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エリスの戦い(後篇)

「『魔術式段階9、構築!!』」


グレイの足元に、白く輝く魔術式が構成される。

前もって魔術式を展開しておき、それに魔力を支払い続けることによって、頭の中で魔術式をイメージする分のタイムラグを抑える。

グレイは、早めに片を着けるつもりだった。今自分の真後ろに横たわっているエリスの鎖による傷は、深い。

―――人が気絶している間に、散々やってくれたベルに手加減するつもりなど、皆無。


「『並べよ我らが兵士達!強大なる敵前にして、血路を開き突き進め!』」


まるで土星の輪のように、コバルトブルーの裏面を上にしたカードたちがベルの周りに並んだ。


「似合わないから嫌いなのですが……『召喚胴衣ローブ装着!』」


白装束の上に、黒と赤のギンガムチェックのローブが現れた。

……確かにミスマッチだ。


「『段階5、「業火ヘルズファイア」レベル1、発現!!』」

「第2開放、『防御エイワズ』『ラグズ』…『流れる防御』!!」


先程と同じように炎がいなされ、無数の紅い粉となる。

その粉にベルが視界をさえぎられている間に、グレイは杖を袖の中に入れ、前屈みになりながら両手首を顔の前で交差させた。


「『連続魔法! 段階8、「大いなる翼の狂乱」(フレンジードプルミーゼ)、発動!!』」


  ザン、という音と共にグレイの背中に1対の巨大な茶色い翼が現れた。


「『散れ!!』」


一瞬にして翼は1つ1つの羽に分離し四散、めいめいがタイミングをずらした時間差攻撃を開始する。


「くっそ……第1開放『休止イサ』!!」


魔力を含んだ銀色の風が広がり、羽が宙に浮いたままぴたりと止まった。

数多の羽が、密度の薄い壁となる。


「このときを待っていた!!『段階8♯、「削除の氷雪」(デリーティングブリザード)、発動!!』」

「第2開放、『完全ソウェイル』『防御エイワズ』……『完全なる防御!!』」


フィールドが魔力の吹雪に見舞われ、あらゆる魔法が魔術的絶対零度に耐え切れず砕けた。

―――そう、あらゆる魔法が。

ガラスの割れるような鋭い亀裂音がグレイの耳に聞こえた。


「な、何ッ、防御が……ッ!?」


そんな声を上げるベルにも吹雪が襲い掛かる。


「『解除キャンセル』」


そう唱えた刹那、吹雪が完全に消えた。

吹雪の中で砕けずに残ったのは、ベルのみ。

その身にまとっていたローブの半分は、千切れ飛んでいた。

半分が黒と赤、もう半分が白装束と言う奇妙な格好でベルは立っていたのだ。

しぶとい奴、とグレイはつぶやいた。


「『魔術式段階9♭(フラット)、構築!!』」

「何、――――――!?」


驚くグレイをよそに、泡のような光を放ちながらクリーム色の魔術式がベルの足元に構築される。


「『段階9♭、「珠玉紅蓮スフィア・プロミネンス発火イグニット!!』」


右手を天に掲げたポーズで唱え、数瞬後にはもう、直径25メートルはあろうかという巨大すぎる炎の塊が手の上10メートルの辺りに出来上がっていた。

両者の距離、わずか6メートル弱。その球が手を離れたら即、黒焦げになってしまう。


「ば、馬鹿かお前はっ!?」


そう叫びつつ、とりあえず逃げるために上空へと逃げようと銀無垢の2本の杖を邪魔にならないよう1本に合体させ、唱える。


「『段階3、「不可視翼キャントシーウィング」発動!!』」

「喰らえええええええええっ!!」

「本気で投げる奴がどこにいるんだあン野郎にゃろう、『技術ワンドスキル薙払ウィスプ!!』」


野球のバットのように、もとい古代の薙刀のように杖を持ち、タイミングを合わせて勢い良く、振る。


巨大な炎の塊は逸れ、校舎の北西塔に―――激突した。


「あちゃぁ……」


炎を上げながら崩れていく校舎の一部を、コロセウムの皆はただ呆然としてみていた。

サブタイトルがエリスの戦いなのにエリスの出番が少なすぎましたね・・・・・・。

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