1、プロローグ1「諸事情」
過去作「星空上の大戦争」の内容がわかっていれば、今作の内容が3割程度はわかると思います。残り7割の内の2割はどうしても理解不能ですが。
プロローグ、ではない。何か生きてる話です。本題に入るのは次回から。
話の途中にこの世界の創造神が出てきますが、まあ気にしないでやってください。少なくとも某ではないですから。まあそのうち詳細が明らかになっていくことでしょう。
それと、作者の文章力の都合上、いくつか筋の通っていない話がございますが、物語の進行とともに作者も成長してゆくつもりですので、どうぞよろしくお願いします。
いろいろあってあの戦い(くわしくは似た名前のシリーズの一番上の話を参照)から2億8年後。
「なんか生きてるんですけど」(鷲)
「ああ、はい。それ聞くの600億回越えてますので」
「元気なんですけど」(鷲)
「それも600億回越えてます」
「年取ってないんですけど」(鷲)
「それも600億回越えです」
何だかんだあって2億5年も経っても全く年も取らずに生きている勇者アルキオネと僧侶アルタイル。アルタイルは遠い昔、共に旅をしていた魔術師に、台詞の後に(鷲)が付く魔法をかけられていたが、未だに解けていない。
「とりあえず、ベテルギウスさんに聞いてみましょう」
「なんでや」(鷲)
勇者と僧侶は、今生きているかわからんが、元戦士で現学者のベテルギウスに相談に行くことにした。
「一応生物学者ですので」
「そういうことですか」(鷲)
ということで勇者と僧侶は、戦士の簡素な家に押しかけることになった。
*
戦士の家は、まだまだ若い勇者と僧侶の二人が押しかけようものなら、今にも半壊しそうなボロ家だ。そんな家に勇者達は突如現れ、扉の角を少し壊したのであった。
「お前ら、人の家の扉を壊すな」
「それより、聞きたいことがあるんです!!」(鷲)
「いいから、大声出して俺の家を破壊させるな」
問題児の僧侶は、大声を出しただけでガラスや柱に罅を入れたりするような強豪である。このままでは家がもたないと思い、戦士は大人しく僧侶の話を聞くことにした。
「実はですね、俺達、まだ生きてるんです」(鷲)
「知ってる。そうでなきゃ見えんだろうが」
「それでですね、年も取ってないんです」(鷲)
「見りゃわかるわい」
「更に、元気なんです」(鷲)
「ここに来れるくらいなんだから当たり前だろ」
「で、それはどのようなものが原因になっているのかを知りたくてやってきました」(鷲)
「実は、俺も知らない」
戦士のその一言で、場の空気が固まった。
「じゃあ、何によるものだと思います?」
「知らね。魔法か何かじゃねえか?」
「学者のくせに調べる気どころか無感心ですか」
「うるせえ。いつもお前は生意気な口をたたきやがる」
勇者の生意気な発言を聞いて少々イラついたのか、戦士は外に出ようとした。
「どこに行くつもりですか?」
「決まってんだろ。シリウスの野郎に話を聞きに行く。あまりあいつには会いたくはないが」
シリウスとは、2億8年前に勇者達と戦った敵であり、同時に、魔王ソルを打ち倒した最強の魔導師でもある。そして何よりも魔物である。だが姿は完全に人間である。
戦士は、シリウスのことがあまり好きではなかった。てゆーか、正直嫌いだった。その答えは単純なもので、「魔物でしかも敵だったくせに、何故か大人気だから」である。とにかく、戦士はシリウスが嫌いだった。
勇者たち三人は、早速シリウスの住む家に向かった。小さいが立派な家である。
つーか、世界を救おうと旅を続けていた戦士の家がボロ家で、元々魔王の部下であったが、ただ嫌いだったので殺したという訳の解らん行動を起こした腹黒な闇の魔導師の家が普通の家とは、完全にバランスが崩壊しているというか、何ともなめきった設定である。
「こいつ、敵だったくせに何で俺の家よりも立派なんだよ」
戦士はこの時、この家破壊してやろうかと思ったことだろう。というか破壊しそうだ。やばいやばい。戦士の行動を規制しないと。
「愚痴を言っていても仕方ねえか。よし、入るぞ」
まったく、神の権力とは凄まじいもので、登場キャラクターの感情や行動を一瞬にしてコントロールできるのだ。本当に神の力は凄い。
「何をほざいてるんですかこのダメ創造神」
こいつには効かないようだ。やはり、主人公の力というものは恐ろしい。
「いいから早く入りましょう。あなたが私達の行動の描写を全くしてくれないおかげで物語が全然進まないんですからね」
ちっ、仕方ねえな。このまま余計なことをほざいていても、読み手が飽きるだけなのでここまでにしておく。
勇者達はシリウスの家のインターホンを、一人一回ずつ押した。
「うるさい! 聞こえてるからインターホンは一回でいいんだよ!!」
シリウスは怒ってでてきたが、馬鹿な勇者と僧侶は何で怒ったのかわからなかった。
というわけで、勇者たち三人はシリウスの家に入ることになった。戦士はやや不機嫌ではある。
中に入ると、昔、勇者たちと魔王を倒すために旅をした魔術師、アンタレスがいる。
「お前、何でここにいるんだ」
「昼だから」
「何だそのわけのわからん理由は!!」
戦士は魔術師も苦手である。それは、どこかの国の神話において、オリオンが蠍に負けたことに由来する。ベテルギウスはオリオン座のα星で、アンタレスはさそり座のα星である。
「で、用件は何だ」
「実は、俺達生きてるんです!!」(鷲)
「あなたは学習しなさいよアルタイルさん。
で、私達は、この訳の解らん超長寿の原因を訊きに来たんです」
「ああ、それ、私の魔術だ」
「「「「は!?」」」」
魔術師を含んだ勇者たち四人が驚愕の声をあげる。
「だから、私を魔王から解放させた礼として、2億5年前に不老長寿の魔術をかけておいた。年齢も三年ほど巻き戻しておいたから、お前達は二億八年前の年齢でずっと生きているというわけだ」
「何それ。すごいハイクオリティーな魔術じゃん」
ということで勇者達が気になっていたものは、無事かどうか解らんがとりあえず解決したのである。
めでたしめでたし。
「あれ!? 終わっちゃったんですけど!!」