パラレルワールド10 崩
「はぁ…はぁ…うぐっ……!」
痛みに耐えきれず狂った俺は、5分程気絶していただろう。気絶してから目を覚ましたものはいいものの、覚めたら覚めたで左腕がなくなった痛みにまた気絶しそうになる。
「冗談じゃすまねーよなー…」
左腕が無くなったということはまぎれもない事実なのだ。この事実は消えない。
俺は漆がいる方を向いた。
「やっぱり変わんないよなぁ…」
そして漆が死んでいることもまた事実。この2つの信じがたい、いや、信じたくない出来事が俺の目の前で起こっている。
親友が死んだ。
片腕が無くなった。
とてもじゃないがすぐにこの事実をやすやすと受け入れられるものではない。もしかしたら俺も死んでしまうかもしれない。
「…漆………うる…し…」
俺は漆に、残された右腕を伸ばした。死ぬ前にもう一度漆の近くに居たかったからだ。今までずっと唯一の友達で、唯一の親友だった漆と。そんな漆だからこそ、俺は謝りもしたかった。
ピシッ…
だが漆に触れようとした瞬間、また、また起きたのである。ちょっと前にも起きた俺と漆が死にかけたことが。
……ピキピキ…バキ…
「…おいおい嘘だろ?また落ちるのかよ…」
俺と漆が居る場所にひびが入り、地面が崩れ始めたのである。




