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パラレルワールド  作者: 異世界にぶっ飛びたい
11/12

パラレルワールド11 解



崩れた地面に落ちてからどうなったかわからない。気を失ったかどうかもわからない。時間がどれだけ経ったかもわからない。



そもそも本当に落ちたのだろうか?なぜ落ちたことになっているのかは自分でもわからない。俺の体は地面についている。地面に落ちたという感覚は全くなかった。気づいたら地面に転がっていたのだ。



……今度こそ俺は死んでしまったんだろか……



1日に二度も落ちるなんて珍しいこともあるんだな……



こんなこと前にもあった気がする。デジャブって言うんだったっけかな。それにこの回りに香る森林の香りは……



…いや、その前にまず俺は気づいた。理解出来ないことにもっと理解出来ないことが起きていたからだ。



俺は寝ころんだまま左を見た。



それは、理由も分からず無くなった、俺の左腕が元に戻っていたのである。



……これは……



「おい!善永!!起きろ!」



「…だから起きてるって……!?」



更に理解出来ないことが起こった。目の前で完全な死体になったと思っていた漆に起こされたのである。しかしここは漆が死体になった場所ではない。



なぜか…あの森だ。



「これはどういうことか俺は説明を望んでいるぞ?」



なにくわぬ顔で俺に喋りかけてきた。いつもの漆のように。


バカ言うな、説明を望んでいるのは俺だ。余計訳がわからなくなるじゃないか。



だが漆の様子を見ると、自分が死んだという様子や死んでいたなんていう様子はない。だから俺はなにくわぬ顔で漆に喋り返した。



「何様だテメーは……まあ説明を求められても俺は答えることは出来ないんだけどな。」



俺は今この状況を説明することは出来ない。やはり理解出来ないからだ。俺たちが今この森にいることを。



「しかし善永よ。ここは例の森で例の割れ目の場所だよな?」



そう、ここは俺たちが一度死にかけ、最初に理解出来ないことが起きたあの場所なのである。



…しかし頭がよく回らない。どうも話を上手くまとめることが出来ない。それだけ俺は混乱しているということなのだろうか。



それはともかく、俺はあることに気づいた。俺は少し間違いをしていた。



「あぁそうだ確かにここは俺たちが一度死にかけた場所だ。けれどお前は気づいているのか?前と、違うところが、あることに。」



「まあ確かにここは塔の前じゃない……ってあれ?俺は今さっきなにしてんだっけ…?」



漆も気づいたようだ。さっきの違いとは別の違いに。自分が死んだとか、今いる自分の場所がおかしいとか、そういうことにちゃんと気づかなくても、違和感ぐらいはにはなる。



だから漆にも頭の中に疑問が生まれたはすだ。


そしてその疑問を俺に問いかけてきた。



「えーっと…俺はさっきまでどこで何をしていたんだっけ?」



俺は漆にどう説明すればいいのか迷った。詳しく説明すると漆に何を言われるかわからいからだ。俺や漆の身に何が起こったかという説明は、普通に聞けば信じがたいことを話さなければならないからだ。「そんなのただの夢だ」と言われてしまえば、俺は言い返すことは出来ない。しかし俺が体験したあのことは俺にとって本当のことにしか思えないのだ。そんなことをふまえて俺は漆の質問に答えた。



「……お前は気にするな。」



「はぁ?」



「お前はこのことに関しては気にするな。そして一切忘れていいぞ。」



「…ふーん………お前の言いたいことはだいたい分かったぜ。文句は言いたいけど仕方ないからお前のいう通りにしてやるよ。分かったよ、忘れてやるよ。」



…あれ、意外だな…漆ならどう答えても反論してくると思ったのに…それに俺が今言ったことで何が分かるというのだ。漆には何か自分が納得するような説明でも見つけたのか……


まあ、漆がそう言うなら俺はそれでいい。そうして欲しかったのだから。



「お前がそれでいいならそれでいい。じゃあ話は戻すがお前は気づいてないのか?この場所の不思議な違いに。」



「不思議なことならもう大量に起きてるけどな。でも違いと言うのは俺には分からないな、気づかないな。」



漆にはよく回りの状況を観察、及び把握というものが出来ていないようだ。どう見てもおかしなところがあるのにも関わらず。



「分かったよ。教えてやるよ。」



俺は割れ目のある橋の方を指差した。そうして漆は橋の方を向いた。



「あー……なるほどね。こりゃ確かに確実におかしいな。」



「やっと分かったか。あの橋は確か俺たちが渡った……と言うより渡ろうとした時に崩れたはずだ。なのに…」



「橋が元の状態に戻ってる…」



俺はあの橋を見た瞬間思ったのだ。もしかしたら俺たちは橋をもともと渡ってなんかいなかったんじゃないかって。渡ろうとなんかしていなかったんじゃないかって。だから俺は「そんなの夢だ」言われてしまえば言い返すことが出来ないと思ったのだ。


そもそも俺たちが橋を渡ろうとした時点でもう完全に橋は崩れていたのに。だからいろいろと今回のことについては俺も話をごまかすことしか出来なかった。



「…とりあえずさ、帰ろうか、善永。」



「もう冒険はいいのかよ。」



「あぁ、俺は今回あったことでもう満足だ。それに、今となっちゃあ善永が無事だったっていうことだけで俺は嬉しいからな。」



漆は両手を頭の上に挙げ、体を伸ばしながらそう言った。



「…そうだな。俺も漆が無事だったっていうことだけで俺も嬉しいよ。」



「じゃあ行くか!」



「はい、はい。」



そうして二人歩きだした。



ついでに言うと、俺は頭のなかで今回あったことの解説をし始めた。

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