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全星空の大戦争  作者: 54
二章 地球は本当に地獄であった
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13、三宅島制圧戦・中編

「進め! この島を私達のものにするぞ!!」


 5月14日、シリウス率いる200人ほどの将星は、三宅島の村に入っていく。それは当たり前のごとく珍しい光景なので、村民達が外に出て観察している。


「邪魔だ! どけどけぇ!!」


 沢山の村民で狭くなった道を広げながら、シリウス軍は突き進む。作戦は昨日練った。かなり完璧な作戦だ。だがそれは、危険な作戦でもあった。


「死にたくなければ道を空けろ!」


 溢れかえっている村民を掻き分けながら、シリウスは高い所を目指す。そう、それは、山だ。シリウスは本気で山を占拠する気でいる。


 昨日、この作戦を勇者に伝えたところ、やはり反対を受けた。


「アルキオネ、明日の作戦、こんなもんでいいか?」


「どのような?」


「まず、私達が島の中央の火山をのっとる。私には、地殻変動促進魔法がある。火山なんかいつでも爆発させられる。そこで、島を明け渡さなければ噴火させるぞ、といって脅すんだ」


「えええ!? そ、それは無理がありすぎますよ! あっち側はこちらが魔法を使えるなんて知らないでしょうし、知らせても信じてくれるわけがありません! 頭のおかしい集団だと認識されるだけです!」


「じゃあ今にでも噴火を起こして私達の恐ろしさを村中に知らしめるか?」


「ひええ! それだけはダメですよ!」


「とりあえず、全て私に任せておけ。貴様は後ろから付いてくればいい」


「そんあ、滅茶苦茶ですね。本当に大丈夫なんでしょうか、初陣ういじんなのに」


 だが、シリウスの立てた策はほぼ・・完璧といっていい。この島の人々は、噴火の脅威を知っている。2000年に雄山が噴火し、2005年になるまで帰れなかったのだ。


――そう、「ほぼ」完璧である。


「邪魔だ!」


 シリウスたちは敵(とはどうしても思えないが)を蹴散らし、山へと向かう。が、彼らの前に、本当の敵が現れる。


「止まれ! 警察だ!!」


「おっと、三宅島警察のお出ましかい。結構速いねぇ」


 三宅島警察署からすっ飛んできた警察の皆さんである。


「まさかこんな所で出るとはね。予想外だった」


 さすがのシリウスでも、初めて訪れる土地について全てを理解しているわけではない。三宅島警察の登場など、想定していなかった。


「動くな! そして話せ! お前らの目的は何だ!」


 シリウスの目の前に、ピストルを構えてこちらを睨みつけてくる警官がいる。


「目的? そんなものを訊いてどうする? 私たちの目的は、この島の占領だ!!」


「なっ、なんてことを言うヤツだ! 止めろ! 捕らえろ! 一人も残すな!!」


 警官に混じって、村民もシリウスたちに対抗する。


「まずいぞ! 下手に動けば発砲される!」


「撤退しますか!?」


「いや、まだだ! こちらには魔術がある!!」


 衛星が二人、捕らえられた。


「魔術って言ったって何使えばいいんですか! 下手に攻撃するのもまずいですよ!!」


「解っている! 今考えている!」


 また三人、捕らえられた。このままでは負け確定だ。


「早く! 早くしてくださいよ!」


「暫し待て!」


 五人、十人と、捕らえられていく。


「よし、これがいい! 皆体制を崩すな!」


 そう言った後にシリウスはなにやら呪文のようなものを唱え始める。


天上てんじゃふの神神よ、我らを安全な地へ飛ばし給へ! 空間転移っ!!」


 その瞬間、彼らの姿が消えた。警察の皆さんは皆唖然とし、目の前で起こった現象に驚いている。


――そのころ、シリウスたちはというと、


「危なかった。ギリギリで捕まる所だったな」


「まさかの事態ですね。警察まで出動するなんて」


「よりによって一番使いたくない魔術を使ってしまった」


 空間転移魔法はかなり魔力を消費するため、無駄な使用は避けたい魔術のひとつである。


「で、どうするんですか? このままではまずいですよ」


「そうだな。じゃあ仕方がない。外部との連絡を断ち切るためにはあの魔術を使うしかないか」


「して、あの魔術とは?」


「空間断絶魔法だ。この島を世界から引き剥がす」


「ちょっとそれやばいんじゃないですか!? 絶対使っちゃいけない魔術ですよね!?」


「まあそりゃそうだが、思いっきり暴れるためにはそれしかない。結構魔力食うが」


 というわけで、シリウスは空間断絶魔法を唱え、三宅島を外界から引き剥がした。


 気付けば、空と海の色が、灰色に染まっている。


「……。とんでもない魔術ですね。私達、生きて帰れるんでしょうか」


「多分な」


 空間断絶魔法は成功。そのため三宅島警察は、いきなり外部との連絡が途切れたのを不審に思った。


 で、シリウスとカノープスはというと、「久しぶりに聞いた名前があるな」


「貴様には、これを振り回しながら進んでもらう」


「鎖付きの鉄球!? 何でそんなダサい武器を!?」


「見た目など気にするな。破壊力だけを見ろ。今のお前には遠心力増幅魔法と目回無効魔法がかかっている。思う存分暴れてもらって結構だ」


「なんだよそれ」


「……ちょっといいですかシリウスさん」


「何だ勇者よ」


「あんな装備で本当に大丈夫なんですかね」


「大丈夫だ。問題ない」


「……」


 シリウスの魔術は期待を裏切らない。多分。


「さあ、もう一度行くか」


 再び出陣。

やばい。三宅島長引いてる。

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