バレンタインデー
チョコレートの甘い香りがそこらじゅうに広がる日、バレンタイン。私ももちろん作ったのです!クラスの人用とアンちゃんとエレンちゃん用と彼ら用と家族用です!
「それにしても、ちょっと甘い匂いがしすぎて気持ち悪いような気がしますです。甘さ控えめで作りましたがどうでしょう…みんな飽きて食べられないってことも?」
「だいじょうぶ、おねえちゃんのおいしいよ!」
もぐもぐとすでに渡したチョコレートを口に頬張るみーくんが太鼓判を押してくれました。かわいい。
「ありがと、みーくん。口についてるよ、取ってあげる。」
「ん!」
みーくんの口周りをハンカチでふきふきしてあげて、私は家を出ます。学校に着くとヴィン君が女の子に埋もれているのです…囲まれれているのではなく埋もれるっていう現象はなかなかないと思うのです。
「ユー!助けて!」
「…ヴィン君、教室で待ってるのです。優しくするのはいいのですが、変な期待はさせるほうもしたほうも悲惨なので好きでないならきちんと振ってあげるのも相手のためですよー」
「ちょっ…まっ…」
何か言っているけれどそんなの知らないのです。
「アンちゃんエレンちゃん、おはようなのです。」
「おはよう、ユーリ。助けなくていいの?あれ。」
「私が行ったところでどうにもならないどころか恨まれるのは御免なのです。話によるとひきこもりでパーティにもろくに出ていなかったヴィン君にはいい訓練ですよ…たぶん。」
「わー、ユーリかっこいい!」
「王族ってのはこれくらいスマートにやってのけるものだってみーくん言ってたから大丈夫です。彼はおんなじ状況で女の子を傷つけずに戻ってきますので安心です。うちの子すごい。」
「「ブラコン乙」」
「ほっといてなのです。はい、チョコなのです。」
「ありがとう、あたしは作るの苦手だから既製品だけど、これ。」
「私もー。作ったらクリーチャーになっちゃったからー。」
「エレンちゃん…討伐はできたのです?」
「もっちろーん。おとーさんは強いのよー!」
そんな感じにエレンちゃんのお父さん自慢はヴィン君が戻ってきてからも続きます。
「…でね、ドラゴンを素手で防具をつけないで勝てる人が私のおとーさんより強い人なの。」
「…あれ、前にお父様より強い人じゃないと結婚させてもらえないとか言ってませんでしたか?」
「うん。だから行き遅れそうー」
「「その条件じゃあなぁ…」」
「…ママくらい強い人ですかー…」
「「「ちょっと待って」」」
ママは素手でドラゴンに挑んで尻尾だけ持って帰って来たことがあるのです。パパは苦笑いしながらその尻尾を鱗を剥いで料理してました。おいしかったです。
そんなこんなでバレンタインは特に問題なく終わるのでした。
*彼らの反応
アルヴィンの場合
「はい、チョコレートなのです。義理なので安心して食べるがよい!なのです。」
「・・・本命だと安心して食べられないのかい?」
「私はするつもりはないのですがおまじないとして髪の毛を入れたりする子もいるらしいのです」
「うわあ・・・」
「本命を期待しました?」
「うん。」
「残念、私はまだ誰にも恋情を抱いていないのですー。」
「それじゃあ、俺も頑張らないとね。」
「それはヴィン君次第なのです。今のままなら確実に良いお友達でいましょうで終わるのです。」
ミハイルの場合
「はい、みーくん。」
「わあい、おねーちゃんだいすきー!」
「私もみーくん大好きですよー」
「…おおきくなるから、まっててね?」
「?」
ディランの場合
「はい、ディー兄。今年もお疲れなのです。」
「おう、さんきゅ。ユーのはうまいからな、毎年楽しみだ。」
「来年はもっとおいしく作るのです!」
「おう、そして嫁に来てくれ。」
「考えておくのです。」
キッシュの場合
「ユーちゃーん!バレンタインのチョコあげるー!」
「わ、ありがとうなのです。キーくんにも、はい。」
「わーい」
「うむぅっ、急に抱きつかないでほしいのです」
「あはは、許してよー」
「許す。」
「!?」
レイナルドの場合
「バレンタインというイベントがあってですねー」
「なるほど…興味深い。」
「ということで、どうぞ」
「くくく…ありがとう。」
「…(なぜ撫でるのです…)」
好意もするりとかわすユーでした。




