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全星空の大戦争  作者: 54
一章 プロローグ
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2、プロローグ2「死は眼に視えない」

今回はギャグ少なめ。ここまで来てようやくプロローグになった。

「で、何で貴様らは私の家にいるのだ」


 翌朝、勇者と戦士と僧侶が、シリウスの家に慌てた様子で押しかけてきた。


「今朝、ちょっと妙な感覚を覚えて」(鷲)


「適当に跳んでみたらだな」


「浮遊時間がいつもよりも増しているんですよ!!」


「知ったことか!! それだけで私の家に来たのか貴様らは!! だいたい貴様は地質学者でもあるだろう! 原因くらい自分で探せ!!」


 シリウスのいうことは尤もだ。戦士は生物学者兼地質学者だ。不可解な現象は自分で調べなければならない、という王国政府からの指令が飛んでくる。


「何でもかんでも私に頼るな!!」


 勇者達は項垂れて帰っていった。



 *



 またある農家では、野菜に異変が起こっていた。


「おやっさん、野菜はどうだった?」


 元魔王のソルは、ミミズである。勇者達に倒されてから、畑の肥料作りをして暮らすことになっていた。で、こちらもシリウスの魔法が効いているようで、まだ生きていた。


「だめだ。なんだか知んねえが、いつもよりも明らかに多い放射線量が検出されてる。これじゃあ市場にゃあ出せねえ」


 チッ、と男は短く舌打ちをした。



 *



 その日の昼、戦士は、王国内の異常について調べまわった。調べた結果は、


・多量の放射線の検出

・気温の上昇

・外部からの引力による惑星の重力の低下


などなど。


 戦士はその後も調べまわった。



 *



 その夜、外が妙に騒がしくなった。異変を逸早く察知したシリウスが、やる気なし勇者パーティに連絡をする。


「おい、このボケ勇者とアホ僧侶!! 起きてるかこの野郎!!」


「何ですかシリウスさん、夜中に怒鳴り散らさないで下さいよ私達眠くて寝れないです」


「何かおかしい所あるぞ! と、そんなことはどうでもいい。何か、変な喊声が聞こえないか?」


「それがうるさくて聞こえないんですよまったく」


「いやいやいや!! 矛盾してるって! 要は聞こえてるってことだろ!? まあいい。今すぐ私の家に来い!!」


「いやいやいやいやいやいやいや、ここあなたの家ですよシリウスさん。おいしいモノたくさんありますよ」


「何の夢を見ているんだ貴様は!!いやが多すぎて何がなんだか解らんし」


「で、用件は何なんですか?」


「だから、私の家に来いと言ってるだろ!」


「解りました。では或る瓦さんと隣町に避難してきますきました」


「おかしい所が複数あるが、まあいいだろう。くれぐれも、怪しいことに巻き込まれるなよ」


 シリウスはそう言って電話を切った。次は戦士だ。


 が、いつまで経っても戦士は電話に出ない。


「何やってんだあの学者!!」


 シリウスはとうとう諦め、魔術師の家の電話番号を押した。相手はツーコールほどで出た。


「あ、シリウス?」


「貴様、こんな時間まで起きているのか」


 時計の針は、すでに1時を越している。


「で、何の用?」


「今すぐに私の家に来い。今すぐにだ。解ったな? 今すぐ来ないと死ぬ」


「何それ」


「いいから早くしろ!! 生き延びるための最低限の道具や、呪文が記されている冊子は必ず持って来い!! 詳しいことは後だ!!」


 シリウスはそう言って受話器を乱暴に置く。勇者と僧侶に連絡するのに予想の倍の時間がかかってしまったため、こうするしかなかったのだ。



 *



 しばらくして、勇者と僧侶と戦士と魔術師がやって来た。


「で、何の用?」


「貴様ら、解ると思うが、南の方角、つまり、城下町が見えるのと反対の方角から、謎の軍隊が接近してきている。軍隊と判ったのは、服装や持ち物からだ」


「で、何ですか? 私達に戦えと?」


「そうじゃない。あいつらは恐らく、今日突然発生した異常に関係している」


「つまり、俺達が住んでいる惑星は危険だと、そう言いたいわけだな?」


「そうだ。さすがベテルギウス。学者であるだけのことはある。話が早いぞ。寧ろ早すぎてどこからそれを持ってきたのか解らんほどだ」


「いいから早く次の話」(鷲)


「だから、逃げ出そうというわけで」


「逃げ出す? どこへ?」


 シリウスは本棚から一冊の本を取り出して、それの1217ページを勇者たち四人に見せる。


「「「「地球!?」」(鷲)」」


 見事に四人の台詞が被った。


「仕方ない。そこしか移動先がなかったんだ」


 勇者達が住む惑星の人たちは、地球という惑星を嫌っている。


「勿論、俺達だけで移動する、んだよな」


「当たり前だ」


 それほど地球に関心のない四人ではあったが、関心がないだけに、驚きの感情を隠しきれない様子だ。


「今日発生した異常現象は、多分、ブラックホールによるものかと思う」


「ブラックホールですか」


 質量の大きさは半端ではなく、密度の数値はほぼ無限に近いといわれるブラックホール。


「じゃあ何だよ!! あの軍隊は、一体なんなんだよ!!」


「多分、警告だ。この惑星に向けての」


「で、ブラックホールがこの惑星を飲み込むのはいつぐらいですか?」(鷲)


「私の推測ではあるが、一ヵ月後には」


 何だよそれ。ベテルギウスは言葉が出なかった。他も同様。


「この惑星の住民達にはすまないが、私達だけでも、ここを脱出する」


「待ってくださいよ!! 住民達を見捨てるんですか!?」


「当たり前だ。やつらが地球の環境に適応できるとはとても思えない」


 尤もだ。シリウスは誰よりも、この惑星の民を見ている。


「それに、ここの住民達嫌いだし」


 その言葉だけは、勇者たちの耳には届かなかった(笑)。

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