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全星空の大戦争  作者: 54
五章 ブルーローズハイウェイ
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28、本陣~敵陣 チキンハイウェイ

 総統が本陣から歩き続けて17分45秒78、彼は完全に包囲されていた。毀軍に? いえいえ違いますぜ親分。詳しいことはここから先を御覧くだせえ。


「暗っ! 何も見えませんね」


 まーようするに、海と呼ばれる場所に迷い込んで、闇と孤独に包囲されたってことだな。


「ここらへんに不気味な木が生えていて、それがいきなり手足を生やして襲い掛かってくる」


 無論、月面に木など生えていない。もし生えていたとしても、襲い掛かってくるようなことはしない。少なくとも太陽系付近には、魔物とかそういう系統の生物は近寄らない仕様(SISTEM)になっているらしかった。勿論三宅島のダイヤの魔物は例外である。あの時は島自体が世界から切り離されていて、「地球」と認識されなかった。そのため、本当は寄り付かないはずの魔物が、地球に存在していた三宅島に迷い込んだのである。どうして入り込んだのは未だに不明であるが。


 まあ、そんな例外ダイヤの魔物よりも、このわけの解らん総統のほうが例外・論外・想定外な人物なのであるが。まあそれはさておき。


「暗い」


 まあ、海は基本的に暗い。明るさの面でも暗いし、入り込んだ人間も暗くなるだろう。気分的にね。とりあえず暗い。暗い。cryクライ


 だが現実は非情である。


「ゴム製品あったんだが」


 プルートがあっさりゴム製品を見つけてしまった。え? どこにそんな物があったかって? よく考えれば解る。車のタイヤだ。アダラたちが来る時に使ってた車のタイヤ。つまりプルートは、タイヤを作るためにタイヤのゴムを使おうと考えたのだ。


「いや~、灯台下暗しってところですね」


「よく考えれば解ることだったな☆」


「ところでアルキオネさんは?」(鷲)


「めんどくせー。放っといていいよ」


「「ですよねー」」(鷲)


 やっぱり現実は非情だった。


 だがともかく、これでシリウスの居場所を知れるわけだ。そういえば、タイヤはプルートが一時間足らずでちゃんと400個作ったよ。手がもう何本もあるんだろうね。大きさもピッタリ♪ んなことはどうでもええねん。今重要なことは、毀軍の動きがどうなっとるかっつーことだろう。


「全部取り付けたぜ。これで準備は終わりでいいんだな?」


「はい。あとは、装置を起動させるだけですね」


「よし、レグルス、みんなを掻き集めて来い」


「はい。収集してきます」


「収集ではない。掻き集めて来い」


「解りました。掻き集めてきます」


「うむ。それでいい」


 掻き集めるのも収集するのもどちらも同じような気がするが、あえてそこには触れないでおこう。え? もう触れてるって? まあまあ気にしない気にしない。


 レグルスは、約6000人の人間を本陣テントの近くに集めた。間違えた。掻き・・集めた。そして20列に並ばせる。


「どうして全軍を集める必要があったのでしょうか」


「いや、何か変なものを感じ取ったらしくて」


「変なもの?」


「装置の発する電波の動きが少しおかしい。途中で何かにぶつかって、グネグネ動いて進んでいるんだ」


「つまり、危険なものが途中にあると?」


「その可能性も否定できない」


 100台の車に6000人を乗せ、プルートは装置を起動させ、彼らは道路に乗り上げて走行を開始した。


「がんばれよー」


「プルートさんは行かないんですか!」


「当たり前だ。俺はもう疲れた」


 車は猛スピードでプルートから離れていく。スピードの出しすぎでもはや交通違反だ。


 んで、アダラは二度目の人間サンドイッチを体験していた。とりあえず暑いらしい。当たり前だが。


「シリウス生きてっかな」


「多分生きてますよ。多分」(鷲)


「って言うフラグですね。はい解ります」


 アルタイルもレグルスも同じ車で、更にややこしいことになっているのは言うまでもない。車内は、スピードの出しすぎでただでさえうるさいのに、この三人が集結すると最高に騒がしいこととなった。


 ……こんなんで大丈夫なんだろうか。っていうか本来の目的忘れてるよね。


 まあとりあえず、1分と20秒で着いたのだが。毀軍の陣に。ちなみに、車は投げ出されて壊れた。爆発こそしなかったものの、まずタイヤがぶっ壊れた。走りすぎでベロベロめくれたり、そもそも潰れてたりした。もう使い物にならないだろう。戻る時どうするんだよ。と突っ込みたくなる。


 さて、彼らは毀軍の砦の真ん前に来たのであるが、


「何この岩の塊」


「さあ? 門もあるから、何かの基地じゃね?」


「地球人のとか?」


「どうでもいいから、とりあえず入ろうぜ」


 警戒心の欠片もない将校たちであった。そんな馬鹿野郎どもは、門を押した。門は呆気なく開き、中の1万の人間(正確に言うと人間の形をした異星人だが)が見えた。


「……うん。出ましたね」


「ああ。まさかこんな所にいるとは思わなかったが」


「この感じは、やっぱりあれですね」(鷲)


「「「毀軍!!!」」」(鷲)


 丁度武器も持ってきていたため、戦うことはできた。……はずだったのだが、彼らは背中を向けて逃げ出した。数に圧倒されたのだろう。まあさすがに、1万の大軍を見たら常人は怖がるよな。それでも軍人なんだから戦えよ。


「毀軍いましたよ!」


「多分シリウスはあいつらに捕まった」


「ヤバイじゃないですか! どうやって対処しろと!?」


「まずは策を立てよう! 一旦引き上げだ!」


 こいつらはみんな馬鹿だから策を立てられるやつはいないと思うんだがね。……おっと失礼。


 彼らは近くの岩陰に隠れた。といっても、何千人かは隠れられなかったけど。それは隠れたことにはならないけど。


 毀軍は追ってこない。依然として警戒態勢を崩さない。


 さて、6000人の寄せ集めと1万人の毀軍では、どちらが勝つのだろうか。

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