ミステリー中毒の男は拳を握る
オレは隼人。自宅警備員兼シナリオライターのいい年したおっさんだ。今日も今日とて積みゲーを消費しながらキーボードをいじる。
「うぐ…詰んだ…」
選択肢を間違えると主人公が死にバッドエンドになるミステリーゲームに彼女は主人公の彼女の友人として出ていた。最初は怪しい女だと疑っていたがどうやら本当に巻き込まれた一般人だとわかりオレは彼女の存在をすっかり忘れていた。
しかし、終盤にさしかかり謎も解けてワクワクしているとなんと犯人は主人公に斬りかかって来た…が
「…え…」
彼女は犯人から主人公を守った。そこはヒロインだろうと思ったが、場違いなほどやさしく笑っていたスチルに目を奪われる。主人公はそんな、彼女を振り返りもせずヒロインを心配する。
「なんだ、これは。」
ギリギリと手を握る。とんだくそシナリオだ。
主人公がヒロインにベタ惚れなのはわかる。だが、流石にこれはおかしい。殺されかけてそれを庇ってもらった彼女を心配しない主人公に吐き気がする。
「脚本家は誰だ…!!」
ミステリーとしての謎解きは素晴らしい。だが物語としてのシナリオがヘドが出るほど彼女に厳しかった。
そんな、ときだった。イライラしながらネットに繋いでこのスレを発見したのは。