美里とユーたん救済し隊
俺はすごく動揺している。
今日もユーたん救済し隊の5人組で話し合いをする予定だった。
真綾が知り合いを連れてくると言ったから同志かと思いきや
「初めまして。美里です。真綾ちゃんとは大学のサークルで先輩してました。…ところで真綾ちゃん、なんの集まりなの?」
リアルユーたんを連れてきやがった!!
なんだ、このユーリュシュフィアをちょっと大人にしたようなそっくりさんは!!ちくしょう!!ほわんと笑って…笑って…!!
「んー、美里さんの息抜きにと思って♪せっかくだから知り合い呼んじゃった!!」
「そうなの。ありがとう、真綾ちゃん。じゃあなにか一人ひとつお姉さんが奢ってあげようかな。みんな、遠慮はしないでね。」
ふふふ、と笑う美里さんはまさに理想の幸せなユーリュシュフィア。俺だけではなく隼人、架那汰が顔に出さずに悶えている。
「あ、まさか悠さんの妹さんって美里さん?」
「あら、にぃのお知り合い?」
「シュカリア株式会社のゲームデバッガ(アルバイト)、燈夜っす。シナリオの悠朔さんとはよくお話ししますよ。」
唯一燈夜は全ゲームしていると思ったら、そんなことを…。シナリオ…なるほど、お兄さんか…
「にぃはね、気に入った人をゲームに出すのが癖らしいのよ。しかも不憫な役。私もいるらしいけど絶対見せてもらえないのよね…。どんな酷い役回りなのかしら。」
「…さぁ、どうなんでしょ?ボクはよくわかりません。」
燈夜は苦笑いしながら奢ってもらったオレンジジュースを飲んだ。俺もアイスコーヒーをすする。
「あの、ひとついいですか。」
いつもよか硬い架那汰が手をあげる。カチコチだが大丈夫か?
「なぁに?」
「あの、その、…美里さんは幸せですか?」
「…うーん唐突ね。不幸ではないかしら。でも、私欲張りなの。目標もまだまだ遠いから…」
「えー、美里さん頭いいし評判も悪くないしモテるって聞きましたよぉ?」
「…現状に満足できないのよ。自分でも損な性分だと思うわ。」
彼女と話して思ったことは、ユーリュシュフィアにそっくりで、不幸でないはずなのにやっぱり助けてあげたいと思ってしまう雰囲気のある人だということだった。