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全星空の大戦争  作者: 54
三章 軍が早速崩壊しそうなのだがこれはどういうことなのだろうか
19/62

17、獅子の将星、漂流する

今回も短いです。何故か長い話が書けなくなってきた。

 シリウスが軍師になったため、軍律は厳しく規定された。まあ下の通りである。


一、訓練は毎日欠かさぬ事

一、盗みや殺しを働かぬ事

一、軍律に反している者を見つけたら直ちに申し出る事

一、食材はなるべく質素なものを選ぶ事

一、使い捨ての道具はなるべく大事にする事


 そんな感じ。他にも色々面倒くさいものが多々あるが、今は気にしないでおこう。そんなことより今重要なのは、三宅島の海岸(といってもどこの海岸だか解らないが)に打ち上げられているもの・・である。


 発見したのは、学者だった。


「おい! 大変だぞ!」


「何だ何だ、またガラス瓶でも落ちてきたって言うのか」


「違う! 違うんだ! 今日は違う! 人だ! 人が倒れてるぞ!」


 海岸に倒れていたそれは、紛れもない、人である。紫っぽい色の髪で、どこかプルートに似てい……、いや、何でもない。


「うわっ、本当だ。と、とりあえずボロ小屋に運べ」


 軍師の命令により、海岸に打ち上げられていた少年(っぽい人)はボロ小屋に運び込まれた。


 ……、少年が目を覚ましたのは、日が沈んでからだった。「死んでるかと思ったよ本当に」


「お、やっと目を覚ましたぞ」


「どうする? まず最初に何を訊くかが重要だぞ」


 次に、少年は身体を起こす。そして、伸びをした。


 学者と軍師は、頷き合う。


「なあ、貴様、どこから来た?」


 少年は、突然の問いかけに驚くこともなく、答えた。


「…………ビア」


「何だって!? もう一回言え!」


「惑星ビア」


「ッ!! まさか、貴様、生存者、か?」


 軍師の言葉が途切れ途切れに出てくる。いや、それよりも、


――生存者――


 その言葉を、軍師は何回も繰り返している。“生存者、生存者。あの時の生存者。生存者、生存者”と、うわ言のように繰り返す。ようやくおさまると、軍師はまたも問いかけた。


「貴様、名を何という」


「……レグルス。獅子座の一等星と同じ名だ」


「レグルス、か。じゃあ次だ。正直に話せ。|あの戦争(2325)での生存者は、レグルス、貴様だけか?」


「多分」


「やっぱりか。じゃあ、ここはターゲットになる」


 その場にいる総統と学者は、軍師が何のことを言っているのかさっぱり解らない。


「レグルス、身体は痛むか?」


「全然」


「……、もう少し、静かにしてろ」


 会話をやめ、軍師は総統と学者を引っ張って小屋を出た。



 *



――全てを知る。


「シリウスさん! 一体、あれは何の話なんですか!」


「知らない、か。ならいい。話してやる。

レグルスは、ブラックホール戦争の被害者だ。2325回目の。つまりは、第2325回銀河大戦で、あいつは生まれ育った惑星を破壊され、宇宙空間に放り出された。地球に向かって・・・・・・・な。ブラックホールは、時々、人間を一人生き残らせる。それで、いつかのターゲットになるところへ向けて、飛ばす。レグルスは地球へ来た。だから、地球はヤツの標的になる」


 嫌な予感が当たった、とでも言うような顔だ。総統も学者も軍師も、しばらく閉口する。


「……………………、訓練を怠るな」


 そう言って、軍師はその場を離れた。



 *



 5月20日の夜は長かった。

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