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第55話 安心しろミネウチだ。ええぇ……骨とかバッキバキにいってそうですけど

「聖女よ、我が声に応えよ。その加護、今こそ熱き矢と化せ……!

 ――――――聖高速火矢フラッシュファイアーアロー!」


「聖女よ、我が声に応えよ。その加護、今こそ月影をまとい沈黙の刃を敵の心へ!

 ――――――月影の聖短刃ルナ・セイントスティレット!」


 バレッサの炎矢とレイニの短刀が同時に放たれた。

 2人が攻撃した場所は、さきほど声がした木のそばだ。


 ―――ん! 


 2人の攻撃に手ごたえは無し……移動したな。

 だが、他の聖騎士たちが退路を断つべく、通路をふさぐように各所に布陣する。


『クソ! やむを得ん応戦だ―――雷撃筒(サンダーバレル)、魔力充填!』

『『―――了解! 小隊長!』』


 再び、なにもない空間から声が響く。

 次の瞬間、なにやらバチバチという不気味な音が耳に入ってきた。

 なにかやるつもりだな。俺はティナをうしろに下がらせる。


『―――各自、射撃はじめ!』


 その声と共に、なにも無い空間からバチッと音を立てて、こちらに何かが飛んできた。

 なんだこりゃ? 光の玉か?


 バレッサとレイニは素早く回避行動をとり、直撃を避ける。


「キャアア―――!」


 仲間の一人が避けきれず、その場で片膝を地につけた。


「大丈夫か」

「え、ええ……直撃は避けました。雷撃魔法を凝縮したような攻撃です……」


 命に別状はないようだ。が、身体が痺れている。

 なるほど、雷のつぶてみたいなもんか。


 バンッ! バチィイインッ!!

 再び雷撃が走り、稲妻の弾が飛んでくる。俺は弾を避けつつも、敵の正確な居場所を探ろうとするが……


「先輩! 敵は射撃と同時に移動してるっす!」

「ふひゃぁ! また飛んできたぁ!」


 バレッサとレイニも負けじと応戦するが、攻撃はすべて空振りに終わる。


『クハハ、どうだ聖騎士ども、我らが魔道具の恐ろしさ思い知ったか!』


「くっ……当たらないっす!」


 バレッサたちが苦戦の声をあげる。

 ふ~む、俺も気配だけでは正確な場所まではわからんし……よし!



「こういう場合は、こうするのがいいんだ! 

 全員目をつぶれぇええ―――――――――ぬんっんんん!」



 俺は木刀を地面に叩きつけた。



 ドゴォオオオ!



 乾いた衝撃音と共に、土埃が一斉に舞い上がる。

 ばーーっと、砂粒が跳ね返り。一気に空から降り注いていく。そこに―――ぼんやりと、人の輪郭が浮かんできた。

 砂煙が彼らの体にまとわりつき、三人分のシルエットがくっきりと浮かび上がった。


「な、なんだこれは!?」

「しょ、小隊長! 身体が……」

「ばかなぁ……我らの遮蔽魔道具をこんなくだらないことで……」


 うっし、ようやくお目見えか。


「ボクレン様! すごいです!」とティナがうしろで歓声を上げる。

「俺のいた森には、擬態や透明化する魔物なんてざらにいたからな」


「ふ、ふざけるなぁあ……総員、あのおっさんを狙え!」


 筒のようなものを構える3人。あれが雷を出している道具か……

 だが、姿を現した以上――――――


 腰を落として、地をひと蹴り。


「ぬんっ!」


 一人目を木刀で叩き伏せる。


「―――ぎゃんっ!?」


 短い悲鳴を上げて、その場で崩れ落ちる敵。

 そんなもん撃たせるほど、悠長には待たんよ。


「キャッ……ボクレン様……!」


 ティナが目を丸くする。人が倒れるのを始めて見たのだろうか。


「ああ、安心しろティナ。峰打ちだ。殺してはいない」


「えぇ……でも今、バキボキってすごい音してましたけど……」


 と隣にいたレイニが引き気味に呟く。かるく叩いただけだから、大丈夫だと思うんだが。

 倒れた男の腕輪が壊れ、砕け散った。輪郭だけでなく、その身体全体がスーっと現れた。


「これで姿を消していたのか。凄い道具だな」


「くそっ……よくも仲間を!」


「―――ぬんっ!」


 再度筒を構えようとした敵に一気に間合いを詰めた俺は、二人目を壁に叩きつける。


「ぎゃぎゃんっ!?」


 地面に落ち、ヒクヒクと身体を痙攣させる二人目。


「ひぃぃ! な、なにが峰打ちだ! この木刀サイコ野郎! に、逃げ―――」


 その言葉か終わる前に、最後の1人も地に崩れ落ちた。

 魔道具での攻撃は凄かったが、個人的な身体能力はさほど高いやつらじゃなかったな。


 木刀の埃をはらっていると、伝令らしき聖騎士が叫びながら走りすぎていく。


「聖騎士は魔物を討伐次第、中央広場に集合!

 外に出ている聖女もだ! 教室にいるものはそのまま待機!」


 なるほど、たしかに魔物がうろついているなか教室に戻るよりは、広場に集めた方が守りやすいってことか。

 地に倒れる3人の男から情報を引き出したいが、眼球が明後日の方向を向いている。ちょっと手加減をミスったかもしれん。


 ここで時間を食うわけにもいかんか……


「バレッサ、レイニ。お前たちはティナを守りつつ、先に中央広場へ行ってくれ」

「了解っす! こいつらのことも隊長に報告するっす!」

「ボクレン様は……?」


 ティナが心配そうに問う。


「俺は残りの魔物を片付けてから行くよ」


「……わかりました! でも必ず来てくださいね!」


 ティナの瞳を見て頷き、俺は木刀を握り駆け出した。



【読者のみなさまへ】


第55話まで読んで頂きありがとうございます!

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※本作はカクヨムにて先行公開中です。


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