4、プロローグ4「集合しました」
今回はギャグ少なめ。
翌朝、何故か勇者達の準備が整ったようだ。もちろん、地球に移住する準備である。
そして何故かシリウスの家に。
「何で私の家に来る?」
「提案したから」
勇者達、通称やる気なし四人組は、シリウスの家でこれでもかというほどに寛いでいる。「何故だ」
「で、今日地球に向かいたいというわけだな?」
「そういうことです」(鷲)
「困ったな」
実は、まだ地球に向かう用のロケットが準備できていないのだ。これでは地球どころか、宇宙空間に出ることもできない。
「仕方ない。今日は、地球に同行するやつらの紹介だけでもするか。おい、出て来いゲスト」
シリウスがそう言うと、いきなり部屋の窓が割れ、一条の光が飛び込んできた。その光は、
「お待たせしましたね皆さん。知っているとおり、私は四天王で最も美しいベガです」
勇者達は皆唖然としている。というより、引いている。
四天王とは、昔、勇者達と激戦(そうでもないけど)を繰り広げた強豪魔物たち四人の総称である。四天王は、シリウス以外は死んだはずであった。
「待て、貴様は呼んでない」
「何を言いますか!」
「だから、貴様を呼んだ覚えはない」
シリウスは追い払おうとしたが、このナルシスト男、結構しつこいのである。シリウスは、これ以上張り合っても無駄だと思い、仕方なく連れて行くことにした。
「じゃあ、本当のゲストを呼び出すか」
次の瞬間、壁が轟音を立てて崩れた。その向こう側には、八人の賢者っぽい人と、165人の賢者っぽい人の部下、ひとりの戦士に一体の人型の魔物、そして普通の農夫(農業用の草刈機付き)とその人の手の平に乗っているちっこいミミズの総勢175人と一体と一匹がいる。ミミズは一匹と数えるのかどうか怪しいが。
「待て待て待て!! ひとりずつ登場しろよ!! つーか賢者八人、下っ端をそんなに連れてくるな!! それと農夫、草刈機に乗ってくるな!! あと壁を崩すな!!!」
当然、175人と一体と一匹と一機に加え、勇者達6人の合計183体の生き物+機械がシリウスの家に収まりきるはずもなく、外に出てから話すことにした。「危うく家が死ぬところだった」
*
では自己紹介をどうぞ。見たいな感じで。
最初に、賢者っぽい格好をした人の内、顔が切り傷だらけの人がでてきた。
「私はマーキュリーです。見ての通り、賢者をしています」
次に、金髪の賢者。
「私はヴィーナスです」
そして、神々しい賢者。
「私はアースだ」
赤い法衣の賢者。
「どうも。マーズです」
大赤斑の法衣の賢者。
「私はジュピターだ。賢くない賢者だと言われる」
それは賢者とは言わないんじゃ…、とは思っていたものの、勇者達は口に出さない。
次に、ばかでかい環の付いた法衣の賢者。
「あっしはサターンだ。へっへっへ」
威張った賢者。
「俺はウラヌス。最低最悪の魔王だ!!」
「いや、賢者でしょ」(鷲)
八人目は、眠そうな賢者だ。
「我はネプチューンだ。趣味は睡眠」
「なんだそりゃ」
以上で八賢者の紹介は終わりである。
*
賢者の下僕である165人の賢者っぽくない人は、衛星と呼ばれる人たちである。簡単に言えば部下だ。そのまんまだ。
ということで165人も紹介していては大変且つ面倒くさい、そして読むほうもだるいかと思われるので、省略。
*
次に、四天王の内の二人。
「先ほども言いましたが、私は華麗なる四天王の一人、ベガです」
ベガは派手な格好のナルシスト男である。
「俺はカノープスだ。四天王のひとりだった」
カノープスは戦士っぽい格好で、顎鬚が生えていて、とにかく漢らしい。
これで四天王のうち、二人は紹介できた。
「待ってください。四天王はシリウスさん以外死んだはずですよ」
「ああ、私が蘇らせた」
「!?」
さすがは王国一の魔導師である。死者を蘇らせることだって可能だ。
「だが、アークトゥルスだけはダメだった。あいつは元々死んでたから、蘇らせることができない」
アークトゥルスは四天王のうち、ただ一人だけ人間の姿ではなく、足のない死神の姿だった。
*
その他の人々。
まずは人型の魔物がでてくる。こいつは肌の色が石のような色なので、シリウスたち四天王の内の三人とは違い、普通に魔物と判断することができる。
「俺はカペラだ。元々は魔王の部下だったが、今はシリウスの部下だ」
こいつも死んでいたはずである。勇者達と激戦を繰り広げた末に、塔の下の階に落とされて呆気なく死んだ。多分、シリウスによって生き返ったのかと。
次に農夫、じゃなくて、農夫の手の平に乗ったミミズが地面に降りた。しかも喋った。
「我は元魔王のソルだ」
こいつが、二億八年前に王国を闇に陥れた魔王だ。そのはずだったが、今はミミズとなってしまった。しかも喋るミミズだ。元魔王の喋るミミズだ。珍しいことこの上ない。
残念ながら、農夫の名前はない。考えるのが面倒くさくなったわけではなく、農夫に名前はいらんと思ったのだ。「いや、面倒くさかっただけだろ」
以上で紹介は終わりである。「随分適当だったな」
*
「というわけで、私達は三日後に地球に向かう」
シリウスが色々と話し終わった後、183の生物は解散した。
「大いに疲れた」
それでもシリウスには行かなければいけないところがある。
「今日出来てるといいが」
宇宙空間に飛び出すためのロケット的なものである。シリウスは、それを作る男の場所に向かう。
「おい、居るか? プルート」
暗い工場みたいな所の奥から、紫色の髪の毛の少年が出てきた。
「おう、いるぜ」
「例のものはできたか?」
「出来てなかったことはないと思う」
「何だそれ、はっきりしろ」
「だから、出来てるって」
プルートはシリウスを奥に案内した。
「これだ」
そこには、人が千人乗れそうなほどに巨大なロケット的なものがあった。
「よくひとりでこんな物を作れたものだな」
「機械作りだけは任せろ」
「お前は地球に同行出来ないのか」
「ああ。マーキュリーに修行をしてろと言われたからな。めんどくせえが、成果を出せなければ千倍になって帰ってくるからな」
「そうか。では私達は三日後に地球へ行く」
「ああ。がんばれよ」
シリウスは工場を後にした。