とある乙ゲー愛好者は夢を語る
私は真綾。乙ゲーが大好きだ。
主人公は可愛くて愛されていて、攻略対象はイケメンで…そして基本の噛ませ犬がいる。
その噛ませ犬がユーリュシュフィアだった。私はどうせ主人公が愛されるものだからとあまり気にしていなかった。ちょこちょこ邪魔するのはよくあることで、やっぱり気にならなかった。
でも、攻略を進めて、攻略対象や主人公がピンチになると彼女は身を粉にして助けるのだ。主人公も、彼女がつくしていた攻略対象も倒れる彼女に目もくれない。
「…ユーリュシュフィア…」
それでも、攻略対象が無事だと彼女はホッとした顔でゆっくりと目を閉じる。その先には彼女について何も語られない。
改めて彼女の行動を見直すととても可愛かった。とある攻略対象とは幼馴染みで気を引こうとして空回りしていた。とある攻略対象に憧れて勇気をだして部活に行ったら時間外で。そんなことをきっと主人公が来る前から恋心を募らせていたのに。
「こんなの…納得できないよ!!」
私は幸い絵描きだ。プロではないが彼女を幸せにしたい。あまあまな恋をさせてあげたい。
「私が男だったら絶対甘やかしてあげるんだから!!」
そんな、ある日。同人誌はなかなかに好評でユーたんをみんなが認識し始めたころ、ネットでこんなスレができていた。
“ユーリュシュフィアを幸せにしたいやつはいるか?”
私は迷いなどせずに書き込みをした。
これが彼らとの初めての交流だった。