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第5話 仲間を求めて -1

某格ゲーでスランプだったので更新遅くなった


キィンッ!ドガァン!


俺はシリンダーカリバーのトリガーを引き絞り、眼の前にいる『フォレスト・ベア』を吹き飛ばした。

爆風を伴った鋭い一閃が、森林系ダンジョン『碧落の樹海』に響く。


「ミナッ!」


合図を出すと俺の背後から光弾が飛ぶ。


「グレアム!」


ミナの攻撃魔法が、吹き飛ばされたフォレスト・ベアの巨体に直撃した。

光の粒子が森の中に散り、静寂が戻る。

ふぅ、と一息吐くとミナが走り寄ってくる。


「お疲れ様です、ジンさん!」


後方から駆け寄ってきたミナが嬉しそうに笑っていた。

木漏れ日が、彼女の銀白色プラチナブロンドの長い髪を透かし、まるで繊細な工芸品のような輝きを放っている。

優しい青緑の瞳。白いローブの裾が揺れ、内側の赤い裏地がチラリと見える。

出会ったばかりの、あの震えていた少女の面影はもうない。

今の彼女の瞳には、自分の役割を全うしようとする凛とした強さが宿っている。


「ああ、お疲れミナ。トドメの一撃、いいタイミングだったぞ」

「ジンさんの合図通りにしたからですよ」


そう言った彼女は照れくさかったのか、ふいと視線を逸らして聖杖を背負い直した。


「今日も順調だったな」

「はい!……その、ジンさん。少し相談があるんですけど」

「相談? なら一旦、ルミナスエデンに戻ろうか」


俺がそう言うとミナは頷いた。

ダンジョンを抜け、俺たちはルミナスエデンへと戻った。

中央広場の噴水は、沈みゆく夕日に照らされてオレンジ色に揺らめいている。

いつものように噴水の縁に腰を下ろし、インベントリの整理を終えたところで、ミナが改めて口を開いた。


「……私たち、最近すごく息が合ってきましたよね」

「ああ、そうだな」

「それでですね、せっかくなのでライトパーティを組んでみたいなって……」


ミナは少し言いにくそうに指先を揃えた。


「固定のメンバーで、ちゃんとしたパーティを。そろそろインスタンスダンジョンとかにも挑戦してみたいですし」


インスタンスダンジョン。

徹底した役割分担と高度な連携が求められる、ARにおける「本番」とも言える場所だ。

確かに、今の俺たちの連携なら不可能ではない。だが――。


「なるほどな。でもインスタンスダンジョンは編成が決められてる。宛はあるのか?」


そう、インスタンスダンジョンではタンク1、ヒーラー1、アタッカー2の計4人編成が条件だ。

ミナは待ってましたと言わんばかりの笑みを浮かべた。


「実は私をARに誘ってくれた人がエレメンタリストなんですよ」

「魔法職か。エレメンタリストなら範囲殲滅も得意だしいいな」

「ジンさんならそう言ってくれると思って、実は明日会う約束したんです」


なるほど、ちょっと遠慮がちだったのは俺が断ると思ったからか。


「ミナの紹介なんだ、断るわけないさ」

「よかった……。では明日、バステトのゲート前で会いましょう!」


バステトか。

砂漠と荒野が広がる軍事国家。

初期スタート地点の一つで、物理職や鍛冶系の装備が充実している街だ。


「ああ、わかった」

「では、ジンさん。また明日!」


ミナはそう言ってログアウトした。

エレメンタリスト。

なかなか操作難易度が高い部類だが、好んでやっているということはこちら側の人間なのだろう。

俺は明日会うのを楽しみにログアウトした。


翌日。

ログインし、バステトに降り立つ。

街中だというのに強烈な日差しが俺の視界を焼き、乾いた風が頬を撫でた。

約束したゲート前まで行くと、既にミナとエレメンタリストらしき人物が待っていた。


「ジンさーん! こっちです!」


ゲートの影から、ミナが手を振っていた。


「早かったな、ミナ。……で、そっちが昨日言っていた?」

「はい! リーシャです。私のリア友なんですよ」


ミナの隣にいた女性が一歩前に出た。

健康的な褐色肌に、快活さを象徴するような黒髪のポニーテール。

琥珀色の瞳が、バステトの陽光を受けてキラキラと輝いている。

大きな魔女帽子には赤いリボンが結ばれ、へそを出したショートトップには金色の装飾ラインが走る。

紺色のロングコートを羽織り、その内側の紫のグラデーションが砂色の街並みの中で鮮やかに浮き立っていた。


「はじめまして、アタシはリーシャよ! よろしくね、ジンさん!」


快活な笑顔と共に、リーシャは俺に手を差し出した。

その目には好奇心と、どこか品定めするような光が混じっている。


「ああ、よろしく頼む」


握手を交わすと、リーシャはすぐに俺の装備へ視線を移した。


「ふ〜ん、シリンダーフェンサーか……。そのジョブにしてる理由って何?」

「ああ、あるぜ。シンプルな理由がな」

「なにかしら?」

「回避タンクってかっこいいだろ?」

「へぇ……」


リーシャは興味深そうに顎に手を当てた。


「ミナ、この人相当変わり者ね」


リーシャがそう言うと、ミナは少し苦笑していた。


「そういえば、バステトが拠点なの? ここ来るの慣れてる感じがするけど」

「ああ。初期スタートからずっとここにいる」

「…………え?」

「えっ!? そうなんですか!?」


リーシャとミナの声が重なる。

俺は肩をすくめた。


「理由は、昔はここから始める人が少なかったからってだけだがな」


三人で街を歩き出し、俺はふと思い出したように言った。


「そういえば、ミナの装備、お前が選んだのか?」

「ん? ああ、そうよ。最初はこっちの余り物を譲っただけだったんだけどね」


リーシャは歩きながら答えた。


「ミナがどんな風に戦うのか見えてきたから、装備も変えた方がいいかなって。重い防具より、動きやすい方が絶対合ってるでしょ?」

「確かにな。ミナは先読みして動くタイプだ。機動力は重要だろう」

「でしょ? だからミニスカート風のローブにして、魔法のリキャストも早くなるように調整したの」

「いい判断だ」

「当たり前じゃない。親友の装備選び、真剣なんだから」


やがて、俺たちはプレイヤーが運営する飲食店に入った。

各々注文し、席に座る。


「……さて。そろそろ本題に入りましょうか」


不意に、リーシャが真剣な表情に戻った。


「ミナから話は聞いてるわ。パーティの固定メンバーを探してるのよね?」

「ああ。いずれはインスタンスダンジョンやレイドボスなんかに挑戦したいと思ってな」

「ふ〜ん……。まあ、ミナの紹介だし、試しに組んでもいいわよ」


リーシャはそう言って、どこか確かめるような目で俺を見た。

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