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救出

 会合を終えたサーメンデスは、マセラティの中に乗り込んだ。イタリアを代表する高級車であり、マフィアのボスの愛車としては申し分ない。


「すまんが、ちょっとここで待っててくれねぇか? たまには、一人ドライブをしたい。すぐに戻る」


 サーメンデスの部下たちは静かに頷いて、ホテルに戻った。それから2時間後だった。車を近くの公園まで走らせたサーメンデスは電話を待っていた。ただ、ひたすら…。


「もしもし、サーメンデスさんですか? 約束通り、一人ですね?」


 電話の声が尋ねた。


「も、もちろんだ……。モニカはどこにいる!」


「ミラノにある宿にいます。ですが、あなたにはその前にちょっと聞きたいことがありましてね」


「な、なんだ?」


 その時だった。サーメンデスの車に一人の男が近寄った。サーメンデスは少し遅れて人影に気づいた。慌てて銃を抜こうとするも、男の方が早かった。プスっと言う鈍い銃声が響き、サイレンサーをつけたベレッタM.9の銃弾はサーメンデスの肩をとらえた。アメリカの軍隊にも採用され、世界各地で幅広く用いられている、信頼性の高い拳銃……。当然、狙いは外れなかった。拳銃をを落とすサーメンデス。


「く、くそぉ……」


 サーメンデスが声をあげた時だった。男は注射器を取り出して、サーメンデスの首筋に刺した。ぐったりとサーメンデスは気を失った。


「けっ、いつも威張っているマフィアが情けないもんだな」


 そう言うと、男は車に乗り込んだ。しかし、その男は気がつかなかった。サーメンデスをもう一台の車が後ろでつけてきたことを。


△▼△▼△▼


 その頃、ボルサリーノはミラノに向かっていた。宿につくと、すぐさまボルサリーノはモニカを探し始めた。


「チャールズ!」


 女の声がボルサリーノを呼んだ。女はボルサリーノを見つけると、駆け寄って抱きしめた。


「モニカ……、よかった……。その傷は?」


 ボルサリーノは女の傷に気づいた。


「拷問された……。パレルモに連行されて、気づいたらコンクリートの部屋にいた。裸にされ、手足は鎖にに繋がれていて、そこでムチで打たれた」


「一体誰に?」


「わからない。髭面で、眼帯をしてた」


「とにかく無事でよかった」


 そう言うと、ボルサリーノはモニカに見入ってた、コルボに声をかけた。


「コルボ、すまんがコイツの手当てを頼む。それと、手勢は?」


「表に待たせてありますぜ、ボス」


「サーメンデスは?」


「報告によると、ミラノ内です。部下につけさせました。なんか、ビルの中に連れ込まれたようですが、もしかしたらヤツらのアジトかも」


「俺の車は?」


「それも表です。もちろん、ガソリン満タンでっ!」


「よし、わかった。モニカを頼む」


 そう言うと研二を連れてボルサリーノは外に出ていった。


(こ、これって……!)


 そこにはイタリア製の真っ赤な高級スポーツカーが待っていた。


「フェラーリ セルジオ。説明は後だ。研二、シートベルトを締めろっ! ちょいとばっかしド派手な(アブない)ドライブになる」


 そう言うと、研二を助手席に座らせ、フェラーリを走らせた。エンジン音と共に。


 フェラーリはみるみるスピードをあげていった。しばらくしてから、ボルサリーノは研二に言った。


「研二、そこの中の箱の中身を開けて見てくれ」


(えっ……?)


 黒い一丁の小さめの拳銃があった。某スパイ映画でもお馴染みのワルサーPPKである。小型な拳銃で携帯には向いている。しかし、小型といえど銃は銃。研二には到底縁遠いものだ。


「一応持っとけ。セフティーロックはかけてある。ジーパンのポケットには入るだろう」


 ボルサリーノは正面を見ながら言った。研二はそっと拳銃を手に取る。冷やりとした冷たい金属の感触が伝わった。それを恐る恐るポケットの中にしまう。


 少し経つと、は急に止まった。ついた場所は廃工場だった。すぐさま、10人の黒スーツを身につけ、拳銃を所持した男たちが黒塗りベンツから下りた。拳銃ではなく、機関銃やサブマシンガンを所持しているものもいる。

 ボルサリーノは車のトランクからトンプソンM1A1サブマシンガンを取り出した。コンパクトな構造で、耐久性に優れたサブ・マシンガンだ。ボルサリーノは弾倉マガジンをセットし、ストラップを肩にかけると、その上からコートを羽織った。


「研二、お前は攻撃するな。突入と同時に後ろから2番目の男に付いていけ。ヤツがお前を守ってくれる。あとは、見守っててくれな」


 そう言ってウィンクをすると走って男たちの元へ行った。



      ズダダダダダダッ 



 天井に向かってぶっぱなされたトンプソンが低い唸りをあげた。


「サーメンデスを返せ!  少なくともこちらには5丁の拳銃と、3挺のサブマシンガンが構えている。大人しくしやがれっ!」


 そう言うと、部下を引き連れて奥に進んでいった。研二はというと、部下の一人と共に物陰に息を潜めていた。ボルサリーノが歩みを進めると、そこにはサーメンデスのマセラティがあった。

慎重に近寄るボルサリーノたち。見ると、サーメンデスがぐったりと倒れていた。


「サーメンデスっ!」


 ボルサリーノが声をかける。


「……うっ、ううっ……。ボ、ボルサリーノか?」


 弱々しい声で答えるサーメンデス。


「ヤツらはどうした?」


「……さぁな、もう行ったようだぜぇ」


 そう答えるとサーメンデスは笑った。


「よし、サーメンデスを車に運べ!」


 ボルサリーノが部下の一人に言った。肩の傷以外に目立った傷は見られなかった。

 

 そうしている内に、遠くからサイレンの音が聞こえた。


「お前らぁ~! ズラかるぞ!」


 ボルサリーノは叫んだ。そして、研二のところまで走ると、あっというまに研二を抱きかかえ、車に戻った。


 その時、研二はカーブミラーに黒い男が映っているように見えた。しかし、目をこすって再び見たときには、その影はなかった。

 遂にトミーガン、登場させました!現代兵器とは言い難く、使い勝手も悪い武器のようですが、ロマンに満ちた武器です!今後も少しずつ出番が増えるとともに、現代武器との闘いも入れてきたいと思います!

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