表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/62

第50話 ボクレンならば、SSランク素材と言えど1つぐらい持ち帰ってくるかもしれない……って、貴様ぁあ!どんだけ持ち帰って来るんだ!?

「ふぅう……今更ですが、私とんでもない人を聖騎士にしちゃったんだ」

「それはワタクシも同じ気持ちですわ。ボクレンは常に予想のさらに上をいきますもの」


 しばらく固まっていた聖女たちの瞳に、生気が戻ってきた。


「ふふっ……」


 お互いに顔を見合わせ、クスッと微笑みあう二人の聖女。

 おお、なんかいつもの二人に戻ったな。


 あと一人、聖騎士のレイニは……


「…………ふ……ふはぁ……とぅんっ! とぅんっ!」


 ダメだ! なんかビクビク痙攣し始めてる!

 小刻みに震えて、泡でも吹きそうな勢いだぞ!?


「はぁはぁ……耐性ついてたはずなのにぃ。セシリアさんとアレシーナさんより戻りが遅いなんて……」


 タイセイ? モドリ?


 とにかくちょっと休ませた方がいいな。


 レイニを木陰で寝かせて、俺たちは焔玉果レインボーフレアフルーツを収穫していく。

 バックパックに実をしまうたび、カラン……と鈴の音みたいな余韻が広がった。果実の表面は透き通るように艶やかで、光を浴びると七色の輝きを放つ。


「わぁ……キレイ……! まるで夜空を閉じ込めた宝石みたいです!」


 セシリアが焔玉果レインボーフレアフルーツを両手で大事そうに抱え、頬ずりしそうな勢いで見つめている。


「そうですわね……。でも宝石と違って、命を燃やしているように見えますわ。ほら、果実の芯から小さな炎がゆらめいているようですもの」


 アレシーナが真剣な顔で実を覗き込み、その綺麗な目を細める。


「うむ。いいこと言うな」


 おっさんも思わず頷いた。

 確かにこれはただの果実じゃない。生きた光そのものだ。


「よし、ちょっと実を割ってみるか?」


「え……いいんでしょうか?」

「これだけあるなら、ひとつぐらい大丈夫だ」


 俺は木刀をスッと抜く。


「ぬんっ!」


 かるく実を木刀で叩くと、パカッと実が割れる。同時に―――


 パァンッ!


 綺麗な虹色の火花が散って、辺りが一瞬だけ花火大会に変わった。

 昼間なのに、強烈な光の輝きが映える。



「「わぁ~~っ!」」



 思わず歓声をあげるセシリアとアレシーナの瞳が、星みたいにキラッキラ光ってる。

 な? おっさんが木刀で軽く割っただけでこれだぞ。

 魔力を込めて夜空に打ち上げれば、そりゃもう祭り会場どころか王都中が歓声上げるレベルだろう。


「……やりますわ」


 アレシーナが真剣な眼差しで焔玉果レインボーフレアフルーツを握りしめる。


「必ず優勝してみせますわ」


 その隣で、セシリアもギュッと拳を握り―――


「これを夜空に打ち上げたら……絶対にみんな驚きますよ!」

「いいえ、驚かせるだけでは足りませんわ。魅了してやりますわ……必ず」


 決意の表情を見せる2人の聖女。

 聖女ふたりの目は、焔玉果レインボーフレアフルーツに映る虹色の光を宿してキラキラ輝いていた。

 まあ、あんなもん見たら、そりゃ気合が入るよな。


 だがまあ―――これでいい。

 おっさんの仕事は、彼女たちが全力を出せるように道を切り拓くことだ。


 木刀を肩に担ぎ、俺はにやりと笑った。


「よし―――学園に帰るか」



 おっさん、大満足の帰郷であった。




 ◇◇◇




 聖女学園、エリクラス隊長の執務室にて。


「お疲れさまでしたボクレン。それに聖女セシリアとアレシーナも」

「で、どうだった? 見つかったのかボクレン?」


 リンナ副隊長がせっついてきた。

 まあまあ、待ちなさいよ―――よっと!


 俺はバックパックを机の上に置く。

 セシリアたちもそれに続き、次々に置いていった。


「どうだ? まあまあ獲れたぞ」


「…………」

「…………」


 あれ? なんか反応ないな……って!!


 瞳からハイライトが消えたんだが!?


 なぜかフリーズした、エリクラスとリンナ。

 もしかしてこれじゃないのか? もしくは少なすぎたか?


「えっと……すまん! もっと獲って来る!」


 執務室から飛びだそうとした俺は、リンナに進路を阻まれた。


「も、もういい! 山盛りにもほどがある! これで勘弁してくれ、ボクレン!」


「え? 足りないんじゃないのか?」

「じゅぶんすぎますボクレン。まったく……ちょっと目を離すとこれですか……」

「貴様というやつは……たまには予想の範疇におさまってくれ」


 うむ、どうやらこれでいいらしい。若干呆れられているが。


「ボクレンさんたちがぁ~帰って来たんですってぇ~~」


 あ、この間のびした声は。

 マシーカ先生が、執務室に入ってきた。


 次の瞬間……先生の瞳からもハイライトが消えた。


 またかよぉ。

 何回フリーズするんだ。流行ってんのか、これ。


「ところでレイニはどうしましたか?」

「ああ、彼女なら少し疲れてしまってな。報告は俺がやるからって休ませたよ」


 レイニのやつ、虫嫌いなのか、ゴブリン嫌いなのか、トカゲ嫌いなのか、原因は定かではないがすさまじく消耗してたからな。森の空気が合わなかったのかもしれん。

 そこへ再び扉の開く音……聖女マルナが入って来た。


「失礼します。マシーカ先生がこちらにいると聞いて……あ、セシリア! アレシーナ!」


 再会を喜ぶ聖女たち。マルナの手にはメイド服が握られていた。

 おお! 完成したんだな。

 服を体にあわせて、キャッキャウフフする美少女たち。なんだろう、おっさんも楽しみにになってきた。ウキウキってやつだ。


 学園祭は、たしか1週間後だったな。


「あ、そうでした。ボクレン、あなたに手紙がきてますよ」


 エリクラス隊長から一通の封書を受け取った俺。

 うわぁ……見たくない刻印ついてるぅうう……


 ヤバい、思い出した。


 そうだった。森ではしゃいですっかり忘れてたけど。

 ガサガサと取り出した厳かな便箋に目を通す。



『わたしのボクレン様~~学園祭、行きま~~す♪ 

 あなたの第三王女ティナより♡』



 よし、とたんにウキウキしなくなったぁ。





【読者のみなさまへ】


第50話まで読んで頂きありがとうございます!

少しでも続きを読んでみたいなと思って頂けましたら、

☆評価やブックマークをもらえると非常にうれしいです。


評価はページ下部の【☆☆☆☆☆】をタップするだけです(簡単です!)

お好きな★を入れてください!


すでに評価やブックマーク、感想コメントで応援して頂いている皆様へ

めちゃくちゃ嬉しいです! ありがとうございます! 


みなさまの評価やブックマークが作者の大きな励みになります!

これからも面白いお話を投稿できるように頑張りますので、

引き続き応援よろしくお願いします!


※本作はカクヨムにて先行公開中です。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ