6、なんか生きてるんですけど
ギャグ復活! そして二章始動。
勇者は目を覚ます。上体をゆっくりと起こし、周りを見渡す。大きい建物の中だ。
「やっと起きたか」
「あれ? ここは?」
「地球だ」
「地獄?」
「地球だ。っていうか何でそうなるんだ」
「あれ、プルート号が大破して、そのまま地面に真っ逆さまに落ちて死んだはずでは」
「私があらゆる重力を無視できる魔術をかけておいた」
勇者達搭乗員は、プルート号の爆発から逃れ、そのまま地面に落ちていくはずだった。そこをシリウスが助けた、という感じだろうか。
「で、ここは地球のどこ?」
「どこでもいいだろうが」
「じゃあこの屋敷は?」
「…。(元々住んでた大量の人間たちを追っ払ったとは言えないな)」
というわけでシリウスは最低であった。
「勇者、起きたのは貴様で最後だ。貴様だけは何も情報を与えられていないだろう。他のものから訊いておけ」
シリウスは勇者が気絶している間、皆に情報を与えていたらしい。
「そんなことより、空気がまずいんですけど」
「運悪く、都会に落ちてきたらしい。しばらくは我慢しろ」
「死にそうです」
「それくらいで死ぬようなやつは軍にいらん」
勇者は外の空気を吸いに行こうと、とりあえず屋敷を出た。
外は自動車とかの排気ガスでいっぱいである。
「何ですかこれ!! 空気が汚い!! 死ぬぅぅぅぅ!!!!!」
勇者は屋敷に飛び込んでくる。
「シリウスさん!! 私達屋敷から一歩も出られなさそうですよ!!」
「まあ、そういうことだ。しばらくはここで暮らすとしようか」
「無理ですよ。ていうかここ本当に地獄ですよ」
こうして、勇者達百八十何人かの、地球での地獄の生活が始まったのであった。
*
翌日、八賢者の一人、ネプチューンは寝坊する。
「おいネプチューン、いつまで寝てんだ。もう十時だぞ」
アースが起こしに行く。
「まだ十時だ。あと24時間は寝れる」
「どういう神経してんだお前は。地球に来てから睡眠時間が増えたぞ」
「zzz」
「ダメだこいつ」
勇者達が住んでいた惑星と地球の自転速度はまったくもって同じである。やはり、環境の変化から生まれる違いなのだろうか。それに、昨日までずっとプルート号の中で、昨日、やっと地球についたと思えばプルート号が大破。そのまま落ちてきて昼の十二時ごろに目覚めれば屋敷の中で、しかも勇者だけがいつまでも起きないために何も行動を起こせないという過酷な半年だった。それに地球は彼等にとって地獄の環境である。その中でまったく疲れていないし寝れないというヤツはさすがにいないとは思うが、こいつ(ネプチューン)は異常である。昨日の夕方に寝始めて今日の十時にアースに起こされ、更にまだ24時間も寝れると言いやがるのだ。さすがにこれはないんじゃないかと思うのであるが、これ以上キャラクターを疲れさせると操作が効かなくなりそうなので適度に寝かしておくことが大切ではある。だがネプチューンの場合はどこからどこまでが適度な睡眠時間なのか全く解らない。そのためなるべく早めに「ここにも地の文スピーカーが取り付けてあったか。しかも地球に来るところまで話が進んだから作者の野郎もテンションが上がってきてやがる。話が長い。こんなもの後で俺が壊してやろうか」それにしてもネプチューンの体の構造がよく解らない。書いている某でも解らないのだから相当なヤツだ。これは多分あれだ。未知の生物というべきなんだろう。まあ、地球外生命体というだけで未知の生物なのだが。とにかくこの未知の生物達はk「話が長い。そろそろやめにしろ」のである。
「助けてくれ。この世界の神の話が長い」
「おお、ウラヌスか。お前の舞おう的兄弟パワーで地の分スピーカーを粉砕すればEじゃないか」
「そうだなジュピター。って、色々おかしい所があるぞ。舞おう的兄弟パワーって何だよ!! 魔王的強大パワーじゃないのかよ!! 舞っている兄弟の力なんていらねえんだよ!! あと、地の分って何だよ!! 文じゃないのかよ!! それに何だ? “Eじゃないか”ってなんだ? “良いじゃないか”じゃないのか!? Eがどうしたって言うんだよ!! それならAでもBでもCでもDでも良いんじゃないのか!!?」
「うむ。お前も話が長い」
「うるせえな!! てめえがいけねえんだろうが!! それに魔王の話が長くて悪いか!!」
「おまえはまおうではない。けんじゃだ」
「漢字変換しろよ!」
というわけでジュピターはボケに回る癖がある。
*
シリウスは困った。とても困った。本当はこんなに多い数の生物を呼び出すつもりはなかったのだ。で、結局何に困ったかというと、食事のことである。飯は全てシリウスひとりで作るつもりだった。が、いきなり八賢者の衛星だとか農夫だとかミミズだとかベガだとかが乱入してきたのだ。到底ひとりでは作れない。どうしようか、シリウスは本当に困った。そこで思いついたのが「待て。勝手に話を進めるな」
という訳で後は全部シリウスに任せておこう。某は何も手伝わないからな。
「そんな馬鹿な真似を。もしかしてコイツ、この私を完全になめているのか?」
「シリウスさんが増えましたね。分身ですか」
「私がひとりでたった183人しかいないやつらの食事を用意できないとでも?」
「なるほど。10体に分身して、それぞれで仕事を分担すると。そういうことですね」
「そうだ」
「給食のおばさんみたいですね」
「黙れ八等級のボケ勇者」
「あ、結構傷付きましたよ今」
「知るか」
そんなもんでシリウスはひとりで183体分の食事を用意した。本当にヤバイ。
*
少し遅い食事タイムはあっというまに終わり、食器を自分で片付けない非常識野郎はシリウスにしばかれた。
そのあとも地球での一日が終了するまで182人+一匹は昼寝し続けたのであった。
が、夜寝る前にシリウスはやっと重要なことに気がついた。
「やばい。食料が尽きた」
食料が尽きるのは当然ですね。