上がってボルサリーノの方に向き合って拍手を送った。他の者共も、一人が二人とそれに続き、立ち上がった。会場が拍手で満たされる頃、全員が立ち上がっていた。
「ありがとう。それと、諸君にもう一つ提案があるのだが…」
そういうと、ボルサリーノは指を鳴らした。ボルサリーノの部下たちが資料を配り始めた。
その頃、研二は帰宅していた。ふと、ボルサリーノからの贈り物に目が止まった。
(一度袖を通しておけって入ってたよな……。)
研二は箱を開けた。ピカピカに光るスーツは主の顔を見るかのようだった。ジャケットを羽織り、ネクタイを締め、鏡の前に立つ研二…。
(悪くないな…)
鏡に映る自分を見て研二は思った。少し照れていた。ボルサリーノ帽を被ろうとしたときだった。
「研二様~!」
ロイが部屋に入ってきた。慌てる研二。
「…おやっ?ボスからの贈り物ですか。似合ってますよ~♪」
ロイはにっこり笑っていった。
「研二様、10日後にアメリカに行きます。ボスからのご命令です。私もボディーガードとして、お供します」
「えっ?そんな急に?」
(ヤバいぞ…これ…。)
研二は心の中で焦っていた。
「はい、なにか不都合なことでも…?」
研二の焦りをよそに尋ねるロイ。恐る恐る、研二は口を開いた。
「ロイ、実はさ、1週間後に数Bのテストがあるんだけど、それに落ちたら1週間の居残り勉があるんさ…」
「なっ、何とっ…!」
ロイは目玉が飛び出るかというくらい、目を見開いて言った。そして、ゆっくり息を吐きながらまぶたを閉じた。そして、パッと開くと、研二の方を見た。
「…わかりました。話は簡単です。要は研二様がそのテストに受かればいんですね?」
(簡単に言うなよ…。)
研二は心の中で思った。しかし、ロイは研二の方を見たまま続けた。
「私がお手伝いさせていただきましょう、研二様。実は、私、教員免許を持っておりまして。この、デリート・ロイエルティー、研二様を合格させて見せますっ!」
そうロイは宣言した。そして、ロイによる1週間の授業が始まった…。
一方、こちらは東京の中心部に位置する繁華街。欲に満ちた人々が行き来するなか、一人の男は夜の道を歩んだ。裏通りにあるひっそりとした一軒のバーに入り、奥のカウンター席に腰を下ろした。
「いらっしゃいませ。ご注文は?」
バーのマスターが声をかけた。
「ジン・ライム。よくし冷してくれ」
男は答えた。バーテンダーは一言かしこまりましたと答え、カクテルを作り始めた。そして、出来上がったカクテルをゆっくりと男に出した。男はそれを少しずつ味わった。しばらくしてからだった。また、一人男が店に入ってきた。男の姿を確認すると、同じものをとバーテンダーに声をかけ、男の隣に座った。
「久しぶりだな、竜也」
先に座っていた男が声をかけた。
「お久しぶりです、黒田さん」
そう言って二人は固く握手した。
テストまでの残り7日―。
感想、評価、ブクマ登録、是非お願いします!感想はいただけたら返信します!あと、お気に入りユーザー登録も。
さてさて、ボルサリーノは今度は何を…?これが出るのはもう少し先になるかもです……。そして、そんな間にも行われているレコレッタの陰謀……。
次回もお楽しみに!(特にタイトルがw)