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パラレルワールド  作者: 異世界にぶっ飛びたい
5/12

パラレルワールド 5進



俺は地面に転がっていた。



…ここはどこだろう…



俺は目を開けずにそう心の中で思っていた。そして何が自分の身に起きたのか思い出していた。



…俺は落ちたのか…

…俺は…死んだのか…

…だが俺は死後の世界なんて信じてないからな…

…だったら俺は…



「…生きてる!」



横でそう聞こえた。



「あっ、おい!喜永!俺たち生きてるみたいだぞ!」



「あぁ…俺もお前のその声で気がついたよ。」



俺は転がったままで、ふぬけた、どこか安心したように言った。



「しかしここはどこなんだろうな。さっきいた森の中にはかわりなさそうだけど…」



漆がそう言う前に俺はここがどこだか気づいていた。


俺は起き上がり、視線と同時にある方向を指差した。



「おお…?あれは確か…」



俺が指差した方には深い地面の割れ目があった。そう、俺たちが今いるのは、俺たちが落ちたはずの深い割れ目のすぐ近くなのだ。


漆は数秒考えたあと、納得と疑問を言い出した。



「なぁ喜永…俺たちはあの割れ目に落ちたんだよなぁ…。」



「ああそうだ。俺たちはあの割れ目に確かに落ちた。だがここは地面の底でもなければ死後の世界でもない。俺たちは地上にいる。」



「…それ普通に考えておかしいじゃねーか!だって俺たちはそこから落ちたんだろう?じゃあなんで俺たちは地上にいるんだよ!」



かなり焦ったように漆が話している。まあ焦るのは当たり前だ。通常こんなことはありえない。しかし俺は無理やり漆を納得させるために、漆の言っていることを無視するように、俺は言った。



「…いいか漆、いくら信じれなくとも、あり得なくとも、おかしくとも、目の前に起きた事が現実で、すべてなんたよ。」



「はぁ?お前俺の言ったことは信じてくれないのに、目の前で起こったあり得ないことは信じるのかよ…」



「俺はな、人から聞いた話は一切信じないが、自分で見たものは絶対に信じるんだよ。俺は…そんなやつだ。」



少し漆は黙りこんだ。いろいろなことを、頭で整理しているんだろう。


そして漆は強気に話し始めた。



「いいぜ喜永!お前がその気なら俺はぜってーお前に俺が見た搭を見せて信じさせてやる!俺はお前のそういうところが好きでお前についていってんだ!だから早くいこうぜ!覚悟しとけよ!」



「搭を見ることだけに覚悟なんていらないな。俺はただお前の言っていることを信じてないだけだよ。いいさ、俺にその搭ってやつをみせてみろよ。」



よくよく見渡すと、ここは地上というだけでなく、割れ目を越えていたようだ。だけど俺たちはそんなことは気にせずに、先へ進み始めたのだった。

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