16、役職決めは慎重に
一日飛ばして5月16日、シリウスは、村でもとりわけ広い場所に203人を集めた。軍(多分ブラックホールの討伐軍)の結成をするらしい。で、文字数が多くなりそうなので話を早めに進めるが、軍の中での役職を決める話し合いをしていた。といっても、常時やる気なし状態の四人組と、無駄に張り切っているシリウス&八賢者がまともな話し合いができるはずがなく、まあ、その、色々と適当である。
「じゃあまず、総統から決めたいと思う。ここは、(何もできないだろうなという低い)能力値的に考えて、アルキオネがいいと思うんだが」
「……、何か一瞬心の声が聞こえたような気が」
「気のせいだ、(クソ)勇者」
「……」
もうどうでもよくなった203人の意見によって、勇者が総統になることになった。多分他にやることがなかったのだと思われる。
で、ちなみに軍師がシリウス。まあ当たり前だな。
衛星の皆さんと、プルートとともに地球へやって来た20人の精鋭たちは小隊長くらいにはしてやってもいいかな、とシリウスが思ったらしいので、まあそういう事になった。他の人は全員将校。やはり適当である。
あ、ひとつ忘れていたことが。農夫は相変わらず農夫である。ミミズの魔王も相変わらずミミズである。カペラは何故か運搬担当。適当に決めたことは言うまでもない。
将校の中でも役職が細かく分けられた。ベガは空軍統領、アンタレスは陸軍の中の魔術隊の統領に充てられた。
「ベガに関しては、火の魔術を習得し、長時間滞空できるようになれば≪空の王者≫の異名を取る日は近くないだろう」
「……、それって遠回しに、無理、ってことですよね」(鷲)
「当たり前だ。あんなヤツが赤い鱗で身体中を多い、クソ長い尻尾を生やせるとは到底思えん」
「…………、すみません。原作をよく知らないので一旦抜けます」(鷲)
余談だが、僧侶の使える殲滅魔法は、エネルギーさえ溜めれば魔力(RPG界でいうマジックポイント)をほとんど使わずにぶっ放すことができる。連射こそできないが、最大までエネルギーを溜めれば途轍もない威力になるため、これは敵にとって脅威となるだろう。要するに、僧侶の殲滅魔法は魔力関係なしに放てる、弾数無制限のチート級魔術なのである。そんな魔術を使うっぽい僧侶は後に、≪冥王≫の異名を取ることになるだろう。
で、肝心の勇者はというと、
「八等級なのに総統など、勇者のくせに生意気だな」
「そのネタを引っ張り出してこないで下さいよ。なんだか悲しくなってきましたよ」
村長の家で戦士と話していた。ちなみに戦士は、自分は戦いたくないとかほざき、仕方なくシリウスが学者でいいと認めてくださったのである。
「お前は一番楽な役職じゃねえか。何も考えずに軍師にしたがっていればいいんだから」
「待ってください。どこぞの国の王朝ですか」
「えーとだな、三世紀あたりの中の国の王朝だったはずだ」
「答えなくて結構ですが。それに三世紀あたりの中の国の王朝は複数ありますよ」
「そうだったっけ」
とにかく、勇者と戦士が話すと必ず途中で話が脱線する、という話であった。
そのころ、八賢者は、まあいろいろ雑談ってた。
「なあ、一応俺達、賢者だよな」
「ああ。そうっぽい」
「なのに、一番肝心な戦闘シーンで何の活躍もしてないし、勇者達と戦ったときには僧侶の殲滅魔法で完敗したし、俺達って戦いの才能がないんじゃないか?」
「いや、そんなことはないぞウラヌス。私達にはすでに兄弟な力が――」
「……、ごめん。いい加減にそのネタ飽きた」
最近、ギャグがつまらなくなってきたジュピターは、某RPGのダンジョン内に転がっている返事をしないただのしかばね同然になっていた。「喩えがいまいちよく解らん」
「ウラヌスとジュピターはまだいいほうだよ。俺らなんか全然登場してなくね?」
「搭乗はしてますよ。まあ、登場はしてませんが」
「くだらねえ言葉遊びはいらねえぜ、マーキュリー」
「サターン、いらないとは少しイライラしますね」
「だからいらねえって」
このようにくだらない会話である。
「まあさすがに、全員のストーリーを書くことはないでしょうね」
「鉄錆色は黙ってろ」
「時間があれば書いてくれるかも知れませんがね。どう思いますか? アースさん」
「別に、どうも思わない」
あと、余ったヴィーナスとネプチューンについてだが、ネプチューンは普通に寝ていて、ヴィーナスは暇なので美容にいい食べ物の研究でもしているようだ。本当にどうでもいいな。
とりあえず、八賢者の役職が適当に決められてしまったせいで、賢者としてのプライドの高い彼らのやる気は削がれてしまったようである。あ、これプライド関係ないか。
だから役職決めは慎重にと事前に言っておいたのにな。(byウラヌス)
時間があればあの人とかその人とかの話書きます。
あと、次の話辺りから一部の人の呼び名が役職名になると思います。