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旅立ち

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 すべては、ここから始まった。男は旅立つ。長年の思いを胸に――。すべては息子のため。数年前に止まった時計が動く、そんな感じがした。

挿絵(By みてみん)



 アメリカ合衆国 ニューヨーク。高くそびえ立つ建物も霞み、灰色の空が広がる中、この地から一人の男が旅立とうとしていた。艶やかな光沢を持つイタリア製の生地で仕立てた黒のオーダーメイドスーツ、一流ブランドのネクタイ、ピカピカに磨かれた靴……。爪先から髪に至るまで、隅々まで手入れをほどこした男は、温厚そうな笑みを浮かべながら助手席の部下に話しかけた。


「レッジ、フライトまでの時間は?」


 革張りの高級車のシートに寄りかかり、腕を組みながら部下の男に尋ねた。


「あと一時間あります」


 助手席に腰を下ろしている、レッジと呼ばれた男は答えた。澄んだ瞳に艶やかな金髪。年齢は20代~30代といったところか。黒の艶やかなスーツを一分の隙間なく着こなしていた。その抜群のスタイルと甘いマスクの持ち主は、ハリウッドでデビューしていてもおかしくなかった。


「一時間か……。ところで、コルボはどうした?」


「今日は来れないようです。委員会の仕事があるとか」


「委員会だと? 俺は何も聞いてないぞ」


 委員会は彼らの世界における、最高機関だった。彼はそれをも動かす力を持っていたためか、報告もなしに部下を出向かせるのは気が引けた。


「無理もないです。何せ急ですから。ベガスのボスのシマに動揺があったようで。死者も何人か出たらしんです。そのことでちょっと仲介を求められてて」


「なるほどな。ベガスのボスたちは、我々の身内の人間に仲介を求めたのか」


「はい。コルボ(ヤツ)からは俺からあなたに伝えてくれと」


 いくらその委員会の議長といえど、男はそれ以上の口出しはしなかった。抗争の終結のための調停……。急とはいえ、それは重大なことだった。


「わかった。よろしく伝えといてくれ。あとのことはお前に全部任せる。パトリックによろしくな」


「はい。首領ドンもお気をつけて」


「おいおい。向こうは銃の携帯すら禁じている国だぞ? それに向こうにはすでにロイが着いている。何も心配することはないだろう? ……まあ、いい。組織のことをよろしく頼むよ」


 そう言って男は金持ちの象徴品ともいえる高級車、黒のロールス・ロイスから下りた。


 この男こそ、アメリ全土のマフィアをまとめ、暗黒街を統一したボルサリーノ・ファミリーの首領ドン、“チャールズ・J・ボルサリーノ”である。こうして彼は縄張りとしているニューヨークをあとにし、日本に向かった。

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