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全星空の大戦争  作者: 54
十一章 突撃!砦の晩ごはん
61/62

54、北砦攻略戦(1)

 まずは章タイトルから。

 ……ギリギリだな。

 今、地球上には様々な移動手段がある。「待て待て何だその始め方は」


「結構時間かかってるんだよ。ここに来るまでにな。なあ、シリウス」


「まあそれもそうなんだが、それにしても何だあの始め方は!」


 星軍は今宗谷岬付近にいる。地球上に存在する様々な移動手段を有効に利用し、何とかここまで辿り着いたのだ。


「それにしても寒いな」


「そうか? 私はそうは思わないが」


「まあお前はな。平熱が色々あるからな」


 軍師も色々と気にしているようなので、軍師の平熱が3℃であることは話さないでおく。「話してんじゃん!」


 さて、宗谷岬は当然寒い。冬だし。宗谷岬でなくても北海道やその周辺は物凄く寒いというのに、こいつらは本当にバカなのだろうか。「敵がいるから来たんだけどな!」


「毀軍がいるのは?」


「言うまでもないと思うが、最北端だぜ」


「……兵士たちは大丈夫なんだろうか。八等級総統や将校はともかくとして」


 多分大丈夫じゃないよ☆ なんてことを言っても今後の展開が変わることはとりあえずなさそうだ。運命は変えられないよね、やっぱり。


 その後テントで簡単な本陣と簡単な救護室を作った。(全く使い物にならない)総統は、本陣にずっと居座っているのがいつの間にか習慣として定着してきている。どこぞの無双シリーズだよ。ちなみにテントが張られた後総統は、テントの中でぶるぶる震えていたらしい。何の小動物だよ。


「よし、これから攻め立てる。準備は?」


「それより策は?」


「問題ない。既に立ててある。大掛かりなものをな(嘘です)」


「何か心の声が一瞬聞こえたような気が」


「気のせいだ。多分な」


 今回の策はいたって簡単なものである。内容はこうだ。本隊が砦の前で騒ぎ、敵の注意を引きつける。この時の人の数は少ないほうが良い。装備も貧弱なものを用意する。そうして敵が砦から出てくると、伏兵が囲む。毀軍と星軍が戦っている間に、別働隊が砦に侵入して占拠。策略とも呼べないような単純なものである。ちなみに別働隊を指揮するのはアダラである。アダラ隊にはシェアト戦で撃ち落とした援軍の隊長グラフィアスが入っている。普通ならばグラフィアスが星軍に入る理由など無いのであるが、どうやらこいつは魔術師の弟だったようで、まあそういうわけで星軍に加入することになってしまったのである。残念。バッド展開に気をつけてね。


「じゃあ作戦を開始する。伏兵は何処でもいいから隠れておけ。本隊は私に続け」


 連れていた兵や将校の半分以上が散り、軍師たちの隊はそのまま砦へと直進していった。砦は高い石積みの壁に囲まれていて、さほど広いとは言えない。そして何よりも、外観が汚らしいような気がする。石積みなんだから仕方がないことなんだろうけども。


「ここを攻めるんですか? 力押しで何とかなりそうですけども」


 レグルスが軍師に訊いた。


「(プルートによれば)間違いなくここだ。敵の数は少ない。だが、質がどうか解らない。慎重に行動するに越したことはないだろう」


「そうなんですか、さすがシリウスさん」


 星軍が砦の壁の前に集結した。石積みの壁は硬い。


「しまったな。こんなことになるんなら、本隊にアダラを加えればよかった」


 岩の壁は重く、叩いても全く音がしない。さらに防音効果もありそうだ。ちょっとやそっと騒いだくらいでは挑発にもならない。それに寒い。騒ぐほどの元気が星軍には残っているのかどうか。


「さて、どうするか……」


 地獄の戦争が始まった。



 *



 次は髭面の兵士だった。処刑台に寝転がっている。俺はその横で、重い剣を両手で支えながら、合図を待っていた。


 軍律を犯した者は首撥ねだ。今日は特に多い。軍の統率が全く取れていない。来年には人数が100人になってしまうんじゃないかと、怯えているこの頃だ。


 この仕事もそろそろやめたいと思っている。別に俺は優秀な人物でもなかったし、地位も高くはなかった。能力もいたって平凡で、ずば抜けていい所などなかったものだから、こんな仕事に選ばれてしまったのだろう。別段不幸というわけでもないが。


 合図が下った。俺は剣を振り上げ、髭面の兵士の首めがけて振り下ろした。頭が飛び、鮮血が噴き出した。まだ白かった雪が赤く染まる。これほど寒くては血もすぐに凍ってしまう。


 次で最後の受刑者なのであるが、異変が起こった。砦の外で何者かが騒いでいる。どうせ地球人たちであろうと思っていたが、そうはいかなかった。星軍という集団らしい。確か、今まで地球に寄越した軍を潰したやつらだ。


 砦の門がゆっくりと開き、砦の兵士たちが一斉に外に飛び出した。敵は少ないようだ。俺は処刑を中断し、門の外を見た。急に俺の身体の中の血が疼いてきた。俺は処刑用の剣を投げ捨て、別の刀を持ち、門の外へ踊り出ていった。

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